時間外労働1か月上限 100時間未満で決着へ 実効性が課題

時間外労働1か月上限 100時間未満で決着へ 実効性が課題
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政府が導入を目指す時間外労働の上限規制をめぐり、焦点となってきた繁忙期の1か月の上限は、安倍総理大臣の意向で「100時間未満」とする方向で決着が図られる見通しとなりました。政府は取り締まり体制を強化するなどして、改革の実効性を高めていきたい考えで、サービス残業が横行するなどといった懸念を払拭(ふっしょく)できるのかが課題となります。
政府が導入を目指す罰則つきの時間外労働の上限規制で焦点となってきた、繁忙期の1か月の上限について、安倍総理大臣は13日、経団連の榊原会長と連合の神津会長と会談し、連合が主張していた「100時間未満」としたいという考えを表明しました。
これに対し、難色を示していた経団連も、要請を重く受け止めるという考えを示し、この方向で決着が図られる見通しとなりました。

合意が法制化された場合、時間外労働は最も忙しい月でも、最大100時間未満、2か月から6か月のいずれの期間の平均も80時間以内に規制されるほか、年間では720時間以内で、なおかつ月45時間を超えるのは、年間6回までに抑えられることになります。

この結果、仮に上限の100時間ぎりぎりまで働いた場合、翌月の時間外労働は60時間に制限されることなどから、事実上、際限なく時間外労働が認められている今の状況は大きく変わると期待する声が政府内から出ています。

一方、「サービス残業」や「持ち帰り残業」が横行したり、雇用契約ではなく、個人事業主と見なして請負契約などを結ぶことで、規制の適用を免れたりするケースが増えるのではないかといった懸念も根強くあります。

このため政府は、労働界、経済界と協力し、取り締まり体制を強化するなどして、改革の実効性を高めていきたい考えで、こうした懸念をどこまで払拭できるのかが課題となります。