五輪競泳水着「50年の進化」 飽くなき抵抗との戦い

東京五輪(1964年)

絹ではなく、合成繊維のナイロン(ポリアミド)100%。トリコットという編み方の素材が使われていた。横には伸びるが縦には伸びずフィット性に欠けたので脱着しにくく、首回りを大きく開けたデザインになったという。

抵抗を最も受けやすい胸の部分に大きな日の丸のワッペンが縫い付けてあるなど、「抵抗の低減や動きやすさの確保」という現代の水着に求められる特性を満足させるには程遠いウエアだった。

バルセロナ五輪(1992年)

見た目が大きく変わった。ハイレグのカットがより高くなったことで、脚部の運動性が増加。素材は、新開発の「アクアスペック」。ソウル五輪の「アクアピオン」の表面平滑性をさらに向上させた素材である。

新素材開発に当たって、当初は「アクアピオン」より細い繊維をより高密度に組み立てることを検討したが、水抜け性に問題があって強度も低下するため、ポリエステル(PE)に特殊加工を施すことになった。具体的には、「アクアピオン」に使用されたナイロンよりやや太いポリエステル繊維を使用し、ポリウレタンと交編した生地を熱プレスで圧縮加工した。

ロンドン五輪(2012年)

ロンドン五輪の日本代表公式ウエアは、ミズノとデサント、アシックスの3社が提供した。この3社は日本水泳連盟から代表選手への水着供給メーカーとして以前から指定されていたが、北京五輪でこの3社の製品ではなくLRを着用する選手が続出した一件から、水泳の競技用ウエアはほぼ自由競争になり、各社の実力が問われるようになった。国内3社にとってロンドン五輪は雪辱戦の舞台となった。

ミズノは、適度な伸びのある布帛(ふはく、縦糸と横糸による織物)の水着素材を採用した。ニット生地(糸を曲げて形成した結び目によって生地としての構造を維持する)に比べて伸長させるのに大きな力を必要とする素材で、ウエスト周りを締め付けて骨盤を支持し、体幹を安定させてフラットな姿勢へと導くことを意図している。