うつ病等の精神疾患の治療においては、症状と問題(病気を引き起した原因となる問題)の切り分けが、とても重要になってくると思います。
医師と臨床心理士の違いで、精神科医とカウンセラーの違いをご説明させて頂いて、症状は医師に、問題はカウンセラーにと言いましたが、ここでは、もう少し具体的に、症状と問題の切り分けについてお話しさせて頂きたいと思います。
【医師に伝えるべき症状】
- 眠れない
- 落ち着かない
- 食欲がない
- 便秘や下痢になる
- 頭痛がする
- やる気が出ない
- 涙が止まらない
- 仕事が出来ない
- 頭が回らない
- 死にたくなる等
上記は、すべてうつ病等の精神疾患に現れる症状です。一見、『死にたくなる』というのは、気持ちの問題で考え方の偏りのようにも思えますが、うつ病を発症すると、脳の中でセロトニン等の神経伝達物質が減少し、症状として、情報処理が上手くできないことにより問題解決ができないと感じることと、元気な時には、少しのストレスとしか感じないことも、物凄い大きなストレスと感じてしまうために、もうどうしようもない→耐えられない→死にたいとなってしまうのです。だから『死にたくなる』も立派なうつ病の症状なのです。
なので、こう言った症状に対しては、医師から薬を処方してもらうことにより、症状を和らげる必要があるのです。
【カウンセラーに伝えるべき問題】
- 誰とのどういった問題で苦しくなるのか?
- どういった時に死にたくなるのか?
- どういったことが引き金で眠れなくなるのか?
- 仕事上で、どういったストレスを抱えているのか?
- 家庭内で、どういったトラブルを抱えているのか?等
上記をカウンセラーさんに話して行くことによって、うつ病等の精神疾患を引き起した原因となる問題をひも解いて行きます。カウンセラーさんには、より具体的に、どういった問題を抱えていて、自分はどういう風に感じているのか?等を話して行くことをオススメします。
また、相手が本当に信頼のおけるカウンセラーさんであることが大前提ですが、出来るだけ早いタイミングでカウンセラーさんを信用し、信頼関係を結ぶ方が、早く回復すると思います。
カウンセラーさんは、精神疾患を発症した患者に思考の偏りや認識の間違いがあれば、それを自分自身で気付かせて修正させる方向に持って行ってくれます。
うつ病等の精神疾患の治療においては、病気の症状に対して脳が受けたダメージが回復するための投薬と、死にたい等の命に関わる症状を抑えたりするための正しい投薬が出来る医師が居て、そこに、病気の引き金を引いてしまった原因となる問題を究明し、思考の偏りや認識の間違いがあれば改善させるカウンセラーという、医師とカウンセラーという異なる2つの専門知識のある人間の存在が必要なんだと思います。
そして、その医師とカウンセラーに対して、症状と問題を切り分けて伝えることが、本人が抱えるうつ病等の精神疾患を、医師とカウンセラーそれぞれにより早く理解してもらうことになり、病状がより早く回復する方向に進むことになると思います。