1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:38:53.926 ID:Xn0EgPJWx.net
F1の新車発表・テストのシーズンなので、F1スレが立つことがあります
そこで「車が速いってどういうこと?」「なぜF1がこんな形をしてるのか」を中心にF1について書こうと思います
ちょっとでもF1やモタスポに興味を持ってもらえればこれ幸い
わかりやすさ重視でわりと大雑把に書きます
間違いもあると思うんで、詳しい諸兄は補足訂正お願いします
大雑把な目次
■F1てどんな車?
■車が速いってどういうこと?
■グリップ
■ウィングと整流板
■グラウンドエフェクト
■フロントノーズ
■ボディ形状
■サスペンション
■タイヤ
■各チーム2017年のデザイン
■パワーユニット(エンジン)ついて
■ギアボックス(トランスミッション)
■ルール、レースについて
■珍プレー・好プレー
※3年前に立てたスレを1年前に改訂したものの更に改訂版です(1年ぶり3回目)
4:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:39:49.975 ID:Xn0EgPJWx.net
■F1てどんな車?
細かい規定はともかく、基本は
・ひとり乗り
・屋根なし
・タイヤむき出し
自動車黎明期にいろんな車をカテゴリわけするにあたり
「とりあえずこれで分けんべ」と決めたものでとくに深い理由はありません
レースにはチームが車を作って戦うものと、買った車で戦うものとありますが、F1は前者です
走るだけでなく、作るところから競争してます
デザインに大きな影響を与えるルールに「空力装置は決して動いてはならぬ」があります
固定されたボディーで戦おうぜってことです
エンジンは直噴1.6Lターボと電気モーターのハイブリッドでだいたい800~1000馬力くらい出ています
こんなもんです
たぶん「F1はルールがごちゃごちゃと…」って人が思ってるよりは、ずっとシンプルです
そのシンプルな枠の中でベストを尽くして来た結果、複雑になっちゃったこともあるんですが
この枠の中で、オラの車が欧州でイチバン速いべ!を決めるため70年近くバチバチやり続けて今に至ります
7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:40:18.319 ID:Xn0EgPJWx.net
■車が速いってどういうこと?
そりゃ速度が高い方が速いに決まってますが
みんなF1に限らず乗用車の話題でも
「○○って速いの?」「△△の方が速いし!」って話、よくするけど
速いってどういうことなのか、いまいちはっきりしません
F1は速い車の代表みたいなものだし
何がどうなると車は速くなるのかを、ざっくりと説明します
10:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:41:14.034 ID:Xn0EgPJWx.net
●直線で速い
一定の速度で進む車ってのは
エンジンの出す馬力(パワー)と空気抵抗(ドラッグ)が釣り合っている状態です
坂なら重力もあるんですがややこしくなるので一旦忘れて
速度が上がると空気抵抗も強くなるのはみんな経験的に理解できると思います
空気抵抗 = 速度 × 抗力係数
となっています。抗力係数とは空気抵抗の受けやすさのことです
パワーと空気抵抗が釣り合っているので
パワー = 速度 × 抗力係数
速度 = パワー ÷ 抗力係数
つまりパワーが大きいほど、また抗力係数が小さいほど、速いです
296:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/12(日) 00:47:58.143 ID:+0Y/kcGU0.net
>>10
空気抵抗=速度の二乗×1/2×Cd値×前面投影面積×空気の密度
じゃなかった?
298:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/12(日) 00:55:47.888 ID:wEdpJcLqx.net
>>296
補足ありがたいです
とりあえず手っ取り早く大雑把に
速度が上がると抵抗力あがるってわかってもらいたかった
12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:42:18.021 ID:Xn0EgPJWx.net
●加速、減速が速い
車はずっと同じ速度で走るわけではなく、加速したり減速したりします
0-100km/hの加減速に5秒かかる車と10秒かかる車で550mほど走ると5秒もの差がつきます
つまり加速力(トルク)と減速力(ブレーキ)が高いと速いです
また
力 = 重さ × 加速度
加速度 = 力 ÷ 重さ
なので重さが軽いほど速いです
13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:42:29.605 ID:Xn0EgPJWx.net
●コーナーで速い
曲がってる車ってのは、タイヤと地面の摩擦力(グリップ)と遠心力が釣り合ってる状態です
速度が上がると遠心力も強くなるのはみんな経験的に理解できると思います
逆に言えば、遠心力が大きい=グリップが高い=速いことになります
またこれも加速・減速と同じ理由で軽いほど速いです
14:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:42:42.888 ID:Xn0EgPJWx.net
●つまり
グリップが高くて
抵抗が少なくて
パワーがあって
軽い
こういう車が速いです(極論)
以降、この3点を軸にF1の変なデザインについて書いていきます
※本当は車重も、加減速やコーナーの速さに関係します
が、モタスポは基本的にみんなほぼ同じ重さなんで後述します
15:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:43:01.399 ID:Xn0EgPJWx.net
■グリップ
車はタイヤを地面に押し付けて走ります
この摩擦力(グリップ)が強いほど、よく進み、よく止まり、よく曲がり、速くなります
グリップはタイヤの
接地面積 × ゴムの柔らかさ × 地面に押し付ける力
で決まります
16:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:43:16.517 ID:Xn0EgPJWx.net
●接地面積
タイヤの大きさ(直径と幅)でだいたい決まります
大きさはF1に限らずどのカテゴリでもたいてい統一されていますのでみんな一緒です
しかしそれは静止した状態の話で、走行中の車は絶えず姿勢を変え続けています
ブレーキやコーナリングで傾いたとき、ギャップを踏んで跳ねたときなどにいかに接地を保てるかは、足回り(サスペンション)の作りに左右されます
サスペンションが硬いと、車の姿勢が変わりにくくなるのがメリットですが
車が跳ねたときに接地しづらくなるのがデメリットです
サスペンションが柔らかいと、車の姿勢が変わりやすくなるのがデメリットで車が跳ねても接地を保ちやすくなるのがメリットです
17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:43:29.445 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤの柔らかさ
タイヤの素材≒コンパウンドと呼んでいて、柔らかいほどグリップは高くなります
しかし柔らかいほど消耗も早く、ライフを終えたタイヤはグリップを失います
今のF1ではみな同じメーカーのタイヤを使うので条件は同じです
18:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:43:43.904 ID:Xn0EgPJWx.net
●地面に押し付ける力
まずは重力で、車体の重量で地面に押し付けます。これをメカニカルグリップと言います
が、レーシングカーはいかんせん軽く、F1はたった728kgで軽自動車より軽いです
タイヤに掛かる重さのことを荷重と呼んだりします
F1ではタイヤ1本に掛かる荷重は182kgしかありません
そこで足りない分を空気の力で補います
車体に気流が当たって抵抗になるのは免れないので
ならばその力を下向きに、地面に押し付ける方向に使おうという考え方、つまり空力です
19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:44:05.529 ID:Xn0EgPJWx.net
タイヤの条件はみんな同じなので
メカグリップと空力、この二つでダウンフォースをいかに多く作れるか
それを必要な時に必要な分だけ作れるかどうかが、高グリップを得る鍵になります
そしてグリップの高い車は速い
F1の変なデザインは、安全性を除けば全てはこのダウンフォースの為のものと言っても過言ではありません
以降、パーツ別に説明していきます
23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:46:29.586 ID:Xn0EgPJWx.net
■ウィングと整流板について
ウィングは車の前後に付いてる大きな翼のことです
フロント
リア
翼に見えないとか言わないで
飛行機の翼が飛行機を上に持ち上げるなら、翼を逆さにつければ車体を下に押し付けるはず
というのがウィングの基本的な考え方です
ウィングをつければダウンフォースを生みますが、同時に空気抵抗になります
速く走るためのものなのに、速度を出す妨げにもなるものなのです
このジレンマをどう解決していくかが、デザインのキモになっていきます
またウィングはきれいに気流が当たらないと正しく仕事をしてくれません
飛行機が乱気流に遭遇するとガクンガクンしちゃうのと同じです
なので、いかに後方にきれいに空気を流していくかが大事になります
また前後ウィング意外にも様々な空力のための付加物があります
ダウンフォースを生むための小さな翼をウィングレット
気流を整えるためのものを整流板と呼びますが
その境目は結構曖昧です
どんなスポーツもそうですが、こういう専門用語って初心者殺しですよね
