民家で犯行か 遺体周辺に大量の血痕
石川県能登町宇加塚の民家で10日夜、町内に住む県立能登高校1年の池下未沙さん(16)が殺害されて見つかった事件で、県警は12日、民家の1階居間で見つかった遺体の周囲に大量の血痕があり、犯行場所と特定したと発表した。民家に出入りし、事件後に交通事故死した長野県松本市の大学1年の男子学生(21)が、女子生徒を殺害した疑いが強いとみて調べる。事故現場へ男子学生が運転して行ったとみられる乗用車からは、運転席などで血液反応を確認し、民家の鍵を発見した。
県警珠洲(すず)署によると、容疑者不詳で検証令状を取り、12日朝から15人態勢で民家を検証した。遺体は、玄関に続く廊下に面した1階居間で、あおむけに倒れた状態で見つかった。血痕は周囲に大量にあり、居間以外にはなかった。
居間の隣の台所にはソファや布団などが置かれ、テーブル上に男子学生のものとみられるスマートフォンがあった。
男子学生は、大学の春休みを利用して2月7日~3月24日の予定で金沢市に帰省しており、帰省後は祖父宅だった空き家の民家に家族でたびたび訪れていた。今月8日ごろ、普段は一緒に訪れていた父が不在で、1人で民家に向かったという。
10日午後7時40分ごろには、石川県穴水町で車にはねられ、11日昼に死亡した。車に飛び込んで自殺を図ったとみられる。凶器とみられる刃物は助手席から見つかった。
県警は、部活動帰りの女子生徒を男子学生が高校付近で連れ去った後、民家で殺害した疑いが強いとみて調べている。【道岡美波、金志尚】
「意見が言えるしっかりもの」大学の同級生
事件への関与が疑われる男子学生を知る大学の同級生は「授業で同じグループになった時、リーダーシップがあってみんなを引っ張っていた。しっかり自分の意見を言えるタイプで友達も多く、お兄さんみたいな人。事件を起こすイメージが湧かない」と口にした。
酒や車が好きで、2年浪人したうちの1年は農業をやっていたと聞いたという。「サークルで演劇をやっている」と話していたが、年明けからはキャンパスで見かけなくなったといい、「どうしたのかなと心配していたが、まさかこんなことになるとは」と言葉を失っていた。【ガン・クリスティーナ】