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the pillows山中が、今最も好きな漫画『響』の柳本光晴と語り合う

the pillows山中が、今最も好きな漫画『響』の柳本光晴と語り合う

the pillows『NOOK IN THE BRAIN』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子

3月8日にニューアルバム『NOOK IN THE BRAIN』をリリースしたばかりのthe pillows。フロントマンの山中さわおは、知る人ぞ知る漫画通である。青年漫画誌を中心に、日々漫画を読み漁っているという彼が、今一番注目している漫画――それは、現在『ビックコミックスペリオール』で連載中の『響~小説家になる方法~』だ。

パッと見、地味な女子高生である主人公=鮎喰響が、その文学的な才能によって、文芸雑誌の編集部員たちを、果ては日本の文学界全体を揺り動かすという、実にスケールの大きな物語となっているこの漫画。3月末に発表される『マンガ大賞2017』のノミネート作品に選ばれるなど、漫画好きのあいだでも注目度の高い本作は、「圧倒的な才能」を前に右往左往する人間たちの物語でもある。

前作『STROLL AND ROLL』のリリース時には、CINRA.NETにてバカリズムとの対談を行った山中が「今、いちばん会いたい人と会って話す」企画第二弾は、そんな『響』の作者である漫画家・柳本光晴が登場。文芸のみならず、音楽含め、さまざまな分野に共通する「才能」をめぐる問題について、二人に大いに語り合ってもらった。

僕はやっぱり、ずば抜けた天才とか能力がある主人公に、憧れの気持ちを持っていたいんですよね。(山中)

―今日は、the pillows山中さんからの熱烈なラブコールのもと、漫画『響~小説家になる方法~』の作者である柳本光晴さんにお声がけさせていただいた次第です。

山中:本当に、今日は嬉しいわ(笑)。

左から:柳本光晴、山中さわお
左から:柳本光晴、山中さわお

―まずは、柳本さんと会ってみたいと思った理由から聞かせていただけますか?

山中:単純に『響』は今、ダントツに面白い漫画だと思うんですよね。僕は、『響』が連載している『ビッグコミックスペリオール』(小学館)のような青年漫画誌を、ほぼ全部読んでいて……だから、月に150話ぐらい連載漫画を読んでいるんですけど、そのなかでも柳本先生の『響』は、ダントツに面白いと思っているんです。

柳本:ありがとうございます。あまり褒められ慣れていないので……こういうとき、どういう反応をしたらいいのかわからないです(笑)。

柳本光晴

―『響』は、天才女子高生作家「鮎喰響(あくいひびき)」を主人公とした漫画ですが、山中さんはこの漫画のどこに、それほどまで惹きつけられたのでしょう?

山中:まずは、主人公の響ちゃんに対する「共感」と「憧れ」ですよね。もちろん、かなりぶっ飛んだ主人公なので、共感といっても実際の自分がこうだったわけではないけど、昔の自分にその資質はあったなって思う。

―というと?

山中:彼女は本当に、自分の思うままに生きているんですよね。他人や孤独を恐れない、人間としての強さを持っていて。そういう主人公って、あんまりいないと思うんです。

世の中にある多くの漫画とか、音楽も同じだと思うけど、みんなが感情移入しやすいものが多いじゃないですか。だから、平凡な人の恋愛とか苦悩とかが、漫画や歌詞になったりすることが多い。そこにみんなが感情移入して、音楽の場合だったら、カラオケで歌ったりする。でも俺は、あんまりそういうのが好きじゃないんだよね。

―いわゆる「等身大」的なものということですか?

山中:うん。たとえば、僕は少年時代、今も『スペリオール』で連載している小山ゆう先生の代表作『がんばれ元気』という漫画がすごく好きだったんです。小山先生が描く漫画の主人公って、天才タイプが多いじゃないですか?