24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:46:46.649 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントウィングの歴史
形状は徐々に変わってきましたが
フロントウィングに求められるものは今も昔もそんなに違いはなく
1. ダウンフォースを生んで車体を地面に押し付けたい
2. 前輪による空気抵抗を低減したい
3. 床下を含むボディ後半に空気をきれいに流したい
この3つです
80年代前半に一度姿を消したのは、別の方法でダウンフォースを得ることが出来るようになり、邪魔になったからです(後述)
80年台後半からが近代フロントウィングの黎明期とも言えシンプルなデザインです
00年以降でコンピュータの進化で一気に複雑な形状になっていき
09年に大型化され(後述)、現在に至っています
26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:47:33.763 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントウィングのデザイン
ダウンフォースを生むのは左右のオレンジ色のエレメントが重なっている部分で
中央のまっ平らな部分は、あえて機能させていません(後述)
ここは気流を素通りさせて床下に送る取り入れ口になります
また画像ではわかりづらいですが
裏面も後述するディフューザーのようになっており抜かりありません
単純にダウンフォースを生めば良いというのは90年代で終わりました
フロントウィングは車の先頭なのでいかに後ろにきれいに空気を流せるかかがノーズより後ろの空力装置に影響します
また車輪に気流が当たるのを避ける機能も必要になります
F1の空気抵抗の実に75%が車輪で生まれているので大変重要です
これらの仕事をマルチにこなすため到達点が、今のデザインです
昔の単調なものの方が好きだって気持ちもわかりますけどね
こんなぐにょぐにょしたカタチでも、けっこう大きな力を生んでいます
2013年の霊岩GPで、ロズベルグ選手のノーズがダウンフォースによりへし折れました
前車のスリップから出てダウンフォースが生まれた瞬間ノーズが折れフロントウィングを引きずって火花を飛ばしています
28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:48:19.786 ID:Xn0EgPJWx.net
●リアウィングの歴史
見た目的にはフロントほどドラスティックな変化がないのですが
注目すべきは初期のウィングは寝ているのに対して80年代中盤あたりから翼面の広告が正面から読めるほど急角度になることです
これは、もともと重いエンジンで安定していたリアが大パワーを出せるようになって自重だけではグリップが足りなくなった、という変化でしょう
また下や左右から支えるのではなく、上から吊り下げるようにすることもあります
これは翼は力が働く側が重要だ、という観点からです
飛行機がエンジンやミサイルを必ず翼の下面にマウントするのと同じ考え方です
29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:48:32.962 ID:Xn0EgPJWx.net
●リアウィングの役割
言うまでもなく、ダウンフォースの獲得です
大雑把に言えば、翼の角度を大きくして立てるほどダウンフォースは大きく寝かせるほど小さくなります
大きなグリップが欲しいのはコーナリング時です
進入ではブレーキングでリアの荷重が抜けるので少しでも安定させたい
旋回中は少しでも高いG(高い遠心力)で速く回りたい
脱出ではいち早くアクセルを開けて加速したい
なので翼は立てたい
ところが直線ではただ空気抵抗を受けるだけの無用の長物になります
翼には可能な限り寝ていてほしい、極論するとなくてもいい(後述)
この矛盾を解決することが、レーシングカーデザインの長年のテーマのひとつです
118:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:13:19.799 ID:Lk9TnTbO0.net
>>29
黒沢くんは合理的な改造してたんだな
30:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:48:34.064 ID:iHa88bQN0.net
タイレルの6輪がすきなんだけどああいうのはもう出んかな
32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:49:23.727 ID:Xn0EgPJWx.net
>>30
もう出んけどあとで6輪の話は書きます
31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:48:54.899 ID:Xn0EgPJWx.net
●リアウィングにまつわる変なデザイン
F1では「空力パーツは決して動いてはならぬ」という鉄の掟があるので直線のときだけ翼を寝かせる、ということは出来ません(後述)
掟を守りつつ、なんとか直線でだけリアウィングをキャンセルするために デザイナーは過去にいろんな工夫と屁理屈を考えました
カモメ
ノーズについてる変なやつが邪魔してリアウィングに気流が当たらない
コーナーでは気流が斜めになるのでウィングに当たり機能する、というもの
でもなかなか思惑通りにはいかず、ピーキーな特性だったようです
Fダクト
前方から取り入れた気流を、シャークフィンと呼ばれる背びれのような板を通して
ウィングの片面に直撃させ、翼をストールさせる仕組みです
コクピット脇を通る流路に穴が空いていて、通常はコクピットに吹き出して終わりますが
直線ではドライバーが手か脚でこの穴を塞いで気流をウィングまで送ります
2012年頃猛威を振るいましたが
稼働空力パーツであること、ハンドルから手を離すのは危ない等の理由と後述するDRSの導入によりなくなりました
小林可夢偉曰く、ストレートではFダクトで左手を、ブレーキバランスの調整に右手を使うのでアクセル全開で両手を離していることもあったそうです
126:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:14:46.124 ID:9At0eGCVr.net
>>31
2010年
132:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:15:57.913 ID:Xn0EgPJWx.net
>>126
すまぬ!
助かる!
155:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:22:25.796 ID:9At0eGCVr.net
>>132
12年か13年か忘れたがメルセデスのDDRSなんてのもあったよね
DRS作動させると穴が出てきて乱流抑制してたやつ
33:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:49:36.437 ID:Xn0EgPJWx.net
●直線ではダウンフォース要らないの?
直線で加速しているときにタイヤに掛かる力は、PUがタイヤを回すトルクだけです
これをグリップが超えなければ良いわけで、ゼロ発進のとき以外はメカグリップだけで十分※なのです
ホンダが輝いていた06年頃、BARホンダのマシンでF1最高速にチャレンジすることになりました
だだっ広い平原でひたすら真っすぐ走って計測します
そこで速度の邪魔になる空力パーツは取っ払うことにしました
フロントウィングは車がひっくり返らないために薄く残すことになりましたがリアは不要でした、そこで
「F1に『リアウィングがなければならない』という規則はないな、よし捨てろ」
「でも翼端板に関する規則はあるでやんす」
なんてやり取りをしながら作られた車がこちら
リアに立っている板は規則を守るために翼端板だけ残したリアウィングの残骸です
見事415km/hを記録し十数年ぶりに最高速を更新しました
※直線でもホイルスピンするほどのトルクは出そうと思えば出せます
が無駄なのでそうならんようにECUというコンピュータが計算してエンジン回しています
34:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:49:50.596 ID:Xn0EgPJWx.net
●翼端板てなに?
ウィングは、大雑把に言うと翼の上面と下面の圧力差でダウンフォースを作っています
飛行機くらい長い翼ならいいのですが、車のウィングは短いのでそのままでは左右から入り込む空気でせっかく作った負圧が潰れてしまいます
これを避けるために、左右につける板を翼端板といいます
36:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:50:21.649 ID:Xn0EgPJWx.net
●ウィング・整流板の変遷(1)
90年台後半から、コンピュータの発展もあり空力開発が激化しました
デザイナーはボディのあらゆるところにウィング、ウィングレット、整流板をつけるようになり
00年代後半にはこんなに刺々しい姿になりました
様々なウィングが試され、F1は空力のお化けになりダウンフォースは2Gを超えました
重力が1Gなので2Gを越えるということは、トンネルの天井に張りついて走れるということです
風洞実験
物理シム
これにより恐ろしいほどのコーナリングフォースを得て5G旋回に達するほどになりました
ホンダによると、一般車の旋回でせいぜい0.5G、旧NSXでも1G程度だそうです
あまりに速すぎるコーナリングを危険視して、タイヤの幅を狭めて溝を掘り接地面積を減らしたりトレッド幅を縮小したり、などの対策が取られるほどでした
鈴鹿のコースレコードは2006年のシューマッハによるもので今だにこれは破られていません
空力的にはこの頃が一番速かったのではないかと、個人的には思います
38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:51:11.707 ID:Xn0EgPJWx.net
●なんで急にGとか言い出したの?Gって重力のことでしょ?
