意外と人間はできていない!?体の使い方が身につく
親子で参加!ロシア武術「システマ」で身体能力アップ
2016.05.17 TUE
キックの練習、ではなく足の裏であいての太ももの裏をタッチする練習。安全かつゲーム性をもたせた動きで子供の興味をひく工夫がなされている/撮影:宇都宮雅之 最近、格闘技・武道界隈で注目となっているのがロシア武術「システマ」。なんでも呼吸を大事にし、体に打撃が当たる際にも筋肉に力をいれて防ぐのではなく、あえて脱力して打撃を受けることで威力を無力化するのだとか…。
そんな神秘性をも感じるシステマには、未就学児とその親を対象とした「親子クラス」がある模様。そこでさっそく見学にお邪魔しました。
クラス開始の10分ほど前に教室に入ると、そこにいたのはマットを重ねるシステマ公認インストラクターの北川貴英先生。早めにやってきた子供たちは、マットの上から飛び降りたり無邪気に遊んでいます。
遊びを通じて、身体操作を学ぶ
単に開始までのお遊び時間なのかと思いきや、一通り参加者がそろって挨拶したあともそのままぴょんぴょん。1mほどの高さから3歳~小学校低学年ぐらいの子が飛び降り続けています。突き蹴りなどの練習もなく、ただ遊んでいるだけに思うのですけれど…。
「この親子クラスでは、格闘技に限定しない身体能力の基礎を高めることを目的としています。そもそもシステマはパンチキックなど決まった練習を毎回するわけではありません。これは大人向けの教室も同じ。人間は意外と体の動かし方をわかっていないもので、まずはそれを学ぶことから始まります」(北川さん)
ひととおり飛び降り遊びをやったら、つぎは鬼ごっこ、四つん這い競走、仰向けになって背中の動きだけで進む…などなど。5分たらずの間に目まぐるしく内容が切り替わっていきます。
「とにかく飽きさせない、ダレさせないことを重要視しています。これはいわば、後に役立つ体のパーツ作り。組み立ては後でできますから、とにかく子供のうちにいろいろな体の使い方をしてパーツを増やしておくんです。体の使い方を学ぶという意味では体操教室と近いかもしれませんが、システマは競技という目的にしばられないため、より自由に体を操作することを覚えられます」(同)
遊びのような動作の中にも、マットを立てて妨害する大人の間をすり抜けて、最後に構える先生のマットに体当たり。子供の上に親が乗っかり、そこから子供が逃げる練習など、なるほど護身に直接つながりそうな動きも。大事なのは「とにかく呼吸を止めない」ことらしく、これだけはすべての動作でも徹底して口うるさいまでに指導されていました。
最後は全員で輪になって座り、今日の感想を言い合うのが決まり。参加されている親御さんからは「引っ込み思案だったウチの子が、最近積極的になった気がする」「ウチはここで発散しているせいか、日常では逆にひやっとする場面が減った」などの発言がありました。
もうひとつの、子供向け護身クラス
ちなみに、教室名にこそ「システマ」の名は掲げていませんが、おなじくシステマの公認インストラクターである天田憲明さんによる「キッズ護身」のクラスが別にあるとのこと。こちらではどのようなテクニックが学べるのでしょうか?
「このキッズ護身術では私がこれまでに経験した武術のなかから、子供が護身に使える技をセレクト、アレンジして指導しています。ただしメインに教えているのはあくまで逃げるための技術。恐いと思ったら近づかない、関わらないことが前提。そして力で大人に敵わない子供は、周りに自分が被害にあっていることを伝えるため大きな声を出してとにかく逃げるのが一番です。そこにシステマの呼吸法が生きてくるんですね。これまでは主に日曜日を使って不定期に開催してきましたが、今年の7月以降も東急セミナーBEで講座のを開催を検討しています」(天田さん)
まず体の使い方を覚えることが護身につながる。それを学ぶのは遊びを通して…そんなやわらかい発想の武術、システマ。武術を習わせるとすぐに思い浮かぶのは、柔道、空手、合気道といったところですが、こんな一味違った武術も習い事の選択肢に加えてみてはいかが?
(宇都宮雅之)
■個性派“キッズ向け”スポーツ教室 第10回
システマ東京「親子クラス」 主催:北川貴英
文京スポーツセンター
場所:東京都文京区大塚3-29-2
毎週月曜日 16:00~16:45 ※未開催の場合あり。詳細は公式ページのスケジュールにて確認
一回1000円
「こんな時代だからのキッズ護身術」 講師:天田憲明
※今後の開催予定は下記にて確認を
東急セミナーBE 自由が丘校、二子玉川校、雪が谷校、たまぷらーざ校、青葉台校
(お問い合わせは公式ページを参考に各校までお願いします)