柳本:ああ、確かにそうですね。

山中:僕はやっぱり、そういうずば抜けた天才とか能力がある主人公に、憧れの気持ちを持っていたいんですよね。「ああ、自分もこうなれたらいいな」って。

柳本:わかります。漫画のオーソドックスな作り方のひとつとして、読者が感情移入しやすい主人公を設定して、その周りにすごい人たちを配置するというのがあって。そういうすごい人たちのなかに、平凡な主人公が入っていって、だんだん認められるようになる。で、それを読みながら、読者もまた、自分もすごいんだって思えるという。

山中:なるほど。そういう漫画、たしかに多いですよね。

柳本:もちろん、それはそれで素晴らしい手法だと思うんですけど、やっぱり僕も圧倒的な天才に憧れがあるし、そういうものを描きたいという思いがあって。だから、『響』では、とにかく圧倒的な存在を描きたかったんです。

山中:うんうん。そういう圧倒的な主人公が、久々にきたなって思った(笑)。もう第一話を読んだときから、「ああ、これはすごい好きなのが始まった」ってわかりましたから。

『響~小説家になる方法~』
『響~小説家になる方法~』(Amazonで見る

結局、漫画の主人公って、大なり小なり絶対そこに作者自身が出るんですよね。(柳本)

―主人公の響は、作家として圧倒的な才能があると同時に、いわゆる「空気を読まない」人間でもあります。先ほど山中さんは、「自分も、その資質があった」とおっしゃっていましたが、それはどういうことでしょう?

山中:いや、響ちゃんは、別に空気を読まないわけではなくて。彼女がなにかをしでかすときって、いつも相手に非があるんですよね。だけど、「そこは常識としてグッとこらえるよね」っていうところを、彼女はこらえない。そこには一応、彼女なりの正義があるんです。

柳本:そう、彼女なりのルールがあるんですよね。だから、決して滅茶苦茶をしているわけではないと、僕は思っているんですけど……。

山中:うん、ただ傍若無人なわけではない。そこがちゃんと描かれているのが、この漫画のすごくいいところだと思います。

山中さわお

―そういう資質が、山中さんにもあると……?

山中:まあ、あそこまでの激しさはないけど(笑)。僕は若い頃、「素直」と「マナー」の意味をはき違えていたから。それに、今は僕、すごいしゃべってますけど、若いときは、なかなかコミュニケーションが上手くできない人間だったんですよ。

柳本:僕も今日こうやって「初めまして」とかニコニコ言ってますけど、若い頃はそんなに愛想のある人間ではなかったし、面倒くさいところもいろいろありました。結局、漫画の主人公って、大なり小なり絶対そこに作者自身が出るんですよね。

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リリース情報

the pillows『NOOK IN THE BRAIN』初回限定盤
the pillows
『NOOK IN THE BRAIN』初回限定盤(CD+DVD)

2017年3月8日(水)発売
価格:3,780円(税込)
QECD-90003 / BUMP-063

[CD]
1. Envy
2. 王様になれ
3. Hang a vulture!
4. パーフェクト・アイディア
5. Coooming sooon
6. She looks like new-born baby
7. pulse
8. ジェラニエ
9. BE WILD
10. Where do I go?
[DVD]
1. “Envy”Music Video
2. “王様になれ”Music Video
3. “Hang a vulture!”Music Video

the pillows
『NOOK IN THE BRAIN』通常盤(CD)

2017年3月8日(水)発売
価格:3,240円(税込)
QECD-10003 / BUMP-064

1. Envy
2. 王様になれ
3. Hang a vulture!
4. パーフェクト・アイディア
5. Coooming sooon
6. She looks like new-born baby
7. pulse
8. ジェラニエ
9. BE WILD
10. Where do I go?

イベント情報

『NOOK IN THE BRAIN TOUR』

2017年5月5日(金・祝)
会場:群馬県 高崎 club FLEEZ

2017年5月7日(日)
会場:長野県 CLUB JUNK BOX

2017年5月12日(金)
会場:茨城県 水戸 LIGHT HOUSE

2017年5月14日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST

2017年5月18日(木)
会場:岐阜県 Yanagase Ants

2017年5月20日(土)
会場:岡山県 YEBISU YA PRO

2017年5月22日(月)
会場:徳島県 club GRINDHOUSE

2017年5月24日(水)
会場:京都府 MUSE

2017年5月26日(金)
会場:石川県 金沢 EIGHT HALL

2017年5月28日(日)
会場:新潟県 LOTS

2017年6月3日(土)
会場:東京都 赤坂BLITZ

2017年6月13日(火)
会場:静岡県 浜松 窓枠

2017年6月15日(木)
会場:愛媛県 松江 canova

2017年6月17日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2017年6月19日(月)
会場:愛媛県 松山 SALON KITTY