重力に限らず、遠心力、加速力、減速力などの「力」は
力 = 重さ × 加速度
で表されます
力の単位は「N(ニュートン)」ですが重さによって変わってしまうので
加速度の方をパラメータとして扱ったほうがわかりやすくなる場合があります
加速度の単位は「m/s^2」なんですが、これも長ったるい
そこで重力の加速度を1とした単位が「G」です
ベッドに横になって頭だけ外に出した時、首にかかってるのが1Gの加速度
5Gの遠心力ってのはこの5倍、って考えるとわかりやすいでしょ
39:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:51:28.726 ID:Xn0EgPJWx.net
●ウィング・整流板の変遷(2)
直線で前を走る車を追い越すには、それなりの速度差が必要です
次のコーナーまでに少なくとも並ばなければならないわけですから
しかしF1の全長は5mほどあるので、速度差が5km/hあったとしても250km/hならその間に250mも進んでしまいます
しかし、近しい性能の車で戦う競技なのでそう簡単に速度差は付きません
そこでスリップストリーム(走る車の真後ろの空気抵抗が少ない空間)を利用します
空気抵抗が少ないから、前車より高い速度で走れるので
それを利用して速度を上げよう、というモタスポの基本戦術です
しかし、この空間が出来る理由は、空気の乱流です
たくさんのウィングによるダウンフォースに頼りきったF1マシンは
乱流にナーバスで、スリップどころか近寄るだけで挙動が危うくなってしまいました
かと言って、スリップを使う以外に前車より速く走る方法もなく※
抜きつ抜かれつのバトルが出来なくなってしまったのです
「F1はオーバーテイク(追い抜き)がなくて退屈」という人はこの時期(2004~2008)のことを指しているのでしょう
※オーバーテイクについては後述します
41:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:51:44.995 ID:Xn0EgPJWx.net
●ウィング・整流板の変遷(3)
バトル出来なきゃ意味がないということで
2009年に大改革されフロントとリア以外のウィングはほぼ削除されました
これにより従来のダウンフォースの約50%が削減されました
91年(すっきり)
08年(ごてごて)
09年(すっきり)
前車の真後ろで走れなくなった原因は主に、前車の起こす乱流にあります
なのでまず乱流を軽減し、少しでも影響しづらい位置に起こるようにリアウィングは幅が狭く高くなりました
また少しでも受ける影響を減らすため
もっとも影響を受けるフロントウィング中央はもともと機能しないようにして
かわりに幅を車幅と同じになるまで拡大しました
デザイナー陣は、失ったダウンフォースをグラウンドエフェクト(後述)に求め
全車いっそうのハイノーズ化が進みました
改めて、前後ウィングとディフューザー、ボディの使い方についてデザイナーの真価を問われる時代に突入しました
43:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:52:06.954 ID:Xn0EgPJWx.net
この高いリアウィング、大きいフロントウィング、ハイノーズをカッコ悪いと感じるのはわかります
ですがこのような規定にしたことを非難するのはちょっとズレていると感じます
空力が洗練された結果バトルができない領域にまで到達した
これはしかたがないことです
かと言ってただ隊列を組んでダラダラ走っていても意味がありません
だったらその原因を排除するのは当然のことなのです
つまり、速さを追求した結果このような形状になったわけで
規則を作る側がアンポンタンだったわけではない、と思うのです
これでウィングの話はいったんおしまい
続いて、ノーズ形状について説明したいのですが
その前にまずグラウンドエフェクトについて書きます
44:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:52:19.453 ID:TMGwSkbqd.net
今こんなんになってんのか~
割と格好いいな
47:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:53:08.112 ID:Xn0EgPJWx.net
>>44
タイヤ幅が大きくなって、リアウィングが低くなったんで
全体的にワイドローに見えてかっこいいよね
45:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:52:25.156 ID:Xn0EgPJWx.net
■グラウンドエフェクトについて
1960年台から多くのデザイナーが
ウィングを立てると、ダウンフォースは増えるが空気抵抗で遅くなる
ウィングを寝かすと、空気抵抗が減って速いがダウンフォースが減って曲がらない
というジレンマに悩み、あることに気づきます
「飛行機の翼を逆さにやってるのが前後のウィング。車体でもやれば良いのでは?」
そこで、最初に斜体の左右にウィングを付けたのがマーチ701(たぶん)
でもあまり効果は出ませんでした
翼と地面の間の気流が速まって出来た負圧をダウンフォースとするはずなのに
51:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:54:02.898 ID:Xn0EgPJWx.net
ガラ空きの左右から空気が入り込んで負圧を失ってるのがマーチ70の敗因でした
開発者はロータスに移籍し、じゃあ翼端板をつければいい、つまり左右を塞ぐことになりました
これでできたのがロータス78
この車が発表されたときには誰もこの秘密に気付きませんでした
少しでも空気の流入を防ぐためにサイドスカート(翼端板)の先端はブラシになっていましたが
それが何を意味するのかは誰もわかりませんでした
これにより床下に負圧を作り、車を地面にがっちり吸い付ける力を生み出しました
この床下で発生するダウンフォースは「グラウンドエフェクト」と呼ばれ
とても大きなダウンフォースを発生し猛威を振るいました
フロントウィングが歴史の初期で一度姿を消したのはこの時期です
この左右の翼の前に位置するフロントウィングは邪魔になったのです
翼を持った車ということで、ウィングカーと呼ばれることになります
そして本体左右の翼と翼端板で作られた箱を、サイドポンツーン、サイドポッドと呼ぶことになります
デザイン的に、初期の葉巻型からサイドポッドのある現代型への分岐点です
53:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:55:19.804 ID:Xn0EgPJWx.net
●ウィングカーの問題点
ウィングカーを完成に導いた翼端板ですが同時にアキレス腱にもなりました
車が跳ねると、横から床下に空気が入り込み負圧を失い
一気にダウンフォースを失ってしまうことです
最もダウンフォースが欲しい場面、つまりコーナリング中にこれが発生すると
車は冗談抜きで吹っ飛んでしまうため、とても危険でした
少しでも空気の流入を防ぐために様々な工夫がなされましたが
82年のジル・ビルヌーブの死亡事故などが重なり
やっぱり危険性は排除できず、83年にフラットボトム規定を定めました
「前輪から後輪まで床下は平らに」という内容です
当時の腕自慢ドライバー達も、完全にコントロール限界を超えてたのでこの規制は間違っていなかったと思います
これで事実上グラウンドエフェクトは禁止され…
…たかの様に思われましたが
こんなことで諦めるような軟弱者はF1デザイナーではありません
56:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:55:36.752 ID:Xn0EgPJWx.net
●ディフューザー登場
「『前輪から後輪までフラット』っつーことは、後輪より後ろはいいんだよな」
というデザイナー陣の解釈で、車体のテールエンドはせり上がった形状になり
床下の空気を吸い出すことに成功します
それがディフューザーです
狭い床下を通ってきた空気の出口を大きく広げることによって引き抜き
ベンチュリ効果により床下の気流の速度を上げ、負圧を生む装置です
これにより、グラウンドエフェクトは失われることはなく
ダウンフォースを稼ぐ要素として活躍して行くことになります
市販車でもスポーティな車種のリアバンパーの下側は
このディフューザーの意匠を真似たものになってることがあります
またスーパーカーの類は本気でディフューザーを装備していることもあります
※後述のファンカーの項目も参照ください
60:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:56:33.316 ID:Xn0EgPJWx.net
●翼端板なくなっちゃったけど大丈夫なの?
ウィングカーのでは本体左右の翼でダウンフォースを作っていたので翼端板が必要でした
しかしディフューザーによるグラウンドエフェクトは床下全面が対象なのでなくても問題ない、とまではいかんまでも、ある程度の低い車高を保てればOKなのです
63:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:57:20.554 ID:Xn0EgPJWx.net
●アクティブサス登場
グラウンドエフェクトを研究し続けた結果、フラットボトム+ディフューザーでも地面と床面の間隔を狭く、水平に、ミリ単位で適切に保てれば十分なダウンフォースを得られるとわかりました
そこでチームは走行中の車高を低く一定にしたいと考えましたが
せいぜいサスペンションを固めるくらいしか出来ませんでした
サスが硬い→車高一定だが車が跳ねてピーキーで運転しづらい
サスが柔い→車高は上下するがタイヤが地面を離さず運転しやすい
というジレンマ。それを覆したのが、アクティブ・サスペンションです
サスペンションを機械で積極的に動かして常に車高を一定に保つシステムです
これには80年代に一度、ロータスがトライしましたが技術的な問題が多く機能しませんでした
大ハマりしたのが92年のウィリアムズFW14Bで、他の追随を許さずグランプリを圧倒しました
「ここはモナコ、モンテカルロ!絶対に抜けない!」で有名な1992年のモナコGPで
マンセルが煽りまくり、セナに青旗上等の鬼ブロックさせたのはこの車です
https://www.youtube.com/watch?v=YsqipJ2lSZs#t=90s
65:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:57:38.720 ID:Xn0EgPJWx.net
●(当時の)ハイテク規制
250km/hで暴れる車体を路面の凹凸に合わせて制御するなんてGPSも使えいような90年代前半には、なかなかにハイテクでした
また当時のアクティブサスには、トラクションコントロールやアンチロックブレーキなど
タイヤを空転させない制御が必須で、合わせて開発されていました
当時市販されてたCPUの動作速度が120MHz(ギガじゃない)程度ってことを考えればどれほど困難で金のかかる開発だったか想像出来るでしょうか
貧乏チームは完全に置いてけぼりになってしまいました
そこでテコ入れ
まず従来からある「空力装置は決して動いてはならぬ」というルールを適用してアクティブ・サスペンションは非合法になりました
ついで「トラコンやABSもやめにして、ドライバーの技術で頑張るべき」とすることで開発費の高騰を抑えました
これが俗に言われるハイテク規制です
当時ハイテクだっただけで、今からしてみれば可愛いもんです
しかしこのアクティブサスの発想はここでは終わらず
14年後の2008年にFRICサスペンションとして再び姿を表すことになります(後述)
67:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:58:02.289 ID:Xn0EgPJWx.net
●ステップドボトム
フラットボトム規制でもまだ足りないので、床面を縦に三分割して両サイドの高さを少し上げることで
フラットよりさらにダウンフォースを削ることを検討していたところ
1994年のアイルトン・セナの死亡事故があり、前倒しで導入することが急遽決まりました
しかしチームはそんなにすぐに対応できないので
「床板に1cm厚の木の板貼り付けるので勘弁して」と提案し94年はこれで乗り切りました
翌1995年、予定通り5cmのステップと、昨年の木の板も残して、都合6cmの段差が床下に生まれました
これがステップドボトムと呼ばれるもので、現在も踏襲しています
木の板を残した理由は、ダウンフォースを稼ぐためこっそり車高を下げたとしても
レース後にこの板をチェックして、削れてたら失格にすればいいよね、というものです
現在は木ではなく、合成樹脂を使っています
これをスキッドブロック、スキッドプレートと呼んでいます
68:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:58:18.449 ID:Xn0EgPJWx.net
規制が緩かった頃は、べったべたに車高を下げていたので床板を擦るのなんて当たり前でした
走るたびに床板が削れてたらすぐ壊れちゃうので擦りそうなところにチタン合金製のブロックをつけていました
これが地面に擦ると派手な火花が散っていました
当時は「下品な花火はやめろ」と焼結金属製に変更させたりしていましたが
今になって「火花散らそうぜ!かっこいいから!」なんて言ってるFIAです
やれやれです(個人的には火花好きです)
70:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:58:42.883 ID:Xn0EgPJWx.net
グラウンドエフェクトの話はここまでにしてフロントノーズの説明に移ります
71:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:58:58.409 ID:Xn0EgPJWx.net
■フロントノーズ
鼻面のことです
ドライバーの足やサスペンションが入ってるあたりより先がフロントノーズになります
極論すればフロントウィングのための極太のステーなんですが
車の先端であり最初に気流を受ける場所なのでとても大事なパーツです
またクラッシャブルストラクチャ(衝突時に壊れることで衝撃を吸収する)であり
ドライバーの安全を守るパーツでもあります
あとやっぱ車の顔的なパーツなんで印象に残りやすいです
73:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:59:23.663 ID:r2sLb9fn0.net
やっとカモノハシノーズの話かー
77:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:01:55.006 ID:Xn0EgPJWx.net
>>73
またせたな
個人的に嫌いじゃなかったんだけどね、超ハイノーズ
74:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 21:59:41.181 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントノーズの変遷(1)
昔のフロントノーズはコクピットから地面に向けてまっすぐ伸びてました
が、ティレルのデザイナー、ジャン・クロード・ミジョが
「床下の流量が増えるのは良いことだから、ノーズを大きく上げて空気を多く取り込もう」
と考えました。それが1990年に中嶋悟が乗ってたティレル019
6輪で有名なティレルのやることなので色モノ扱いでしたがこの年5位に食い込み
1994年ベネトンB194がタイトルを獲得して、ハイノーズは正義!の流れが決定的になりました
それまでずっとローノーズだったマクラーレンもウィリアムズも翌年からハイノーズ化
ノーズは、前輪より後ろのモノコック(コクピット周りの骨格)から生えているので
そのまま上げてしまうとフラットボトム規定に抵触します
そこで、ノーズは床板から切り離し、床板はノーズの真下で前輪の位置まで伸ばすことにしました
ノーズ下にちらっと見える板はこれです
76:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:01:25.604 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントノーズの変遷(2)
ハイノーズ当初は従来の形を継承したまるっこい断面形状でしたが
だんだんとエッジなシェイプになっていきます
ノーズのレギュレーションには断面積や高さの他に、強度もあります
衝突時に積極的に壊れて衝撃を吸収するクラッシャブルストラクチャであるためです
実際にぶつけて壊すクラッシュテストに合格しなければなりません
空気流路を少しでも稼ぐためノーズ下を削りたいけど断面積の規定に抵触してしまう
という問題を解決するためにU字型断面も流行りました
最近はエッジな断面形状が主流です
80:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:02:06.262 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントノーズの変遷(3)
少しでも多くの空気を床下に送るためノーズは年々高くなり
ついにほぼ水平になりました
ドライバーはこんな格好で運転しています
ところで以前、F1のニューススレなどで「グロ注意」というのをみたことがありませんか?
これはグロテスク画像注意ではなくロマン・グロージャン選手が他車に特攻するので注意、を指します
グロージャンがしょっちゅうやらかしてくれたお陰で
他車が真横からぶつかった時に、高いノーズのせいで乗り上げやすく
ドライバーの首を刈ってしまうのでは?という危険性に気づくことが出来ました
82:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:02:54.665 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントノーズの変遷(4)
そこでノーズの付け根部分の高さに規定を設けました
ノーズが下がれば、ドライバーの頭部を守れるだろうと
しかしデザイナー達は、ノーズの先端を下げることはしなかったどころか
ノーズの付け根の位置をあからさまに、当てつけのように下げるだけでした
これが2012年の段差ノーズです
段差で空気抵抗を受けたとしても、ハイノーズの恩恵の方が大きかったのです
当時「F1史上もっとも醜い」なんて揶揄されましたが、それは2年後のさらなる悲劇を知らぬゆえ
翌2013年は「段差はカッコ悪いから化粧板つけても良いよ」という規定ができました
上にペラいカバーをかぶせているだけで中には段差がいます
なんでじゃ!段差かっこいいじゃろ!とそのままのチームも
こんな段差ノーズでお茶を濁していたところ、件のグロージャンミサイルがアロンソ選手に炸裂し
あとちょっとずれてたら首がもげてたかもしれない大クラッシュがおきました
これを経て、やっぱりハイノーズ危ないぞ
ノーズの根本じゃなくて、先端の高さを規定しないといかんぞ、となりました
※グロージャン選手はこの後、心と技術を入れ替えて、走りも成績もマイルドな選手に成長しました
83:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:03:12.176 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントノーズの変遷(5)
そして2014年、ノーズの先端の高さにも規定が設けられました
人死が出てからでは遅いですから
これに素直に従ったのが、フェラーリとメルセデス
ノーズ付け根までは従来のままで、そこからグイッと下げた形状
しかし床下への空気の取り入れ口を狭めるのは、ダウンフォースを多く失うことになります
多くのチームは従来のハイノーズのまま、先っぽだけお飾りのノーズをくっつけました
空気の取り入れを邪魔しないように、規定ギリギリの細さになっているので卑猥な形に
特に小林可夢偉選手の乗っていたケータハムはこんなに立派なモノが
アリクイノーズなんて言葉で誤魔化してましたが
「f1 pxxxs nose」「f1 dxxk nose」でググると、外人も同じこと考えてんだなあって実感できます
https://goo.gl/8JRfHX
これも無責任に揶揄する人が多いですが、速さを追求するためにはしかたのない形状なのです
86:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:03:39.921 ID:Xn0EgPJWx.net
●フロントノーズの変遷(6)
これまで空力で他を圧倒してきたレッドブルもおちんちんノーズを採用したことで
メルセデス、フェラーリの掃除機みたいなノーズでは床下の気流が不足してしまうのでは?
という予想もありましたが
2014年はダウンサイジング化や完全ハイブリッド化といったエンジンの大幅な改革があり
画期的なターボ開発に大成功したメルセデスの圧勝という形で終わり
おちんちんノーズの優位性は良くわからないまま、ブームは終焉に向かいました
これを受けて2015年は
レッドブルも
フォースインディアも
ウィリアムズも
若干名残りがありますがみんな素直ノーズ
2017年でもこの名残りおちんちんをつけているチームは多いですが
これは強度を保つ(クラッシュテストに合格する)ためのものです
こんな感じで、ノーズの形状ひとつがグラウンドエフェクトという空力にに大きく関わる
ということがわかってもらえると思います
また過去のF1のデザインと大きく印象の異る
高い位置からストンと落ちる急角度なノーズの理由もわかったかと思います
つづいてボディ形状の話に移ります
90:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:05:36.316 ID:Xn0EgPJWx.net
■ボディ形状
ボディはただ空気抵抗の少ないなめらかな形をしていればいい、というのは昔の話です
ボディにそって流れる空気を整流していかにきれいに後方に流すか、がキモになります
一昔前の市販のセダンに小さいウィングがついてたのを覚えていますでしょうか
あれはオシャレでも、ダウンフォースのためでもありません
車が高速で走ると車体後端など、ボディ面の曲率が極端に変わるところで、乱流が発生します
この乱流による振動で乗り心地を損なわないよう、乱流を遠ざけるための装置でした
F1では乱流はドラッグとなり、ウィングの働きを阻害するので整流します
またボディの後端には大事なリアウィングとディフューザーがあるので
ボディの後方は出来るだけ細く低く絞り込み、気流をきれいに多く流すのが得策です
昔のマシンを比べると
現在の方が、リアエンドが絞りこまれているのがわかると思います
ボディの後半にはPU(エンジン)とギアボックスが積まれているので
これらを小さくできれば空力的に有利なデザインに出来ます
かと言ってそれにこだわりすぎてPUの性能を損なってしまっては意味がありません
2015年のマクラーレンMP4-30がまさにそうでした
91:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:05:48.818 ID:Xn0EgPJWx.net
●ボディの変遷を60秒でまとめ
92:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:06:11.596 ID:Xn0EgPJWx.net
●コクピット保護
フォーミュラはオープンコクピットなので
いくらサイドウォールを高くしても、ドライバーは無防備です
F1では、マリア・デ・ビロタ選手、ジュール・ビアンキ選手の事故死※
一歩手前で助かったマッサ選手の事故などがあり※
インディでもジャスティン・ウィルソン選手が亡くなったのを受け
コクピットの保護が必要だ、という論が盛り上がってます
キャノピー付ける説は何度も持ち上がっては消えていますが
現在検討されてるのはハローと呼ばれるもの
ビーチサンダルと揶揄された見た目はともかく、命にかかわるものなので近いうちに導入されるかもしれません
※両名とも、顔面の高さにある構造物に突っ込み負傷しました
※マッサんは、前車から脱落した部品が250km/hストレートで顔面にヒットしました
94:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:06:53.614 ID:Xn0EgPJWx.net
●未来のデザインコンセプトいろいろ
中の人達の「ぼくのかんがえたえふわん」いろいろ
フェラーリ
マクラーレン
レッドブル
アルファロメオ
ベントレー
その他
95:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:07:26.849 ID:Xn0EgPJWx.net
■サスペンション
F1のサスペンションはダブルウィッシュボーンです
普通の車のダブルウィッシュボーンはこんな感じ
アッパーとロアの2つのアームで支える構造なのは一般車と変わりませんが
気流にさらされるF1のアームはただの棒ではなく平たい空力を考慮した形状になっています
フロントは特に、車体前方でチャカチャカ動くところなので
後方の気流に影響をきたしやすい、かと言ってサスはタイヤの接地性に大きく関わるものでもあるので
かなりデリケートな設計が要求される重要なパーツです
またタイヤがむき出しのF1ではバネとダンパーは一般車のように置けないのでノーズの中に入っており、ロッドでつながっています
このロッドがサスペンションを押すのか(プッシュ)、引くのか(プル)で
サスの搭載位置やアームの動く量、ロッドの太さなどが変わるので走りや空力に影響が出ます
左がプッシュロッド、右がプルロッド
一般的にはプッシュロッドの方が扱いやすいのですが
プルロッドにも空力面でメリットはあるので採用されることもあります
97:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:07:41.767 ID:Xn0EgPJWx.net
●アクティブじゃなくても車高調整したい
「コーナリングは荷重移動の上手い奴が強い」てのを知ってる方も多いと思います
ブレーキングで前に荷重移動して、舵をとる前輪のグリップを高めて回頭性を上げるという戦術で、間違ってはいません
ブレーキがせいぜい1Gの乗用車の世界では
F1のブレーキは6Gを超えており、728kgの車重にして、300kgを超える大荷重移動が起こります
リアタイヤには幼女ひとりぶん程度の荷重しかかかっておらず、大変不安定な状態になりコーナリングどころではありません
でもF1のグリップは空力によるものが大きいので、それでカバーすればいいわけです
つまり車高をできるだけ低く、姿勢を水平に保ちたい
フロントが沈みリアが浮くのは空力的にはよろしくありません
かと言って沈まないように足を硬めると、今度は跳ねやすい車になってしまう
この矛盾を解決するために編み出されたのがFRICシステムです
前後のサスを油圧で繋ぎ制御することで、片側だけが極端に沈むのを抑制します
偏荷重時にも車体は水平に、でも縁石を踏んでもしなやかに脚が動くようにと
まるで脚の動きをマッピングしているかのようにコントロールできます
まさにアクティブ(能動的)サスのようですが、FRICはどうやらパッシブ(受動的)っぽいのです
08年に開発され、16年(15年とも)にメルセデスが導入し、各チームも追従したといわれています
が、後に「実際はアクチュエータ繋いでるし、残念ながら非合法」と通達され
現在では使われていない…ことになっています。このようなサスを総じてトリックサスと呼んでいて
そろそろ解禁しても良いんじゃない?姿勢を保つのはサスの基本機能だよ!って声が高まってます
100:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:08:08.225 ID:Xn0EgPJWx.net
●バネも
普通のバネは、中学の理科でやった
反発力 = 縮んだ長さ × バネ定数
で表されるように一定で線形ですが
F1のサスに使われているバネは縮んだ長さによってバネ定数(硬さ)が変わります
「このくらいの縮みなら、ダウンフォースによるものだから、硬めに」
「ここまで縮むのは、縁石に乗ってるはずなので、柔らかく」
のように、ただの一本の金属バネにバネレートがマッピングされた非線形バネが使われます
104:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:09:31.287 ID:Xn0EgPJWx.net
じゃあ、今年の最新デザイン行きます
105:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:09:49.173 ID:Xn0EgPJWx.net
■各チーム2017年のデザイン
メルセデス W08(メルセデス)
レッドブル RB13(タグ・ホイヤー ※ルノー)
フェラーリ SF70H(フェラーリ)
フォース・インディア VJM09(メルセデス)
ウィリアムズ FW40(メルセデス)
マクラーレン MCL32(ホンダ)
トロ・ロッソ STR12(未定 ※ルノー)
ハース VF-17(フェラーリ)
ルノー R.S.17(インフィニティ ※ルノー)
ザウバー C36(フェラーリ ※2016年製)
153:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[sage]:2017/03/11(土) 22:21:32.864 ID:tBYr/sfk0.net
>>105
おいレッドブルのこれ去年のマシンだろ
158:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:24:58.309 ID:Xn0EgPJWx.net
>>153
ありゃ
すまぬ
今年のはこのエアインテークの左右あたりがもっこりしてるのが特徴
106:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:09:55.288 ID:xx89dK1u0.net
アロンソが乗ってた頃のマイルドセブンの青いルノー好き。ヘルメットにちんこみたいなドコモのアイモードのマークついてる奴
138:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:17:49.381 ID:ttYdOAz30.net
>>106
これだろ?
トップギアの元司会のリチャードが運転してたヤツ
107:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:10:04.044 ID:Xn0EgPJWx.net
●2017年デザインの特徴
久しぶりというか、ほぼ初めての「速くするため」のルール改定がありました
別に去年までもそんなに遅くはなかったのですが
・タイヤ、車幅(床板幅)、ウィング、ディフューザの大型化
・空力付加物の規制緩和
などがあり、グリップが大幅に上がっており
ラップタイムで4~5秒のゲインが見込まれています
いいことづく目のようにも見えますが、タイヤと車幅が太くなったぶん
ドラッグも大きく増えているので、そうれをどう処理していくかが見どころです
シャークフィンを復活させたチームが多く見られます
これは低くなったリアウィングのための整流目的ではないかと見られています
またシャークフィンの上にウィングレットが付加されてる物もあります
メルセデスがシャークフィンをチムニー(煙突)として使うというアイディアを見せています
108:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:10:12.586 ID:LiHuyiwV0.net
シャークフィンは百歩譲って良い
Tウイングだけはやめてくれ
114:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:12:56.877 ID:Xn0EgPJWx.net
続いて、PU(エンジン)の話をします
116:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:13:12.702 ID:Xn0EgPJWx.net
■パワーユニット(エンジン)について
現在のF1のエンジンは、少し車に詳しい人ほど理解し難い謎な機械になっています
乗用車のエンジンの知識で下手に語ると火傷します
賛否ありますが、かなりエコ(ロジー、ノミー)に振った縛りプレイ仕様で
ハイブリッドなことはもうみなさんご存知だと思います
全体を大きく
・ICE(従来のエンジン)
・TC(ターボチャージャー)
・MGU-K(運動エネルギー回生システム)
・MGU-H(熱エネルギー回生システム)
・ES(エナジーストア、電池のようなもの)
・CE(制御エレクトロニクス)
この6つにわけて考える事になり、エンジンという呼び名ではなく
「パワーユニット、PU」と呼ぶようになりました
ICEは、1.6L・V6・直噴・シングルターボ
MGUは、出力軸につけられた「MGU-K」と、ターボ軸につけられた「MGU-H」の2つがあります
120:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:13:41.623 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(1)
モタスポではリストリクターという装置で性能の均一化を図るのが一般的ですが
F1では燃料リストリクターを使っています
一度に使える量、全体で使える量を統一して、その燃料をいかにスピードに変えられるか競おう
というもので、総量105kgで、最大流量100kg/hまでです
レブリミットは15,000rpmですが、燃費を考慮して
だいたい11,000~12,000rpmくらいで走ることが多いです
以前に比べて音がしょぼくなったのは、主にこの低回転化にある(と思ってます)
15,000rpmでも低いよ!とお思いでしょうが、これはメーカーの要望でもあります
結局、超々高回転型ユニットなんて開発してもあんまり他に役に立たないし
新規メーカーへの参入障壁にもなるから、というものです
燃費は105kg※の燃料で310kmくらい走るわけですから
ガソリンの比重を0.75kg/Lとするとだいたい2.2km/Lちょいってところです
※去年まで燃料は100kgでしたが2017年からタイヤとボディの大型化に伴い5kg増量されました
123:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:14:04.995 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(2)
ターボとは、排気ガスで風車(タービン)を回し、その回転で圧縮機(コンプレッサー)を動かしてエンジンに圧縮した空気を無理やり詰め込み、酸素を増やして大出力を得る、という機械です
空気は圧縮すると温度が上がる上に、高温になるタービンからの熱も加わって、アチアチです
