朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領がソウル市江南区三成洞の自宅に戻った翌日、親朴議員らからなる秘書陣が立ち上げられ、総括、政務、法律、随行、報道官などの役割分担も決まったという。朴前大統領は今後検察の取り調べを受けねばならない立場にあることから、捜査から裁判に至るまで朴前大統領を支援し、時にアドバイスする立場の人間は当然必要になるだろう。他の前職大統領と同じく、場合によっては政治的な問題に何らかのコメントが求められることもあるはずだ。そのため現職の国会議員らと関係を維持すること自体は特に問題視すべきことではない。
しかし朴前大統領が自宅に戻った直後「時間はかかるだろうが、真実は必ず明らかになると信じる」とのメッセージを発したことで、一連の動きは一気に疑念を生み、政治的にもさまざまな影響が避けられなくなった。各党は朴前大統領が憲法裁判所の決定に承服せず、政治的な活動を始めることに警戒している。しかも一連の指摘を受けてから丸1日が過ぎても、朴前大統領は何の反応も示していないことから、朴前大統領が不満を持っていることはすでに既成事実として受け止められたようだ。
もちろん朴前大統領の真意がどこにあるかはまだ分からない。しかし大韓民国の大統領として4年を過ごした彼女が大多数の国民の願いに反し、何らかの闘争あるいは政治活動を始めることはないだろう。朴前大統領は「真実」という言葉を口にしたが、これも近く捜査や裁判を控えた立場から発せられたものであることを信じたい。
国民は弾劾問題の影響で疲れ果て、心に大きな傷を受けている。また国全体も経済や安全保障などさまざまな分野において危機的状況に直面している。しかしこれら全ての混乱は憲法裁判所の決定をもっていったん決着をつけ、今後は国が一つとなって数々の危機や懸案に対処していかねばならない。またこれまで大統領経験者たちは辞任すると自らに対する評価は歴史に任せ、一人の市民に戻った。この不文律は今後も守られなければならず、それは誰よりも朴前大統領自身のためになるのだ。