地デジ電波で水蒸気の増加を捉える 豪雨予測に活用へ

地デジ電波で水蒸気の増加を捉える 豪雨予測に活用へ
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局地的な豪雨の予測に役立てようと、雨雲のもとになる大気中の水蒸気の増加を地上デジタル放送の電波を使って捉えるシステムの開発に、情報通信研究機構のグループが成功しました。グループでは、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる3年後までの実用化を目指したいとしています。
局地的な豪雨の予測は現在、主に発達した雨雲をレーダーで観測することによって行われていますが、より早い予測につなげるためには、雨雲のもとになる大気中の水蒸気の増加をいち早くつかむことが重要になっています。

情報通信研究機構の川村誠治主任研究員らのグループは、大気中の水蒸気が増えると、電波が遅れて伝わる性質に着目し、地上デジタル放送の電波を使って、電波の遅れから水蒸気の量の変化を推定するシステムを開発しました。

このシステムを東京・小金井市の研究所の屋上に設けたアンテナで実験したところ、1兆分の1秒単位という極めて高い精度で電波の遅れをとらえることに成功し、推定した水蒸気の量の変化は、同じ場所で観測した気温・気圧・湿度から計算される水蒸気の量の変化とほぼ一致したということです。

グループでは生活に身近な地上デジタル放送の電波を使うこのシステムを使えば、気温・気圧・湿度を観測して、水蒸気の量を計算する方法より、簡単に、安く、広い範囲を観測できるとしています。

グループでは今後、気象庁の気象研究所などとも協力して、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる3年後までの実用化を目指したいとしています。

情報通信研究機構の川村主任研究員は「どこでも利用できる技術でコストも安い。局地的な豪雨では10分、15分で甚大な被害が生じることもあり、少しでも早い予測を実現して減災につなげたい」と話しています。