しかし温度が上がると効率が下がるので、インタークーラーで冷まして使います
この冷却をどれだけ効率良く出来るかが鍵になります
「タービンの近くにあるからコンプレッサーに熱が伝わっちゃうんだよな、じゃあ…」
と、2014年にメルセデスが作ったのが分割ターボです※
両者をエンジンの前後に分割して、Vバンクの間を通した軸で繋ぎました
言葉にすると簡単そうですが、毎分12万回転以上※に達するターボ軸を何十cmも伸ばすなんて恐るべき工業力です
これが大当たりしてメルセデスはこの3年常勝チームとなり
他のPUサプライヤーも追従し、分割ターボは完全なトレンドとなりました
このターボエンジンを使って、だいたい700~750馬力くらい捻り出しています
ターボ配置は現在はこうではないかと言われています(不確定)
※分割ターボのアイディア自体は過去に市販車でありました。実用化はしませんでしたが
※ふつうターボ軸は20万回転を超えることもありますが、F1では12.5万回転を上限に設定しています
124:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:14:33.164 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(3)
乗用車のエンジンはふつう、まずシリンダーに燃料を吹いておいてプラグで点火するとそこを中心に燃え広がります
F1も直噴でプラグひとつなのは同じなのですが
燃料を1/1000ccも無駄にしたくない、できるだけ少ない燃料でパワーを出したいわけで
タービュラント・ジェット・イグニッションという点火方法を各サプライヤーが独自に採用しています
これは本来シリンダーに吹く燃料の3%くらいをチャンバー(別室)で先に点火しておき
プラグ点火と同時に※その火焔もシリンダーに投入することで全体くまなく一気に着火するもので
燃焼効率が上がり、少ない燃料での燃焼(リーンバーン)を実現できます
点火プラグはひとつと決められているので
チャンバーでの点火には断熱圧縮を利用しているのではないかと言われています
「F1で燃費なんて」と思うかもしれませんが、燃費に余裕があれば
ガス欠を気にして踏みたいところでアクセルを踏めない、ということも減るし
もっと良くなれば燃料搭載量自体を減らし軽くなることも出来るかもしれません
※TJI自体はF1で生まれた技術というわけではなく、以前からあったものです
※TJIには本来点火プラグは不要なんですが「ひとつのプラグで点火すること」という規則があるのでおそらくプラグは残しているであろうと考えられています
※ホンダはこの技術の投入に1年出遅れましたが今季から導入されるとのことで期待したいところです
お気付きの方もいると思いますがこれってCVCCと似たような技術なんですけどね…
128:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:15:16.782 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(4)
MGU-Kは減速するときに発電して、加速するときに消費し、最大は120KW(161馬力)出ます
MGU-Hはターボ軸につけたモーターです
MGU-Kが1周で使えるエネルギーは4メガジュールまでなので、フルパワーだと最大33秒ちょいで空になります
MGU-Kを使うのは主に直線ですが、使いきってしまうと161馬力落ちで走ることになります
腕自慢のアロンソをして「(速度差ありすぎて)抜かれるのが怖い」くらい速度の差がでます
でもMGU-Hで発電したぶんは好きなだけMGU-Kにまわして良いので
MGU-Hの働き次第で、アシスト時間を伸ばすことができるようになります
導入された頃は「ターボ軸ごときがそんなに多くは発電できるはずない」とも言われていましたが
現在ではほぼ一周問題なく走れるくらいは発電できているようです
ターボエンジンは、エンジン回す→排気でタービン回す→吸気を圧縮→大パワーが出せる
というサイクルのため踏んでから大パワーが出るまで時間差があり、これをターボラグと言います
これを回避するために、シリンダーの外で燃料を燃やしてタービンを回すアンチラグシステムというのがありますが
F1ではMGU-Hでタービンを回してしまうことが出来るので、これは必要ありません
129:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:15:26.607 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(5)
注目すべきは現在の熱効率で50%にも届くと言われています
熱効率ってのは、燃料自体が本来持っているエネルギーを、どれだけ運動エネルギーに
大雑把に言えば速さに変えることができたかっていうことです
現行プリウスが熱効率40%程度でドヤ顔していることを考えれば50%がどんな数字なのかわかりやすいかもしれません
もちろんMGUのお陰でもあるのですが、その一端は燃料も担っています
燃料は市販のものと大差ない配合のガソリン、となっていますが
各チームがそれぞれ燃料メーカーと組んでスペシャルブレンド作りに余念がありません
それでも80年代みたいにトルエンが大量に混ざってるとかいうことはないですが
今年からダウンフォース増量のために、PUに掛かる負担は大きくなっており
高効率燃料ってのは、我々にフィードバックされる可能性も高いですし
燃料メーカーの開発競争も見逃せません
135:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:16:59.128 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(6)
基数制限があり、年間4台までです
今年は全20戦あるので、1基で5戦は戦うことになります
これは基数が減る前提で作れば、コストも減るだろうという考えてに基づいています
速さと耐久性を兼ね備えたユニットという難易度が開発コストを上げるのでは?
という発想ももちろんありますが
実際WECではポルシェは回生装置を新品に取り替えてバカッ速ではあるのですが
その分お金も青天井で持って行かれてることなどからも、完全に間違いではないようです
シーズン中の開発制限は条件付きで撤廃されました
ただし新スペックを投入すると、それで1基消費したとカウントされます
やんごとなき事情で4基以上使う場合は、投入するたびに5グリッド降格のペナルティがあります
全部で20台しか出走してないのいいことに
「じゃあこのレースで200基投入して1000グリッド降格受けるわw」
という屁理屈は通らなくなりました
今年から降格グリッドは加算されます
137:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:17:31.262 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(7)
乗用車はキーやスタートボタンでエンジンを始動出来ますが
レーシングカーにはこの装置がついてないなことが多く外部から棒を突っ込んでエンジンを回したりします
F1も以前は同様で、スピンアウトで停車してエンジンが止まったら即リタイアでした
なのでその対策として一定の回転数以下になるとギアがニュートラルになる装置がありました
このせいでビビってアクセル踏めないとうまく発進出来ません
現在はハイブリッド化したので、ついでにスターターも搭載されました
これは即リタイアしないためだけではありません
スターターが搭載される以前、マクラーレンMP4-25にはディフューザーの上に大きな穴がありました
ディフューザーの面積は決まっているので、これは反則では?と疑われましたが
「これはディフューザーじゃないもん、スターター差し込む穴だもん!」
という屁理屈で逃げられことがあったので、その対策でもあります
139:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:17:53.431 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(8)
パワーユニットにはモードが幾つかあります
巡航モード、低燃費モード、逃げモード、本気バトルモード、とかとか
これらはハンドルについてるボタンで切り替えますが
ドライバーの意思だけで決めているわけではありません
走行中のデータはすべて専用の衛星通信で本国に送られ
ストラテジスト(戦略家、軍師)がスパコン使ってベストな方針を立て
現地のピットに伝令されドライバーがそれに従う、みたいに総合的に決められています
またユニット全体として、ワークス版とカスタマー版があると言われています
メルセデス、フェラーリ、ルノー※、マクラーレン※以外のチームはそれらのチームの母体であるメーカーからPUを買っているわけですが
メーカーとしては、プライベーターに自チームより好成績をとられても面白くないので
良質なものをワークスに回したり、性能差をつけたりしていると言われています
最強と名高いメルセデスPUは、購入する際の契約条項に
「メルセデス相手にはガチバトルモードを使わない」という呪いがあり
マクラーレンはそれを嫌って14年に、20年も連れ添ったメルセデスと別れたと言われています
※ルノーはレッドブルのほうがワークス待遇じゃないか説が実しやかにあります
※マクラーレンはプライベーターですがホンダに他のチームに売るなと制約しています
140:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:18:09.080 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(9)
もしみなさんがチームを作ってF1に出よう!と思ったとき
誰もPU売ってくれなかったらどうしよう…という心配はありません
契約できるPUサプライヤーが見つからない場合は
一番供給数が少ないサプライヤーが1200万ユーロで供給しなければならない
というルールがあります
マクラーレンにのみ供給しているホンダがそれに当たります
現在、名門ザウバーが虫の息です
またコツコツと成績を上げてきたフォースインディアもオーナーが本業でコケてピンチという情報もあります
たまにいるお金持ちVIPPERさんは
VIPホンダF1チームを目指してみてはどうでしょうか
141:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:18:25.652 ID:Xn0EgPJWx.net
●パワーユニットについて(10)
こんな感じで、現在のF1のパワーユニットは過去のF1や、市販車エンジンの常識とはかけ離れたものになっています
まとめると、現在のパワーユニットの性能は
・ICEの性能(出力・燃費)
・ターボ配置(出力・冷却・大きさ)
・MGU-Hの性能(発電)
の3つの兼ね合いで決まります
ターボ配置は現在はこうではないかと言われています
※曖昧ですすみません
142:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:18:42.540 ID:Xn0EgPJWx.net
■ギアボックス(トランスミッション)
現在のギアボックスは、セミオートマ8速+後退1速です
実際に8速フルに使って走っているわけではありません
毎回ギアを差し替えているとお金かかるので、同じセットで全戦戦います
速いサーキット、遅いサーキットに対応するため8段変速となりました
ひとつのギアボックスで6戦以上戦い、それ以上の交換は5グリッド降格
変速はステアリングに付いてるスイッチぽんで簡単です
変速にかかる時間は20ミリ秒くらいです
