社会的養護を経験した子どもの調査についての研究結果を公開
日本財団では、どのような養育形態が子どもの中長期の成長発達にとって望ましいのか、養育環境による子どもへの影響を明らかにするために、社会的養護の形態とアウトカム(成果)を扱った調査研究を網羅的に収集・分析した研究を行いました。
2016年に公布された改正児童福祉法では、生みの親から離れて暮らす子どもは、養子縁組や里親・ファミリーホームなど家庭環境への委託が原則となりました。諸外国では、これまでの調査研究に基づき、既に養子縁組や里親などの家庭養護が主流となっていますが、日本では、養育環境による子どもへの影響は明らかになってきませんでした。
本研究では、欧米でエビデンス(客観的な根拠)に基づく政策形成の際に用いられる「系統的レビュー(Systematic Review)」という手法で行いました。海外は検索データベースでヒットした3万543件から一定の基準をもとに選定した21件、国内は5,876件(文献を手作業で計画的に検索するハンドサーチを含む)から選定した41件を対象に検証しています。
その結果、一定以上のエビデンスレベルのある研究から、家庭で養育されている子どもの方がアウトカム(成果)がよいという結果が示唆されました。一方で、日本の研究は長期的な予後を追跡したものや施設・里親などの養育環境ごとに比較のできる研究は僅少で、エビデンスの質の低さが課題として明らかになっています。
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