ホークスファンタブレット

前線に向かう兵士ゲーリー・クーパーと後を追う酒場の歌手マレーネ・ディートリヒ…

 前線に向かう兵士ゲーリー・クーパーと後を追う酒場の歌手マレーネ・ディートリヒ。名作と評される映画「モロッコ」(1930年製作)は日本でも記念碑的一作という。初めて日本語字幕が付いた作品、と字幕翻訳者の戸田奈津子さんの著書にあった

▼当時、米国では日本語の吹き替え版を作ろうとして断念したそうだ。担当したのは日系2世。なぜか広島出身者が多く、会話が全編方言に。「~しんさい」と話すディートリヒでは…

▼字幕作りに貢献したのは新橋の芸者さん。平均的日本人の代表として映画を見て、1秒間に字幕が何文字読めるか実験した。試行錯誤を重ねて今の文字数などが決まったという

▼「字幕なしで映画を見たい」とは誰もが一度は抱く夢。韻を踏んだ言い回しや笑いのツボ。俗語や会話のあやを英語のまま味わえたら、と。筆者を見放した語学の神様は、次世代には夢をかなえるだろうか

▼文部科学省は2020年度から、「外国語活動」の開始を現行の小5から小3に早めるそうだ。現在でも、文法が始まりテストで評価の対象にされると途端に「英語嫌い」が増えると聞く。「教科」の色が強まって、言葉を通わせ合う楽しみが薄れなければ良いけれど

▼映画「カサブランカ」のあの名せりふ。原文直訳だと「君を見ながら」となる。それを「君の瞳に乾杯」とは何と情感豊かな意訳か。「字幕で良かった」と思う時もある。


=2017/03/13付 西日本新聞朝刊=

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