Hゲートがちゃがちゃは確かに楽しいし、これに戻せという意見もよく見ますが
速さにも安全性にもまったく関係ないのでなくなりました
乗用車によくあるDCTではなく
トヨタMR-Sなどで採用されていたクラッチを油圧制御するタイプです
ギアはスチール製、クラッチはマルチプレートのカーボン製
停止状態から発進するときにはクラッチ操作があります
クラッチはペダルでなく、ハンドルの裏のパドルです
またコクピット外にギアをニュートラルにするボタンがあります(事故の時用)
スタート失敗しないようにクラッチミートするポイントをドライバーに伝える工夫なんてのもあったんですが禁止されました
クラッチミートはドライバーの仕事だよね!ってことで
143:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:18:56.990 ID:Xn0EgPJWx.net
■タイヤ
F1ではドライタイヤは5段階
ウルトラソフト(紫)、スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白)、ハード(オレンジ)
ウェットはインターミディエイト(緑)、エクストリーム(青)があります
レースではこの中から柔・中・硬の3種類をメーカーが選び
各チームは柔を予選で、決勝では中・硬の両方を必ず使うルールです
タイヤに上記の色のラインが引かれているのでどのタイヤを付けているのかはひと目でわかります
乗用車のタイヤには必ず溝がありますが
レースで使われるスリックタイヤにはありません
溝は雨が降ったときに、地面とタイヤの間に挟まる水を排水するためのものです
雨が降ってなければ、少しでも接地面積が高いほうが有利なので溝は不要なのです
144:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:19:18.112 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤについて(1)
温度が低いと正しいグリップを生むことが出来ません
この温度を作動温度と呼び、F1のタイヤでは100度前後と言われています
作動温度に達したタイヤはグニュグニュでベットベトになり高いグリップを生みます
この状態では指で押すとズブズブ埋まるほどになるそうです
使う前のタイヤは予め温めておきます
タイヤウォーマーというタイヤのジャケットは上っ面しか温まりません
なので今はこんな温室を使っててホイールごと芯からポカポカにしています
なんでこんな面倒なのに作動温度が100度前後という高温に設定されているかというと
大パワー・高速度で走り続けると、すぐそんな温度になってしまうからです
156:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:23:01.861 ID:ttYdOAz30.net
>>144
このタイヤウォーマーってタイヤ4本分で小型乗用車1台分の価格らしいね
以前F1の解説に来てた元ブリヂストンの浜島さんが言ってた
145:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:19:30.187 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤについて(2)
スリックタイヤで雨が降るとタイヤと路面の間に水の膜が出来てグリップがゼロに
いわゆるアクアプレーニングが起こりレースどころではなくなります
そこで溝ありのウェットタイヤを使います
インターミディエイトは25L/秒、エクストリームは65L/秒の排水能力が有ります
ウェットタイヤで走っていて雨が上がると、車の通るレーシングラインはどんどん排水され、タイヤとの摩擦もあってすぐに乾いてきます
路面が乾いてしまうと、タイヤがオーバーヒートすることがあります
温度が高すぎてもきちんと機能しなくなるのです
そんなとき、わざとラインを外して路面の濡れているところを走って冷ますことがあります
雨上がりで変なところを走っているのを見かけたら、そういうことです
ウェットタイヤでも雨の量が排水力を超えるとアクアプレーニングは起こります
16年のブラジルGPで雨に足を取られウォールにクラッシュしたライコネン選手は
「今のウェットは弱い。10年前はこんなすぐにアクアプレーニングは置きなかった」
とのコメントを残しています
146:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:19:49.236 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤについて(3)
タイヤに熱が入りやすいかどうかは、タイヤと地面の摩擦具合に左右されます
PUからのトルクの出方、足回りによる接地性のほか、運転のスタイルも影響します
例えばアロンソ選手はわりと大胆にハンドリングするのでタイヤの負荷が大きいぶん
同じマシンに乗る同僚より熱が入りやすいと言われています
逆にバトン選手はマイルドな運転スタイルなのでタイヤ負荷は低いですがタイヤには熱が入りにくいと言われていました
タイヤには温度によって膨張率が変わるのを嫌って、ドライエアという乾いた空気を入れます
適切な内圧はメーカーがチームに幅をたせた指示を出します
内圧が高いと強度が出るのでメーカーは高めをおすすめしたいんですがパンパンに膨らみ接地面積が減るのでチームは嫌がります
低いとより扁平な形になり接地面積が増えチームはそうしたいんですがタイヤ強度が下がるのでメーカーは嫌がります
147:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:20:02.434 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤについて(5)
タイヤメーカーは走行後のタイヤの減り具合を計測して
「おたくはこのコンパウンドなら○○周が崖だよ」と助言し、チームはこれを元に戦略を作ります
「崖(クリフ)」というのはタイヤのライフが終わって急にグリップが落ち始めるポイントのことです
折れ線グラフにした時にガクッと折れるので崖です
金曜の練習走行でもわりと本気で走るのは、この計測の精度のためでもあります
また減り方からサスペンションセッティグに関する情報や、タイヤの使い方の助言などもします
シューマッハ選手はフェラーリ時代、レースウィークに入るとすぐにブリヂストン総指揮の浜島さんのところに飛んできて質問攻めだったそうです
また「今週はみんなソフトタイヤに苦戦してるよ」という情報を得ると「じゃあ俺だけがなんとソフトタイヤ攻略すれば最強じゃん!」とあえて厳しいタイヤを選ぶ、アロンソ選手のような人もいます
149:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:20:17.040 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤについて(6)
ferrariが5秒くらいでタイヤ交換して送り出す様を古舘伊知郎が「ferrariマジック」と呼んでいたのもはるか昔
現在のタイヤ交換最速タイムは1秒台に突入しています
市販車のホイールは4~5本のナットで取り付けられていますが
F1は素早く付け外し出来るように、1本だけです
ナットはホイールガンと呼ばれる機械でギュルギュルっと回しますが
その時間も惜しいので、ネジ山が3本くらいしかなかったりします
またナットは一部品としてホイールと一体化しています
交換するクルーはタイヤ1本につき3人います
専門職ではなくメカニックマンたちが兼務している場合が多いです
ただのメカマンではなく、食事やフィットネスなども管理されたアスリートです(言い過ぎ)
彼らのたゆまぬ努力のおかげで、世界一のタイヤ交換が出来るのです(言い過ぎ)
152:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:20:44.974 ID:Xn0EgPJWx.net
●タイヤについて(7)
F1のタイヤの直径は700mm、ホイールは13インチです
ホンダの軽のN-BOX、直径557mm、ホイール14インチなのでとてもホイールが小さいことがわかります
タイヤメーカーとしては、こんな変なサイズのタイヤは作ってても得がないので昨年、大径化案が持ち上がりました(却下されましたが)
コーナーでタイヤに限界近い横荷重がかかると、まずタイヤ自体が歪みます
モタスポ経験のある方はわかるかと思いますがこの歪みは運転していてわかります
更に荷重が加わりグリップ限界を超えるとタイヤの横滑りが始まります
ぐぬぬ…ぐにゃ…ずりずり…ずさーーーー、という感じに
ホイールが大きくなりタイヤハイトが小さくなると、タイヤの強度は上がり
歪みの量が少なくなるので応答性は上がるのですが、滑り出しが
ぐぬぬ…ぐぬぬ…ぐぬぬ…いきなりずさーーーー、って感じです
限界は変わらないけど挙動がピーキーになるのです
F1の大径化のテストでも同様の結果になりました
乗用車ではインチアップするのがかっこいいと言われていて
パツンパツンにしてる人もいると思いますが、こういうことにも留意してみてください
また乗り心地を改善されたい方はインチダウンを試してみるのも良いかもしれません
162:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:27:03.352 ID:Xn0EgPJWx.net
■ルール、レースについて
「チームは好き放題やるけど、規制の話はそれ程多くないな」って気づいてもらえたでしょうか
「F1は規制ばかりでつまらん」っていうのは誤解とまでは言わんまでも、悲しい思い違いです
まずやらせて、それがルールに即しているかどうかを判定する
っていうのが基本です
これを裁いているのがチャーリーというおじさんです
チャーリーはとりあえずOKして、後で駄目なら駄目っていうタイプです
だからこそこれまで、想像を超えた新発明・珍発明が山のように作られ
幾つかの採用と、星の数ほどのボツが繰り返されています
「前にカウル付きのレースに無関係な車を走らせて風よけに使うことでスピードを上げる作戦」
これが許されちゃうほどガバガバな状態からF1は始まり
参加者の持ち寄るアイディアを採用・不採用することで徐々にルールが出来ていくと思っても良いかもしれません
「F1は規制ばっかり」と安易に書く人がいますが、そうではないんです
新しいアイディアが、今のルールに適合するかどうか
今のルールを変えるほどの価値があるかどうか、なんです
163:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:27:22.414 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(1)
勘違いされがちですが、ルールやレギュは全部が全部、FIA(運営)が一方的に決めて押し付けてるわけじゃないです
みんなで楽しく、人生と金と命かけてレースするためにFIA、メーカー、サプライヤー、チーム、選手、OB、有識者で話し合って決めるものも多くあります
また「ルールがコロコロ変わる」という書き込みをよく見ますが
どんなカテゴリでも、どんなスポーツでも、時代や道具の進歩に合わせて少しずつ変わります
モタスポはまず、このスポーツの道具とも呼べる車・機械を競技者自身が開発しているので
進歩が恐ろしく早い上に、お金の収支がアンバランスなので、時代背景や貧富の差が出やすい面があり
変更のテンポが他のスポーツのそれよりも著しく早くなるものなのです
ただフォーミュラカーグランプリとして
・ワンシーター、オープンホイール、オープンコクピット
・予選でグリッド順を決めてスタンディングスタート
・最初にチェッカー受けた奴が優勝!
