「月100時間未満」労使決着…繁忙期、初の上限
政府が検討する残業時間の上限規制について、安倍晋三首相は13日、繁忙期でも月100時間未満とすることを受け入れるよう経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長に要請した。労使ともこれに応じる姿勢をみせ、働き方改革の焦点だった残業上限の問題は決着する見通し。労働基準法に年720時間という上限が初めて導入される方向となった。
この日、榊原会長と神津会長が安倍首相に報告した労使合意は「100時間を基準とする」という表現だった。「100時間未満」の連合と「100時間以下」の経団連の主張が平行線をたどったためだが、安倍首相は「未満」を要請。榊原会長は他の経済団体との調整を理由に明言は避けたものの、「首相の意向を重く受け止める」と発言。17日の「働き方改革実現会議」までに容認することを事実上、表明した。
現状の残業規制はあらかじめ労使が合意して協定(36協定)を結び、さらに特別条項を付ければ協定を超えて延長できるため「事実上の青天井」との批判が強かった。
今後、政府は月内に働き方改革の実行計画をまとめ、罰則を伴う労基法の改正作業をスタートさせる。実行計画には残業上限のほか、終業から始業までに一定時間を置いて休息させる「インターバル制度」を「努力義務」として明記し、メンタルヘルスやパワハラ対策を進めることも盛り込む方針だ。
また、政府は、現行で残業上限の対象外となっている建設業とトラック、タクシーなど自動車運転業務についても将来的に規制対象に加える方向で調整する。【早川健人】