妻が不妊治療しているのに、なかなか妊娠しない。
そんなときは、男性不妊を疑った方がいいかもしれません。
でも、男性不妊って一体どんな状態なのか、治療法はあるのか、まだまだ情報が少ないですよね。
今回は、男性不妊の原因や治療法などの基礎知識と、男性不妊がわかったときの考え方をお伝えします。
もくじ
不妊の原因は女性だけにあるわけではない
WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊カップルの24%が男性に原因があり、さらに24%が男女ともに原因があるとしています。
女性のみに原因がある割合は41%、原因不明の割合も11%あります。
不妊というとまだまだ「女性に原因がある」と思われがちですが、実際は全体の半分ほどが、男性にも何らかの原因があるため起こっているのです。
男性不妊に多い原因
男性不妊に多い原因は次の4つです。
・無精子症
・精子無力症
・勃起障害(ED)
精子は、精巣(睾丸)の中で約74日かけて作られます。
そして射精のときに40cmに及ぶ長い道を通り、外に出ます。
この精巣の機能や、精子の通り道に問題があると、不妊の原因になります。
では、1つ1つの原因をもう少し詳しく見ていきましょう。
乏精子症とは精子の数が少ない状態
乏精子症とは、男性の精液に精子はいるけれど、数が少ない状態を言います。
WHOが定めた基準では、1ml中の精子の数が1500万未満だと少ないと判断されます。
乏精子症の主な原因としてわかっているものは、次の2つです。
・造精機能障害…精子を作る機能に問題がある。
これらの症状には漢方薬やホルモン剤などで改善をうながしていきます。
精子の数がかなり少ない場合、手術を勧められることもあります。
また妻の年齢が高く、早い妊娠を希望するときには、人工授精や体外受精などの不妊治療もおこなっていきます。
無精子症とは精液の中に精子がない状態
無精子症と聞くと、まったく精子が作られていないように思ってしまいますが、そんなことはありません。
無精子症には、精子がつくられない非閉塞性無精子症と、通り道がふさがっているため精液に精子が含まれない閉塞性無精子症があります。
ただ、非閉塞性無精子症でも、精巣の中に少しだけ精子がいることがあります。
その場合、精巣から直接精子を取り出し顕微授精させることができます。
閉塞性無精子症は、手術で通り道を作ることが可能です。
ただし、不妊の原因が1つだけでないことも多く、手術をしたからといって確実に自然妊娠できるわけではありません。
原因が特定できないときは、やはり精子を取り出して受精させる、顕微授精も視野に入れて治療をおこないます。
精子無力症とは精子に元気がない状態
精子無力症とは、精液の中に精子はいるけれど、その運動率が低い状態を言います。
精子がなかなか卵子にたどり着けないので、妊娠することが難しくなります。
原因は先天的なものもあれば、おたふく風邪や高熱によって正常な精子が作られなくなることもあります。
また、長期間の禁欲も、精子の運動率を低下させます。
漢方やビタミン剤などで様子をみるほか、禁煙や健康的な食事など、生活改善も必要です。
勃起障害(ED)の原因は精神的なものが大きい
EDとは、セックスするときに勃起しない、または勃起しても長く続かなくなる状態です。
原因としては、以下のようなものがあります。
・加齢
・薬の副作用
・仕事のストレスが強い
・子供を作るためのセックスへのプレッシャー
・睡眠不足、不健康な食事など生活習慣の乱れ
・性的なものへの嫌悪感やトラウマ
EDの疑いがある場合は、泌尿器科や内科などで勃起障害の治療をおこなっているところへ行きましょう。
「バイアグラ」などの治療薬が処方されます。
受付で診察理由を言うのが恥ずかしければ、「薬をもらいに来ました」と言ってください。
中には、マスターベーションの刺激になれてしまい、セックスでは射精できなくなる人もいます。
その場合、セックスを介さない人工授精を選択する方法もあります。
EDの原因が「妊娠するためにセックスしなければいけないストレス」であることも多いです。
女性は排卵日だからとあまりプレッシャーを与えず、二人でリラックスした空気を作ることが大切です。
男性不妊の検査はどこでどうやってするのか
男性不妊の検査は、精液検査だけではありません。詳しく調べるためには、次のような検査を受ける必要があります。
・血液検査
・尿検査
・超音波(エコー)検査
・視診と触診
精液検査は、不妊外来がある婦人科でも受けられます。
精子の状態は体調によって変化しますから、できれば数回受けることをおすすめします。
もっと詳しく調べたいなら、男性不妊外来のある泌尿器科を受診しましょう。
血液検査で精巣の機能を調べたり、触診で異常がないかをチェックできます。検査に痛みはありません。
精子の質を上げるためにできること
検査で不妊の原因がはっきりわかればいいのですが、特に見つからないことも多いです。
WHOが定めている精子の数や運動率はあくまで目安のため、数値が下回っていても妊娠できる可能性はあります。
検査の結果が悪くてもあまり落ち込まず、生活習慣の改善など、できることから実行していきましょう。
精子の質を上げるために、次のことに気をつけてください。
・ストレスを溜めすぎない
