たまり続ける汚染水対策は 担当記者が解説

03/12 19:29
福島第1原発事故から6年、たまり続ける汚染水の問題です。
「ALPS(アルプス)」で浄化された汚染水は、大きなタンクにためられています。
廃炉作業が進む、福島第1原発の敷地内に並ぶタンク。
その数はおよそ1,000基で、中には放射性物質を含む汚染水が、およそ96万トンたまっています。
東京電力は、汚染水が出ないようにする対策を行っていますが、今も1日300トンのペースで増え続けています。
大量の汚染水の問題について、原発取材を担当する生活情報部・加藤 崇記者の解説です。

(100万トン近い汚染水。中身は?)
原子炉建屋に地下水が流れ込むなどして、放射性物質を含んだ水が増え続けているもの。
この汚染水は、ALPSという装置を使うことによって、ほとんどの放射性物質を取り除くことができる。
しかし、1つだけ取り除けないものがあり、それが放射性物質であるトリチウム。
このトリチウムは、水素と性質が似ているために、水と混ざると取り除くのが非常に難しい。
そのため、タンクにためられているほとんどの汚染水は、トリチウムを含んだ水ということになる。

(トリチウムが除去できないかぎり、汚染水はたまり続ける?)
取り除くのとは、別の方法も検討されている。
原子力規制委員会の田中委員長は、このトリチウムについて、基準以下に薄めて海に流す以外に方法はないと思うと述べている。

(そもそも海に流せる?)
IAEA(国際原子力機関)によると、トリチウムは魚などには蓄積されず、人への影響は非常に限定的としている。
そのため、濃度が基準値以下であれば、海に放出できるという。

(世界の原発では、トリチウムが海に流されている?)
海に流しているのが現状。

(しかし、福島第1原発事故を起こしてしまった以上、なかなかそれは難しい?)
そこで、大きな理由となっているのが、漁業への風評被害。
2月に行われた福島県の漁業だが、試験操業という段階で、シラウオは競りも行われていない。

(漁業関係者は、復興に向けて、少しずつ進んでいっているが?)
これまでの試験操業は、福島第1原発から半径20km圏内を自粛して、それ以外でやっていた。
しかし3月、震災6年を迎えるのを前に、半径10km圏内に縮小して、徐々に徐々に復興を進めようという段階となっている。
しかし一方で、沿岸漁業の水揚げ量は、2月の時点で震災前のおよそ8%にとどまっている。
そのため、漁業関係者はトリチウム水の海への放出については、科学的にはわかっているが、風評を考えると認められないという考えは変わらない。

(タンクの容量は、いつごろまである?)
東京電力は、2020年末まではタンクの容量は足りるとしているが、それ以降は不透明で、震災6年を迎える今も、難しい問題が突きつけられている現状となっている。

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