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【プロ野球】

<WBC>侍、総力戦で劇勝 初のタイブレークでオランダ撃破

2017年3月13日 紙面から

タイブレークでオランダに勝利し、タッチを交わす中田(右端)ら日本ナイン=東京ドームで(北田美和子撮影)

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◇2次リーグ 日本8−6オランダ

 侍ジャパンが壮絶な総力戦を制した。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は12日、東京ドームで2次リーグE組が始まり、日本はオランダと対戦。6−6で迎えたタイブレークの延長11回、中田翔内野手(27)が決勝打。大会史上最長となる4時間46分に及ぶ死闘の末、白星スタートを切った。日本は14日にキューバ、15日にイスラエルと対戦する。 

 9番手の牧田が締めくくった。延長10回、そしてタイブレークの11回を抑え、ついに勝利をつかんだ。

 「もうすぐ日が変わろうというのに、遅くまで、応援ありがとうございました」

 ファンへの感謝を真っ先に伝えた小久保監督は約5時間の戦いを「死闘」と表現した。

 懸命に飛び付いた菊池のグラブをかすめ、痛烈なゴロが無情にも中前へ抜けていった。9回2死一、三塁、勝利まであと1人の場面でオランダのJ・スクープにくらった痛恨の同点打。打球の行方を見届けた則本は両手を膝に置き、ガックリとうなだれた。

 侍ジャパンは執念の継投を見せていた。3イニング5失点で降板した先発・石川の後を受け、2番手・平野から計6人で8回まで無失点リレー。ここで今大会初めて守護神役を託された則本が締めれば完璧だったが…。

 それまで再三のピンチをしのいでいた。8回は増井だ。日本ハムの僚友で公私ともに仲が良い宮西がつくった1死満塁の大ピンチでマウンドへ。Ra・オデュベルを空振り三振に斬り、シモンズは遊ゴロに仕留める。派手なガッツポーズを決めてベンチに戻り、ナインの手荒い祝福を浴びた。

 オフの間の隠れた努力が実った。滑りやすいWBC公認球の扱いに苦労し、手に取ったのはハンドクリーム。手にしっとり感を出すため、1日に何度も塗り込んだ。さらにボールを肌身離さず、常に握って感覚をなじませた。そのおかげで2月のキャンプではNPB球と遜色なく扱えるまでになった。

 一昨年秋のプレミア12の準決勝・韓国戦で、まさかの大逆転負け。3点リードの9回に4失点したのが、この日も登板した則本、松井裕、増井だった。

 先月27日、福岡市内のホテルで行われた侍ジャパン出陣式。小久保監督はファンの前で「ここにいるメンバーは喜びよりも悔しさを味わってきました。私自身プレミアでの悔しい思いが一番心に残っています。この悔しさを晴らせるのが第4回WBCだと、固く心に誓っています」と優勝を宣言した。

 同点打に落ち込んだ則本は、続く2死二、三塁のサヨナラのピンチを空振り三振でしのいだ。執念のリレーが実を結んだ。「最後まで諦めなかった勝利だと思う。まだ次の試合のことまで考えられません」。小久保監督の声は上ずっていた。 (小林孝一郎)

 

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