ここから本文です

プロ野球戦力外通告を受けた20代夫婦の現実

東洋経済オンライン 3/13(月) 8:00配信

毎週月曜夜7時から放送中の「結婚したら人生劇変! 〇〇の妻たち」(TBSテレビ系)。人気番組「プロ野球戦力外通告」「プロ野球選手の妻たち」を手掛けるスタッフが、夫を支える妻の姿をとおして、夫婦の愛と葛藤に迫るドキュメンタリーだ。 球春到来。今年も、またプロ野球が始まる。多くの有望新人選手が期待に胸を躍らせている季節。一方、そんな華やいだムードに背を向けて新たな人生に旅立つ者たちもいる。

【写真】小学校教師を辞め、夫を支える道を選んだが

 萬谷美佐さんは、昨年までプロ野球選手の妻だった。

■ふたりの夢が叶うとき

 美佐さんが夫・萬谷康平さんと付き合い始めたのは、今から8年前。友人に誘われた食事会がきっかけだった。当時の美佐さんは大学3年生。子供の頃からのあこがれである小学校の先生を目指していた。康平さんもプロ野球を目指して大学野球で投手として活躍していた。

 「絶対、プロ野球選手になる!」

 熱く夢を語るその真っ直ぐなところに、美佐さんは好感をもったという。大学卒業後、美佐さんは夢を叶えて、大阪市内にある公立小学校の先生に、康平さんは、夢を追い続けて社会人野球へと進んだ。その後も交際を続けたふたりは、次第に結婚を意識するようになった。

 そんなふたりの人生が大きく動き始めたのは、交際4年目。ともに25歳の秋だった。社会人野球で頭角を現し始めた康平さんは、ドラフト会議で横浜DeNAベイスターズに指名される。子供の頃から願い続けたプロ野球選手になる夢が叶ったのだ。

 しかし、それは世間が思う「莫大な契約金」や「億単位の年俸」とはかけ離れたものだった。

普通のサラリーマンと変わらないスタート

 康平さんが指名されたのは育成枠。契約金なし、背番号は3ケタ、1軍の試合にも出場できない、プロ予備軍のような位置づけ。年俸も360万円で、同年代のサラリーマンの平均となんら変わらないレベルだった。

 それでも美佐さんは心から喜んだ。

 「彼の夢が叶って本当によかったな、と思いました」

 横浜DeNAベイスターズの寮に入った康平さんと大阪で教師を続ける美佐さん。遠距離恋愛が始まった。

 プロ入りしたら結婚しようと考えていた康平さんだったが、育成選手のままでは妻を養えない。「支配下選手になってから結婚しよう」と美佐さんに約束した。その思いが力になったのか、康平さんは1年経たずに支配下選手に昇格。1軍の試合に大抜擢され、6月にはプロ入り初勝利を手にした。

 その年のオフ。康平さんの年俸は360万円から一気に1100万円にアップ。すぐに美佐さんにプロポーズをした。「僕の妻になって、横浜に来てほしい」。

■妻は念願の小学校教師を辞めなければならなかった

 しかし、それは、美佐さんにとって、5年間勤めた大阪の小学校を辞めるということでもある。教師という職業に生きがいを感じ始めていた矢先だっただけに美佐さんの心は揺れた。

 悩んだ末に彼女は決断した。

 「彼を完璧にサポートしながら教師も完璧にっていうのは難しいので、教師は辞めようと思いました」

 自分の夢をあきらめ、プロ野球選手の妻として夫を支える道を選んだのだ。

 プロ入り1年目で支配下選手に昇格するというトントン拍子のスタートを切った康平さんだったが、2年目からは故障に苦しみ、出場機会が激減。3年目のシーズンが終わった昨年10月、夫から美佐さんに1本の電話がかかってきた。

 「俺、クビになった」

1/3ページ

最終更新:3/13(月) 16:15

東洋経済オンライン

本文はここまでです このページの先頭へ

お得情報

その他のキャンペーン