【社説】韓米FTAを「売国」呼ばわりした文在寅氏に政権を執る資格はあるのか

 FTA反対デモの現場では、「水道料金が急騰して雨水を集めて使わなければならなくなる」「お金がない人は病気になっても病院に行けない」「盲腸の手術代が900万ウォン(約90万円)になる」という叫び声が飛び交った。自称「専門家」は米国産輸入牛のせいで韓国全土が「狂牛病」(牛海綿状脳症〈BSE〉)だらけになると脅した。国会に催涙弾を打ち込んだ野党政治家は「(独立運動家で伊藤博文を暗殺した)安重根(アン・ジュングン)と同じ心情からやった」と言った。

 当時の野党・民主党は「韓米FTAは『乙巳条約(日本名:日韓保護条約)』だ」としてFTAを売国行為だと責め立てた。デマは決して真実に勝てない。ところが、韓米FTAを売国行為だと扇動していた人々は、真実が明らかになっても一人として「あの時、私は間違っていた」と言わない。謝る代わりに韓国海軍哨戒艦「天安」沈没に関するデマや、貨客船「セウォル号」沈没事故に関するデマなど、あの手この手で世間を騒がせている。

 2012年の大統領選挙に出馬した文在寅(ムン・ジェイン)氏は、韓米FTAが間違いだとして再交渉を公約に掲げた。韓米FTAは盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が推進したもので、当時の政権の中核にいた人物が間違っていたと言ったのだから、国民は困惑するしかなかった。この重大な国家問題でこのように大きな判断ミスをしたというなら、何かしら説明がなければならない。国の滅亡だと言わんばかりに決死の反対運動を繰り広げていた民主党と文在寅氏が韓米FTA 5年間の成果について口をつぐんだまま政権を執ろうとしている。本当に政権を執る資格があるのだろうか。

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