2017年6月21日(水)
会場:鹿児島県 SR HALL

2017年6月23日(金)
会場:沖縄県 那覇 桜坂 Central

2017年6月25日(日)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

2017年6月30日(金)
会場:栃木県 宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2

2017年7月2日(日)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2017年7月4日(火)
会場:岩手県 盛岡 club CHANGE WAVE

2017年7月6日(木)
会場:青森県 Quarter

2017年7月8日(土)
会場:北海道 旭川 CASINO DRIVE

2017年7月9日(日)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年7月15日(土)
会場:大阪府 Namba Hatch

2017年7月17日(月・祝)
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL

2017年7月22日(土)
会場:東京都 台場 Zepp Tokyo

書籍情報

『響~小説家になる方法~』6巻

2017年4月28日(木)発売
著者:柳本光晴
価格:596円(税込)
発行:小学館

プロフィール

the pillows
the pillows(ざ ぴろうず)

山中さわお(Vo,Gt)、真鍋吉明(Gt)、佐藤シンイチロウ(Dr)によるロックバンド。1989年9月結成。1991年、シングル『雨にうたえば』(ポニーキャニオン)でデビュー。1992年、上田ケンジ(Ba)が脱退。1994年、キングレコードに移籍。2005年、海外での活動を本格的に始動。2006年、avex entertainment / tearbridge productionに移籍。2009年、結成20周年記念日の9月16日に、初の武道館ライブを行う。2012年、ツアー終了後、バンドのメンテナンス&リハビリのため活動休止。2013年8月より活動再開。2017年3月8日に、21枚目のアルバム『NOOK IN THE BRAIN』をリリース。

柳本光晴(やなもと みつはる)

漫画家。2014年から『ビッグコミックスペリオール』(小学館)で『響 ~小説家になる方法~』を連載。2013年から2014年にかけて、『月刊アクション』で『女の子が死ぬ話』を連載。

関連チケット情報

2017年5月7日(日)
the pillows
会場:長野CLUB JUNK BOX(長野県)
2017年5月5日(金)〜5月12日(金)
the pillows
会場:高崎 club FLEEZ(群馬県)
2017年5月24日(水)
the pillows
会場:KYOTO MUSE(京都府)
2017年5月26日(金)
the pillows
会場:金沢EIGHT HALL(石川県)
2017年5月28日(日)
the pillows
会場:NIIGATA LOTS(新潟県)
2017年5月14日(日)〜6月3日(土)
the pillows
会場:TSUTAYA O-EAST(東京都)
2017年5月18日(木)〜6月13日(火)
the pillows
会場:yanagase ants(岐阜県)
2017年6月23日(金)
the pillows
会場:桜坂セントラル(沖縄県)
2017年6月21日(水)〜6月25日(日)
the pillows
会場:鹿児島SRホール(鹿児島県)
2017年6月30日(金)
the pillows
会場:HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2(栃木県)
2017年7月2日(日)〜7月6日(木)
the pillows
会場:仙台Rensa(宮城県)
2017年7月8日(土)〜7月9日(日)
the pillows
会場:CASINO DRIVE(北海道)
2017年7月15日(土)
the pillows
会場:なんばHatch(大阪府)
2017年7月17日(月)
the pillows
会場:ダイアモンドホール(愛知県)
2017年7月22日(土)
the pillows
会場:Zepp Tokyo(東京都)
2017年5月20日(土)〜6月15日(木)
the pillows
会場:YEBISU YA PRO(岡山県)
2017年6月17日(土)
the pillows
会場:広島クラブクアトロ(広島県)

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4人組のラップグループ・JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBによる、Steady&Co.やDragon Ashへのリスペクトも込めたと思われる1曲“STAY GOLD,LIFE GOES ON”のPVが公開。2000年代のアンセムを生んだ2組のように、彼らは2010年代のアンセムを、この先生み出すような予感がしてならない。肩の力が抜けていて、自由に楽しく生きている感じも、音楽を聴いていて&映像を見ていて最高に気持ちいい。(矢島)