・締め付ける下着やズボンをはかない(精巣をあたため機能を低下させる)
・パソコンを膝に乗せない(同じく精巣をあたためる)
・長時間、お風呂やサウナに入らない
・果物や野菜を多くとり、バランスの良い食生活をこころがける
・禁欲しすぎない(長期の禁欲は精子の運動率を下げる)
男性も女性と同じく、不規則な生活習慣やかたよった食事が不妊を招きます。
一方、体を冷やしてはいけない女性とは反対に、男性は下半身を締め付けたり、あたためすぎたりしないように注意しましょう。
不妊の理由はまだはっきりと解明されていないことが多く、どちらにも原因がある可能性があります。
子供が欲しいなら、検査結果に関係なく、男性も積極的に生活改善していってください。
男性不妊が明らかになったときの考え方
検査の結果、男性不妊が判明。
その事実は男性にとっても、パートナーの女性にとってもショックです。
不妊は女性に原因があるもの、というイメージが強いので、男性不妊の知識がある人は少ないでしょう。
そんな中、子供ができないのはあなたが原因です、と言われると男性は大きなショックを受けます。
これから夫婦で不妊治療を進めていくために、何に気をつけるべきでしょうか。
最初に今後の治療方針を話し合おう
男性不妊と診断されたら、それに合わせた治療の方針をきちんと話し合ってください。
ショックのあまり、そのことに触れたくなくなる男性もいます。
そんな夫を見て、女性側も話題にしづらくなります。
しかしどんな不妊治療も、片方だけががんばってもうまく行きません。
それぞれが生活習慣に気をつけつつ、適した治療を進める必要があります。
もし治療法や料金について不明点がある場合は、病院に問い合わせましょう。
医師の治療方針にいまいち納得できないなら、病院を変えることも考えてみてください。
感情を100%共有しようとしない
残念ながら、女性の不妊治療のつらさは女性にしかわかりません。
痛みもあるし、時間もかかるし、ホルモンの関係で気分屋や体調にも影響が出ます。
同じく、治療に当たる男性の気持ちも、女性にはわからないのです。
それなのにお互いが「自分の気持ちをわかってほしい」と思っているだけでは、どんどんすれ違ってしまいます。
特に女性は治療によるホルモンバランスの乱れで、感情が爆発しやすい時期があります。
話し合いをするときは、なるべく気分が落ち着いているときを選んでください。
男性も、どんなに妊娠を望んでいる女性でも、不妊治療はつらく苦しいものだということを頭に入れておいてくださいね。
治療に対する意識のずれ、感情のすれ違いは、最悪離婚の原因になります。
何のために子供が欲しいのかもわからなくなってしまたら、一度治療をおやすみするなどして、自分をいたわってください。
両親に話すかどうか、夫婦で決めよう
結婚してしばらく経っても妊娠しないと、両親や親戚、職場の人などにいろいろ言われますよね。
不妊治療をしていることを家族に話すかどうか、男性不妊が原因であることを伝えるかどうか。
「不妊治療をしている」と言うと、どうしても「女性に原因がある」と思われがちです。
まわりが心配してアドバイスしたりいろいろ言うのも、ほとんどが女性に対して。
心の中で「私が原因じゃないのに……」と思いながら過ごすことはかなりのストレスです。
夫婦関係がギクシャクしてしまう前に、どこまで話すべきか、決めておいてください。
そもそも男性が不妊治療に協力的でない場合
妻から子供が欲しいと言われても、検査や治療を受けたくない。そう拒否する男性もいます。
「自然に授かりたい」
「精液検査に耐えられない」
「そこまでして欲しくない」
など、原因はさまざまです。
その場合は、お互いが納得するまで話し合うしかありません。
強引に説得しようとするとかえって逆効果です。
男性の気持ちや考えもしっかり聞いたうえで、ほかでもないあなたの子供が欲しいと伝え、治療に関することも説明しましょう。
焦らずに少しずつ、慎重に話を進めてください。
その結果、相手の考えが変わらないこともあります。
子供を持つことに対する温度差に寂しくなるかもしれません。
それでもふたりが納得できる着地点が見つかるまで、話し合いを続けてください。
もし相手があなたの話をまったく聞こうとしなかったり、つらい気持ちを理解しようともしてくれなかったら……。
子供ができたとしても、どこかすれ違った夫婦のままかもしれません。
男性不妊でも子供を授かる方法はある
男性不妊と診断されても、きちんと不妊治療のステップを踏めば、妊娠できる可能性はじゅうぶんあります。
必要に応じて人工授精や体外受精、顕微授精も視野に入れていきましょう。
大切なのは、夫にとっても妻にとっても信頼できる病院選びです。
すべての不妊外来が、男性不妊が得意なわけではありません。
ふたりが納得して治療を進められるところを探してください。
男性は、妻に言われて仕方なくクリニックに通うのではなく、自主的に治療に参加しましょう。
その中でどうしても納得いかなかったり、不妊治療自体に疲れてしまったら、正直にその気持ちを伝えて話し合うべきです。
不妊は、女性だけでなく男性にとっても繊細な問題。だからこそ、気持ちを溜め込むのではなく、きちんと伝え合わないと夫婦の危機になるかもしれません。
心配ならまずは検査を受けて、今後の方針を決めるところから始めてください。





