西川迅
2017年3月3日05時09分
日本で開発されたアトピー性皮膚炎の新しい治療薬について、かゆみを抑える効果が、日米欧での臨床試験(治験)で確認された。京都大の椛島健治教授(皮膚科学)らの国際研究グループが2日、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
新しい薬は中外製薬が開発した「ネモリズマブ」で、かゆみにかかわる生理活性物質「インターロイキン31」の働きを妨げる。日米欧5カ国の7医療機関で、中程度から重度のアトピー性皮膚炎の約140人に月1回注射し、3カ月後にかゆみや皮膚の状態などを調べた。
その結果、患者の6割でかゆみの程度が注射前と比べ、50%以上改善していた。注射の1週間後、寝付くまでの時間が20分短縮され、3週間後には安眠している時間が薬を使わない患者と比べて40~50分以上長くなっていた。かゆみが減り熟睡につながったとみられる。重い副作用は確認されなかったという。
椛島教授は「アトピー性皮膚炎の治療は10年以上進歩がなく、かゆみを抑える薬もなかった。2~3年後には患者の手に届くようにしたい」と話している。(西川迅)
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