記事詳細
【野口裕之の軍事情勢】
北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射は最短4月下旬か 金正恩氏の精神状態が焦点
「凶暴なイタチ」
ここで《ワイルド・ウィーゼル》を説明しておきたい。ワイルド・ウィーゼル(凶暴なイタチ)とは、米空軍隷下の敵防空網制圧(SEAD)任務部隊や、部隊に所属する作戦機の総称。SEAD任務部隊は(1)敵レーダー波を傍受し→(2)敵対空ミサイル(SAM)サイトや敵レーダー・サイトの位置を特定→(3)レーダー波発信源に向かい自らを誘導するミサイルを発射する。匂い(レーダー波)を嗅ぎ分け→獲物(ミサイル&レーダー・サイト)を見付け出し→牙(ミサイル)を使用し攻撃に移る姿が、野イタチの生態に似ることで付けられ、任務の通称にもなった。ベトナム戦争で、SAM被弾被害の大きさを戦訓として立案されたのが始まりだ。
多数の戦死者が出ると予想される朝鮮半島有事でも、朝鮮人民軍のSAMサイトやレーダー・サイトといった防空網を緒戦で叩き潰す作戦は有力視される。
実際、北朝鮮国営メディアは、弾道ミサイルを日本のEEZ(排他的経済水域)にほぼ同時に3発(同時発射は合計4発)撃ち込んだ、6日の許し難い暴挙を遂行した部隊を《在日米軍基地を攻撃する戦略砲兵》と形容した。着弾海域の北東、もしくは東には青森県・三沢基地が所在し、駐留する米空軍・第35戦闘航空団も《ワイルド・ウィーゼル(任務)》を帯びている。
朝鮮人民軍の第一次先制攻撃目標は、在韓米軍+韓国軍の施設・基地や青瓦台(大統領府)を筆頭とする政治中枢だが、時を移さず在日米軍を攻撃する選択肢は、安全保障関係者の間では広く肯定されている。ICBMが準実戦段階以上であれば状況次第で、米本土も攻撃する。
このニュースの写真
関連ニュース
- 【野口裕之の軍事情勢】「核攻撃力を持った途端、金正恩は死ぬ」 米高官の警告直前の地中貫通核爆弾投下試験公表は斬首作戦の前触れか
- 【野口裕之の軍事情勢】金正男氏の暗殺で蘇る120年前の悲運の朝鮮人 遺体斬刑が日清戦争の導火線となった歴史は繰り返すのか
- 【野口裕之の軍事情勢】米中戦争の確率は「70%以上」 そのとき日本はどうすべきか
- 【野口裕之の軍事情勢】日本警察に守られた在日中国人の「反アパホテル」デモ 「死のリスト」に載る大富豪失踪解明デモを天安門広場で
- 【野口裕之の軍事情勢】テロに備える米大統領令とテロはないと信じる日本国憲法 憲法の「告別式」挙行を突き付けたトランプ政権
- 【野口裕之の軍事情勢】トランプ政権は軍事衝突覚悟で、中国海上軍事基地封鎖「南シナ海版キューバ危機」に踏み切れるか