サイパンとグアム、日本人が消えた楽園の今

安売りしすぎたリゾートは復活できるか

汐留に出現した大型広告。あえてサイパンではなく「マリアナ」という言葉を使うことで、新しさを訴えることが狙いだ(撮影:尾形文繁)

「日本人客のいないサイパンなんて考えられない。今後も継続的に日本人が来るようなキャンペーンを行っていきたい」――。

2月17日、東京都内のホテルで、サイパン・テニアン・ロタの3島の観光政策を統括するマリアナ政府観光局が開催したイベントでのこと。参加した旅行業関係者130人を前に、観光局長のクリス・コンセプション氏はそう訴えた。

米国のグアム、サイパンなど、日本人に身近なリゾート地に異変が起きている。日本からの旅行者数は1997年のサイパン(テニアン、ロタを含む)45万人、グアム111万人をピークに、2016年にはそれぞれ6万人、74万人まで激減した。

忘れられた旅行地となったサイパン

特にグアムの約3割減に対して、サイパンは約9割減と減少は著しい。マリアナ政府観光局日本事務所の一倉隆代表は「サイパンは忘れられたデスティネーション(旅行先)になってしまった」と嘆く。

その理由をJTBのある幹部は「ツアーで3万~5万円の価格で安売りしすぎた。航空会社の取り分が少なく、便数を減らす結果になった」と話す。出張需要が安定的に見込めるエリアと違い、リゾート路線は需要の変動が激しい。

実際にJAL(日本航空)やデルタ航空、ユナイテッド航空が直行便を多く飛ばしていたが、2000年以降に徐々に路線を削減。例えばJALは2005年にサイパン路線から撤退。グアム路線も、中部国際空港や関西国際空港から撤退している。

現在、成田ーグアム路線はJALの1日1便に加えてデルタが1〜2便、ユナイテッドが3〜4便を運行。成田ーサイパンに至ってはデルタの1日1便だけだ。

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