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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2017-03-12

出世か恋か、はたまたその両方か。女性は夢中、男にゃ悪夢。最終兵器ラ・ラ・ランド 16:34


 ミュージカル映画ということできっと楽しい話なんだろうなと思って見に行ったんだけど、やばい。こころをえぐる。このブログの圧倒的読者である男子諸君はSAN値を削られる覚悟で見に行くべし。


 で、もうどこの飲み屋に行っても、誰と話ししてもラ・ラ・ランドの話でもちきり。まあ語りたくなるわなあ。あの映画。



 主人公のセバスチャン、通称セブは、「いつかジャズクラブを作る」と言ってる(だけ)のジャズピアニスト。金無職なし、彼女なし。しかしこのご時世、ジャズピアニストだけではなかなか食えず、いろんなバンドの手伝いをやって糊口をしのぐ日々。


 もうこいつがマジでダメ人間。口ばっかりでほんとに辛い。もうどこに感情移入したらいいんだかわからない。

 

 ヒロインはミア。ハリウッドで女優を目指しながら日々業界の大物が集まるパーティに出席したり、オーディションを受けたり(そして落ちたり)を繰り返すウェイトレス。


 2人は偶然出会い、しかし反発を感じながらも次第に恋に落ちていき、やがて結ばれる・・・というところで終われば「ハッピーエンドで楽しい映画だったねー。いやー帰ろ帰ろ」という感じで追われたのに、なぜか2人でイチャイチャするハッピーライフの描写が始まる。


 もう勘の良い人ならこの時点でいやーな予感するよね。


 そもそも普通の映画に求められる物語ってのは、単純なラブストーリーでいいわけ。

 この映画は単純なラブストーリーの部分だけ見ても良く出来てる。アカデミー賞とれるかは微妙だけど。


 セブのクズ感にぜんぜん感情移入できないけど、まあなんつーかお互い恋人見つかってよかったね、仕事も頑張れよ


 くらいで終わったほうがむしろ平和だった。


 しかしこの映画は単なる娯楽としては終わらない。


 ネタバレになるのでこのあとどうなるかは敢えて書かないけど、もしデートでラ・ラ・ランドを見に行こうと思っているんだったら注意されたし。いつ主人公と自分を重ねられるかわからないからだ。


 実際、これを見て別れを決めたという女性が知人にいる。


 かといって彼女がどうしても見たいと言ってるなら絶対に一緒に行ったほうがいいと思う。最後の悪あがきができるのは映画館を出た直後しかないからだ。


 でも、別の女性は彼氏と見に行ってラストで「なんじゃこりゃ」と思ったらしい。

 まあこれが正常な反応だと思う。


 僕はよく、「ここで終わったら映画じゃない」という言い方をするんだけど、ラ・ラ・ランドに関しては「ここまでやったら映画じゃない」と言ってしまおう。


 「ここで終わったら映画じゃない」というのは、映画というのは純粋なエンターテインメントであって、ラストに観客がポジティブな気持ちで劇場を後にできなければならない。エンターテインメントというのはそういうものだと思う。どれだけ悲劇的な内容だったとしても、例えば主人公やヒロインが死別するような展開になったとしても、「あそこまで愛せるって凄いよね」というポジティブな捉えられ方にならないといけないと僕は思う。



 だから、どんな映画でも、クラスマックスの直前や直後に、「ガーン」とするピンチや別れがやってきて、これで終わっちゃうのかな、という不安を観客に抱かせたところで、ラストのラストで大どんでん返しに持っていく。「ミス・ペレグリン」はそういう意味で、まさに「ここで終わったら映画じゃない」という感じだったし、それが映画の快感に繋がる。


 どんな悲劇でも最後にポジティブな印象を残して劇場を後にするから、観客はまた別の映画も見ようと思って戻ってくる。そういうものでしょ。ファンタジーなんだからさ。



 ところがラ・ラ・ランドはひたすら現実を突きつけてくる。

 芸能界の現実、ビジネスの現実、男の現実、女の現実。


 楽しい気分で劇場を出ようと見に行くと、なんともいえない釈然とした気持ちで劇場を出るハメになる。


 もちろんそういう文芸的な作品なんだ、と言われればそうかもしれないけど、ラ・ラ・ランドが宣伝してる楽しい雰囲気を想像して映画を見に行った観客のなかには「なんでこんな気分で映画終わるの?」と思う人もいるかもしれない。少なくとも男が受けるダメージは半端ない。


 ラ・ラ・ランドの場合、映画らしい終わり方ができるチャンスはいくつもある。にも関わらず、どうしてラストをああいう形にしたのか。


 僕が思うに、監督またはプロデューサーが、個人的になにか女優に恨みでもあったとしか思えない。


 でも人によってはラストのラストのあのミュージカルシーンで号泣したという人もいる。そりゃ泣くしかない。けど、この泣かせ方って正しいの?



 つうかこれにアカデミー賞あげちゃうってことは、もう観客は映画館に来るなって言ってるのに等しい。少なくとも「楽しい気分で映画館を出たかったら、この監督の映画はやめましょうね」というネガティブキャンペーンとしては成功しているのではないか。


 君の名は。のラストで感じた「なんじゃこりゃ」とは全く別次元の「なんじゃこりゃ」がラ・ラ・ランドにはあって、けれども女性は絶対喜んでしまうのでもうこうなると一緒に見に行く男そのものの価値が問われるという、ほとんどの男子にとっては悪夢のような映画なのではないか。



 ラ・ラ・ランドでデートして、もしくは彼女が一人または友達と見に行って、それでもフラレなかったら本当にその子に愛されてるんだと思う。


 わりとリストマス試験紙的な役割を担うこの映画。本当に危険なのでくれぐれもご用心。でも途中のミュージカルシーンは全部楽しいんだよな