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【香港民主化デモ】
梁振英氏は“落第” デモ開始後の香港世論調査、民主派に「689」と呼ばれる行政長官
【香港=河崎真澄】9月28日未明に始まった香港民主派の街頭占拠デモが長期化するなか、梁振英行政長官(60)に対する市民の評価が、一段と厳しくなってきた。
デモが続く今月6~9日に香港大学が、「梁氏に百点満点で評価を付けると何点か」と市民1012人に尋ねた意識調査で、結果は40・6点だった。2012年7月の就任後、13年11月の40・0点に次ぐ低い点数だ。50点が“及第点”のため落第だったといえる。
不動産ビジネスで身を立てた梁氏。香港財界では傍流の存在だった。親中派が大半を占める1200人の選挙委員が投票した12年3月の間接選挙で、財界主流派の支持を受けた本命候補が個人的スキャンダルで失速。棚ぼた式に行政長官のイスを得た経緯がある。
民主派の学生らデモ隊は梁氏を指して「689」と呼ぶが、これは得票数が歴代で最低の689票しかなかったことに由来する。
梁氏は、北京の意向をそのまま香港で反映することが多く、「中国共産党の秘密党員説」が香港メディアで語られるほど共産党政権との関係が密接という。
今回のデモをめぐっても習近平指導部は梁氏支持を表明した。ただ、梁氏には街頭占拠後に、オーストラリア企業がからむ秘密報酬問題が浮上。民主派の学生との「対話」は一度、約束を反故(ほご)にした。民主派からの追及を懸念し、16日に予定された立法会(議会)での答弁も延期するなど、迷走を続けているようだ。
香港紙は、デモを引き起こした選挙制度改革の原案が、17年の次期選挙で再選を狙う梁氏が自らに有利になる枠組みを作った、と批判する。民主派が立候補可能になると、市民の間に信望のない梁氏は再選の望みが薄い。梁氏にとり、デモをどう収拾するか正念場となっている。