という基本骨子はずっと変わってません
またドライバーだけが競技者なのではなく、車を作って参加するチーム全体が競技者であり
No.1ドライバー決定戦ではなく、オラが車が欧州イチ選手権なわけです。欧州以外も参加してますが
164:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:27:35.935 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(2)
レースが開催される週をレースウィークといいます、そのままですが
木曜日にはみな現地入りして、拠点設営(後述)、レセプションイベントなどレースウィークの始まりです
ドライバーはファンサービスや
メーカーの走る広告に駆り出されたりします
中には前乗りして満喫しちゃう人たちもいます
165:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:27:49.988 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(3)
各国を転戦する流浪の民なので、サーキットに着くと拠点を設営します
まあちょっと豪華なキャンピングカーのようなもので「モーターホーム」といいます
いやほら、ちゃんと車ですし
でもこれはあくまでチームの拠点で、寝泊まりは近くに別途ホテルをとります
近くに良いホテルがない場合、個人用モーターホームを使うドライバーもいます
車を弄るのはピットにあるガレージで行います
ピットのある建物の上階はたいていラウンジになっています
裏側はモーターホームを設営するスペースになっており、全体をパドックと呼びます
このパドックに入れるのは関係者のみです
世界最高峰のチーム、ドライバー、オーナー、スポンサー、ジャーナリストが集まる紳士の社交場です
ここで様々なビジネスが生まれることも珍しくなく
トヨタの本社の人たちは「最高の接待場所のひとつ」と評していました
終わったら大急ぎで解体、いや畳んで撤収します
レースが終わるのは夕方近いんでぼやぼやしてると日が暮れちゃう
166:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:28:03.810 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(4)
金曜日はプラクティスです。フリー走行が午前と午後に1回ずつあり
ここで車のセッティングやタイヤの状況を確かめ作戦を立てます
土曜日はフリー走行3回目と、予選です
日曜日に決勝です。時間は場所によって変わります
たいていは午後ですが、シンガポールのように夜走るレースもあります
レースセッション以外の時間の車は「パルクフェルメ状態」と呼ばれチームは車に触れることが出来ません
セッティングや修理も限られた時間でやろうぜってことです
以前は一箇所に集めていましたが、今は各チームが鍵付きガレージに入れて監視カメラでウォッチしてます
パルクフェルメは仏語で「閉ざされた公園」という意味だそうです
レースを終了後車を止めて、優勝選手がバンザイするところもパルクフェルメ
167:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:28:14.678 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(5)
F1のピットクルーの人数には制限がありません
2秒を切る超速タイヤ交換が出来るのもこのおかげ
ほぼすべてのチームがユニフォームを用意しています
タイヤ交換をしているのは専門家ではなく
メカニックマンたちが兼業していることが多いです
ピットレーンに出る人なので安全のためにヘルメットや耐火服をつけていることも多いです
自分たちの見た目が戦隊ヒーローっぽいことは自覚しているようです
168:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:28:26.997 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(6)
予選はノックダウン方式(ちょっとずつ減ってく)です
みんな一斉に走ると、渋滞してしまい前の車が邪魔で本気アタック出来ないので
じゃあ順番に1台ずつ走ろうかっつーと、これはこれで後に走る車の方が路面にラバーがのって有利になるので問題があります
もちろんこの方式のカテゴリもたくさんあるんですが
お客に喜んでもらってなんぼなんで、できるだけ多くアタックを見てもらう
って観点からは、ノックダウン方式は優れています
1時間半のレースはちょっと長くて退屈…って人も結果のわかりやすい予選なら楽しめるかもしれません
見所はやはり後のことを考えないガチのタイムアタックであることと
逆に「今のタイムは本当にガチなのか?」という駆け引きだと思います
169:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:28:38.520 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(7)
決勝は予選順にならんでスタンディングスタート(よーいどん)です
PUやギアボックスを規定数以上載せ替えたりするとグリッドが降格します
何らかの理由でグリッドにつけない場合はピットスタート
ローンチコントロールは禁止で、発進時はクラッチ操作があります
と言ってもペダルではなくハンドルの後ろのレバーです
クラッチミートをサポートするメカは禁止です。ドライバー頑張れ
終了までに1回タイヤ交換さえすれば、あとはノンストップです
給油はなく、タイヤ交換は2秒前後で終わりますがピットレーンには80km/hの速度制限がありざっくり18~20秒くらいロスします
どのサーキットでも305kmを超えた周回がラストになります(モナコは260km)
また2時間を超えると終わりです。途中で中断があったとしても4時間を超えると終わりです
周回遅れは最後まで走りません。トップがゴールしたときの周回で終了です
9割以上走れていれば、完走扱いになります
完走するとドライバーもチームも10位までにポイントが与えられます
上位から、25、18、15、12、10、8、6、4、2、1ポイント
今年は全20戦して、総合獲得ポイントの一番多いやつがチャンピオンです
171:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:28:50.879 ID:Xn0EgPJWx.net
●ルール、レースについて(8)
レース中に事故があるとセーフティカーが先導してスローダウンします
セーフティカーって遅く見えるけど速いです
またセーフティカーが入った「つもり」で隊列作ってゆっくり走る
バーチャルセーフティカーってのもあります
トップがせっせと稼いだマージンが帳消しになるし、この間にピットインを済ませちゃおうって戦略もあるので見所です
青旗が振られてるときは
「おまえ遅いから後続車に抜かれろ」
黄旗が1本が振られてる区間は
「コース脇に何かあるかも、追い越し禁止、いつでも進路変更できるように減速」
黄旗が2本が振られてる区間は
「コース上に何かあるかも、追い越し禁止、いつでも止まれるように減速」
ビアンキ選手が鈴鹿で亡くなったときは、黄旗2本の区間でした
その他、赤旗は中断、黒旗はピットに戻れ
黒地オレンジ丸は(車壊れてるから)ピットに戻れ、黒白は「このDQNが!」などがあります
そして黒と白のチェックの旗が栄光のチェッカーフラッグ
「おまえが一番だ!」です
172:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:29:10.417 ID:Xn0EgPJWx.net
■オーバーテイクについて(1)
モタスポは車両の性能に差がありすぎると、勝負になりません
常に性能順で終わっちゃいます(ここ数年のF1がそうだってのはさておき)
それではつまらんと、全車を全くイコールにしてしまうと今度はレース中になかなか差が埋まりません
選手の技量で多少の差は出るかと思いますが、基本的にみんな上手いですから
なので、性能は近いけど少しは差がある、走り方によって差がでる
という状況になるのが、レースとしては好ましいわけです
F1は「オラが車が欧州イチ選手権」なので車は各チームがそれぞれ作ります
車の性能差は、チームの技量の差ということで、それも勝負の範疇です
でも、あまりに差がつきすぎたときは調整すべきだ、ということでいろいろ策を講じているわけです
174:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:29:53.105 ID:Xn0EgPJWx.net
●オーバーテイクについて(2)
漫画のような「ブレーキングで一気に差をつめるぜ!」
ってシーンが見られると燃えます、例えばこのような
佐藤琢磨がアロンソをオーバーテイク(2007カナダ)
https://www.youtube.com/watch?v=bO4vlWntCdw
小林可夢偉がヘアピンでオーバーテイク連発(2012日本)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12432135
でも実際のモタスポは近い性能の車とドライバーが戦うので
毎周コンマ数秒のラップ差を積み重ねて追いついて…と地味なわけです
そこである程度の演出が必要で、そのひとつがタイヤ交換義務。F1では
・グリップは低いけど、長持ちするタイヤ
・グリップは高いけど、短時間で終わるタイヤ
の2種類が用意され、2種類とも必ず使うルールになっています
履く順番やタイミングは自由なので、各車のタイヤの種類、ライフに差が生まれます
先に挙げた動画は、このタイヤの差によるところが大きい名シーンです
もちろん佐藤選手、小林選手の頑張りありきですが
177:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:30:48.265 ID:Xn0EgPJWx.net
●オーバーテイクについて(3)
追い抜きするためには、追いついて、なおかつ追い抜けるだけの速度差が必要です
近いコンディションの車ではなかなか難しかったりもします
そこで、モタスポではオーバーテイクボタンというものが用意されることがあります
一時的に車の能力を引き上げることで差を詰めよう、というものです
よくあるのは、エンジンの回転数制限を一時的に引き上げるというものですがF1ではDRSを使っています
「空力装置は決して動いてはならぬ」という掟を解禁して
ウィングを動かす、Drag Reduction Systemです
ドライバーの操作で、ウィングを寝かせることができます
使い放題だとおもしろくないので、決められた区間(だいたい直線)で
前車とのギャップが1秒以内のときだけ使用できます
https://www.youtube.com/watch?v=VDnoSDuY0Hw
※予選では使い放題です
178:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]:2017/03/11(土) 22:31:19.192 ID:Xn0EgPJWx.net
■まとめ
以上、どうでしたでしょうか
技術的要素が多くて歴史も長いモータースポーツって、初見殺しなところが多くてなかなかとっつきにくいとは思います
でも逆に、知識欲旺盛な人にとっては、のめり込み要素が多くてきっかけさえあればとても楽しいものだと思います
このスレがその一助に慣れれば幸いです
あとは、前にも書いた名・珍発明その他諸々を適当に書いていきます
1001:音速の情報通名無し:0000/00/00/00:00:00 ID:f1jouhoutwo