民進党大会が開かれた。「安倍1強」と言われる政治状況のなか、旧民主党政権の野党転落から4年たっても、党勢はいまだ回復していない。

 野党の大きな役割は権力を監視することだ。権力のブレーキ役として、野党第1党の民進党の責任は重い。

 政府・与党に代わりうる「もう一つの選択肢」を示すことも、野党に求められる役割だ。

 「同一労働同一賃金」など民進党が掲げた政策を安倍政権が巧みに取り込む事情はあるが、内閣支持率が高水準を維持するのは、民進党が明確な対立軸を示せていないためでもある。

 党大会で、蓮舫執行部が安倍政権への対立軸に位置づけようとしたのは「脱原発」だった。

 蓮舫代表はあいさつで「原発依存からの脱却は、前倒しで実現可能となるよう、原発ゼロ基本法案を作成する」と訴えた。従来の「2030年代原発ゼロ」から早めたい考えを示したものだが、当初めざした「30年原発ゼロ」を打ち出すことはできなかった。

 福島第一原発事故から6年になるいまも、世論は原発を使い続けることに否定的だ。朝日新聞の2月の世論調査では再稼働に反対が57%、賛成は29%だった。原発維持の姿勢を崩さない安倍政権に対し、「脱原発」は明確な選択肢になりうる。

 しかし民進党は党内に「脱原発派」と、電力などの労組出身議員ら「原発容認派」が同居する。今大会に向けても、執行部が力を入れたのは労組を回って理解を求めることだった。「脱原発」の民意をくみ取る努力や工夫は十分とは言えない。

 労組など支持団体ばかりを頼るのではなく、より大きな民意をどうくみ取り、政策に生かしていくか。民進党が問われているのはそこである。

 活動方針は、安倍政権の「立憲主義を軽んずる姿勢」に危機感を訴え、衆院選に向けて「市民との絆を軸とした野党連携の強化の加速」を掲げた。問題はこれをどう実現するかだ。

 一つのヒントは、旧民主党政権だった12年に「30年代原発ゼロ」の方針を打ち出す際に用いた討論型世論調査にある。市民に討論してもらいながら、世論調査を繰り返し、意見の変化を踏まえて政策を決める手法だ。

 労組行脚より、執行部が全国を行脚し、討論型世論調査なども使って市民とのオープンな対話を進める。そこで出た意見をもとに、ボトムアップで具体的な政策に練り上げていく。

 その原点に立ち返れば、おのずと答えはみつかるはずだ。