2017-03-12

好きな小説家登場人物になった。

学生の頃から好きな作家が居た。

現実フィクションを織り交ぜるのが上手く、綿密過ぎる描写にこれは実体験ではないのか?と読者を錯覚させる作風

どの作品にも共通している視野が狭く暴走して突き進んでいく主人公がたまらなく好みで

新刊が出る度に取り寄せる程度にはファンであった。

数冊を読み、一つの願望が自分の中に湧き上がってきた。

「この人の書く小説登場人物になりたい」

狭小な視野暴走する男なんてどう考えても実際に関係を持ちたくないし、

紙の上だからこそ輝いて魅力的に見える。

ならばこちらも紙の上に行けば良いんじゃないかと言う安直な考えである

登場人物になりたいなんて頭がおかしいとしか言えないけど

その作家自分の取り巻く環境や見聞きして知った事を膨らませ歪ませる作風なので

作者に近付く事で題材の一つになれるのではと考えた。

しかし全てを投げうって近付くなんて馬鹿なことはしたくないし

近付いても登場人物になれなければなんの意味もない。

そもそも作家本人にはなんの興味も持てなかった。

登場人物になりたい。だけどリスクは取りたくない。

そんな事をだらだら考えていたら転機が訪れた。

その作家が賞を獲り、連日TVを賑わせるようになったのだ。

これはチャンスだと思った。

前述の通りこの状況もきっと小説にするだろう。それに便乗すれば夢が叶うかもしれないと。

作品共通して登場するような凜とした強い女性として描かれる事は無理であっても

ミーハーファンとしてなら登場出来んじゃないか?と。

そう踏んで行動に移すと肩透かしをくらう位簡単だった。

簡単に引っかかってくれたのは良かったが

重ねてにはなるけど作家本人には興味を持てなかったので

TVに映る切り取られ誇張された部分だけで熱を上げたバカを演じる事に酷く苦慮したけど。

この人は私が作家の事が好きだと思ってるんだと思うと面白くて笑いを堪えるのが大変だった。

消印も住所も方言名前も全部嘘なのにこの人はそれを信じてるのかと思うとそれも面白くて仕方なかった。

それから1年予想通り取り巻く環境ネタ作家小説を出し、予想通り登場人物になる事が出来た。

こうやって真実虚構を織り交ぜているのかと感嘆した。

夢は叶ったけど達成感よりも虚無感のほうが強くて自分感情に驚きが隠せない。

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