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【スポーツ】

[マラソン]清田、悔し涙の3位

2017年3月13日 紙面から

3位でゴールする清田真央=ナゴヤドームで(内山田正夫撮影)

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◇名古屋ウィメンズマラソン2017

 ▽第16回世界陸上選手権(ロンドン)代表選手選考競技会を兼ねた▽主催中日新聞社など▽12日▽ナゴヤドームを発着点とする42・195キロ▽スタート時の天気 晴れ、気温7度、湿度51パーセント、北北東0メートル▽出場 エリート122人、一般1万9735人

 キルワ、安藤に続いて3位に入ったのは、安藤の同僚で同学年の清田真央(23)=スズキ浜松AC。15キロ過ぎから徐々に先頭集団から遅れたが、最後まで粘りきって2時間23分秒47秒でゴール。積極的な走りと、タイムを高評価され、世界選手権への出場をほぼ手中にした。今大会が初マラソンの石井寿美(ひさみ、21)=ヤマダ電機=は2時間27分35秒で5位に入る健闘を見せた。

 あらゆる感情が込み上げてきた。悔しさに安堵(あんど)の気持ち、わずかな達成感…。フィニッシュラインを通過した清田は思わず涙を流していた。目指していた優勝も日本人トップも届かなかった。だが、2度目のマラソンで自己ベストを更新する2時間23分47秒での3位は胸を張っていい。渥美半島で生まれ育った23歳もロンドンへの切符を大きくたぐり寄せた。

 「泣かないって決めていたんですけどね。悔しい気持ちが強かった。それとマラソンは一発屋なら終わる。今回が人生の分岐点だと思っていたので、最低限の自己ベストでホッとしたのはあります。でも悔しい…」

 レース前の宣言通り、キルワ、安藤の先頭集団についたが15キロ過ぎに遅れ始めた。アクシデントではない。給水のときに2人との差を広げられたのだ。「ニンジャ走法」とも呼ばれる、両手をダラリと下げる独特な走法をする清田の、もう一つの特徴が集団では後方でついていくために給水ポイントで遅れること。またしても弱点を露呈した。

 「集団では走りのリズムが合わなくて、後ろになってしまうんです。給水は課題です」。ただ、気持ちは切れなかった。「焦らずに友香(安藤)を追いかけようと思った」。沿道から届いた中京大中京高時代の同級生で青学大時代は山の神といわれた神野大地(コニカミノルタ)の「清田、ファイト」の声援にも後押しされた。その結果、最もライバル視していた同僚の安藤には敗れたが、昨年の4位、2時間24分32秒は上回った。

 伊良湖岬に近い愛知県田原市の実家に帰ると、必ず丼に入れたキャベツの千切りを食べるという。実家はキャベツ、メロン、スイカを栽培する農家。中学時代は毎日メロン一玉を平らげていたそうだ。食卓には年中キャベツや果物が並び、ビタミンを摂取しているから病気やケガとは無縁。渥美半島の恵みで築き上げた体で約27キロもの一人旅を走り抜いた。

 レース後、瀬古利彦PLは清田の世界選手権への派遣について「有力じゃないですか」。同僚の安藤と挑むことになりそうな8月の世界選手権(ロンドン)。課題を克服して今度は笑顔でゴールしたい。 (兼田康次)

<清田真央(きよた・まお)> 1993(平成5)年9月12日生まれ、愛知県田原市出身の23歳。156センチ、42キロ。中山小3年から地元の陸上教室で陸上を始める。陸上部がなかった福江中ではソフトテニス部に在籍しながら陸上クラブで陸上も続けて中3時に愛知県市町村対抗駅伝の田原市代表として1区区間賞。中京大中京高では3年時に国体少年Aの女子3000メートルで8位。高校卒業後、スズキに入社。現在は浜松市の本社財務部に配属されている。

 

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