【押井守監督による「実写版 攻殻」でありそうなこと:創作】
草薙素子:太田莉菜
バトー :阿部寛
トグサ :兼崎健太郎(他に思いつかなかった)
活動停止を余儀なくされた公安9課。
バトーは、バセットハウンドにエサをやるとコートを羽織り雨降る街へ*1。
人気のない街の一角。
独り、立ち食いそば屋の暖簾をくぐるバトー*2。
カウンターの向こうに蕎麦屋の制服を着たトグサ。
ト「いら…なんだ」
バ「なんだじゃないだろ、客に向かって……似合ってるじゃないか」
ト「何にします」
カウンターに肘を着くバトー。
擬体の重さにギシっと木製カウンターが音を立てる。
店の片隅に置かれた水槽の中をドラゴンフィッシュが泳いでいる*3。
バ「そうだな…熱いところを一杯。かけをもらおうか」
ト「かけね。あいよ」
注文を受け、てぼに蕎麦をひと玉放り込むトグサ。
軽く箸でほぐす。
ト「少佐は消えちまうし、九課は凍結状態。いったい何が起きてるんですか」
バ「部長が走り回ってるよ……上手いもんじゃないか。このまま蕎麦屋になれそうだな」
ト「……」
湯を切り、丼にそばとめんつゆ、ネギをひとつまみ入れて丼をバトーの前に。
割り箸に手を伸ばすバトー。
草「あら、美味しそうね。あたしも月見そば貰おうかしら」
驚いて入口を見る二人。
光学迷彩を解除し、草薙素子が姿を現す。
ト「し、少佐……」
バ「…………姿を見せて大丈夫なのか」
素「タチコマたちに周囲をジャミングさせてるわ。それに部長が渡りをつけたから表立った派手な行動は出来ないはずよ」
バトー、無言でそばをすする(あまり上手くない)。
素「待たせたわね、二人とも」
バトーの横に立つ、素子。
割り箸の片方を口にくわえ、2本に割る。
ト「……まったくですよ。はい、月見おまちどう」
真ん中に生卵が入った、そばの入った丼が置かれる。
素子、置かれた丼に七味を少々。
数秒でかき込み、一瞬で丼が空になる*4。
唖然とする二人。
ト「……これ、現実ですよね」
素「俄にして覚むれば、則ち蘧々然として周なり。知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。今のところは現実のはず。蝶の見ている夢である可能性は、否定出来ないけど……のびるわよ、バトー」*5*6
バ「……お、おぅ」
慌てて、そばをすするバトー。
素「ボーマとイシカワは八課に探りを入れてるわ。トグサはこのまま部長と合流。バトーはあたしと来て」
ト「了解」
バ「……」
素「どうしたのバトー?」
バ「……まさかそば屋でオリーブの葉を受け取るとはな」
素「そうね、でも止まない雨はないのよ」
入口に向かう素子。
素「それに私は鳩じゃないわ」*7
☆
……地雷臭しかしない。
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