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オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン / サミュエル・ビョルク
ここ最近食指が動かなかった北欧ミステリ。なぜ読んだかといえば、「失踪者 (Kindle版)」を読み終えた直後に紹介されたから。
帯に「北欧ベストセラー」とあったので、どんなものかいなとポチってしまったのだ。
正直、「世界中が震撼!」はしないと思う。が、結構楽しめた。
物語の舞台はノルウェー。主人公は前の事件で左遷を余儀なくされてしまったホールゲル・ムンクと、刑事を辞め田舎の島に引きこもって死ぬ日を待っていたミア・クリューゲルのコンビ。
初老の数学オタクで太っちょのホールゲルは、優秀な捜査官で、オスロ警察で殺人捜査課の特別班を率いていたが、ミアが起こした事件のせいで今は田舎警察に甘んじていた。
ところが、ある事件がきっかけで、ムンクは第一線に引き戻される。
小学校に上がる前の幼い女の子が木から吊るされているのが発見されたのだ。人形のようなドレスを着せられ、しかも首にはノルウェー航空の「I'm travering alone」のタグをかけられていた。
ムンクの復帰の条件はミアを連れ戻すこと。ムンクはミアが警察学校の学生だった自分に引き抜き、以来タッグを組んで事件を解決してきた秘蔵っ子だった。彼女はそれほど特別な才能に恵まれていたのだ。
今回もまた、ミアは写真をみただけで同様の事件はまた起こると見抜き、実際に次の犠牲者が発見される。しかも、この事件は2006年に女の赤ちゃんが連れ去られた事件と関わりがみられた。この事件はスウェーデン人看護師のヨアキム・ヴィークルンドが「誘拐の責任を取る」と書き残して自宅で首を吊ったが、赤ちゃんは発見されず、結局迷宮入りしてしまっていた。
そして最初の女の子パウリーネのバッグ書かれていた名前「JWリッケ」は、「ヨアキム・ヴィークルンドではない」という犯人からのメッセージだとミアはいうのだ。
事件の周囲には、謎めいた宗教団体が見え隠れし、ムンクの母親も全財産をその教会に寄附しようとしていた。
果たして犯人の目的は・・・
数学とクラシックと煙草をこよなく愛する太っちょのムンクと、第六感に優れ、アメリカ先住民のような面立ちとノルウェー人特有の青い瞳のミア。
こういうキャラも雰囲気も嫌いじゃない。「失踪者」とはうって変わってエンタメ性も強いつくり。
ただし、このボリュームからすれば価格はお高め。アマゾンの画像も昔の写メ並みなのに・・・
Kindle版だからなのかもしれないが、「訳者あとがき」もなく、全然関係ない研修本の適当文字だけ広告を見せられるのは確かに白ける。色々事情もあるのでしょうけども。
しかも、本書はシリーズものでUKではこの第二弾も好評だ。
版元はこの本が売れたら、そのお金で第二弾の版権をとるつもりなのかもしれないが、真面目な話、売りたいなら最初から文庫で出してくれなくちゃ。
今時こんな「ザ・死霊」みたいな装丁の、厚くもない本、よほどの人じゃない限り2,000円も出して買わない。
本書の著者のサミュエル・ビョルクはノルウェーの作家で日本初上陸だと思うのだが、本書にはほとんどなんの情報もない(少なくともKindle版にはない)。調べてみれば、著者は、いわゆるマルチタレントというやつらしく、シンガーソングライターで脚本家もこなすらしい。
小説デビューは本書らしいが、脚本家と聞いてなるほどと思うことしきり。
人形が着ている黄色いドレス、ミアの黒髪と青い瞳、ノルウェーの海岸に立つサマーハウス・・・
映像的でエンタメ性もあり、従来の「暗くて陰惨一辺倒路線、はいはい、北欧は大変なんですね・・・」的ではないのは買うが、個人的には二時間ドラマみたいというか、ややサクサクすぎている感じもしなくもない。
また、「ミレニアム」のリスベットのようなハッキング能力や直感像記憶といったはっきり名前のついた能力と異なり、ミアのそれが曖昧なものであることに不満を感じる人もいるかも。事件の真相についても、その経緯についても賛否あることだろう。
北欧ものからしばらく距離を置いていたせいかもしれないが、それでもなかなか面白かったかな。
ミアもムンクもこれだけキャラが立っているのに、返す返すもったいないなぁ!
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category: クライム・警察・探偵・リーガル
失踪者 / シャルロッテ・リンク
気がつけば3月・・・
早いすなぁ。
さて、しばらくぶりのミステリー。
なんでもドイツNo.1作家による最高傑作”だそうなので、読んでみた。シャルロッテ・リンクは、ドイツ国内では、日本でいう宮部みゆきや東野圭吾に匹敵する人気作家らしい。
ドイツ作家だからドイツが舞台かと思いきや、舞台は英国。
訳者あとがきによると、シャルロッテ・リンクは大の英国好きで、英国を舞台にしたものが多いのだとか。
タイトルの通り「失踪者」をめぐるミステリで一転二転するどんでん系。
イギリス南西部の田舎に住むエレイン・ドーソンは、5年前、幼馴染のロザンナの結婚式に出席するため、ジブラルタルに向かったが、霧のためヒースローに足止めされてしまう。
その日はもう飛行機は飛ばず、ホテル代にも事欠くエレインは空港で偶然であった親切な弁護士マーク・リーヴの家に世話になった。しかし、その翌日を最後にエレインの消息はぱったりと途絶えてしまう。
5年の月日が流れ、ジブラルタルで専業主婦になっていたロザンナの元に、かつての上司から、英国で起こっている失踪事件をテーマに記事を書かないかとのオファーがくる。その中には、エレイン失踪事件も含まれていたため、当事者であるロザンナに白羽の矢が立ったのだった。
エレイン失踪事件に一抹の責任を感じていたロザンナは、夫の反対を振り切りロンドンに飛ぶ。
エレインは、内気で地味な「生まれつきの壁の花」タイプだった。両親を亡くし、まだ若いのに障害者の兄の世話に縛られていた。
エレインは自分の意思で失踪したのだろうか?それとも・・・?
丁寧な心理描写がいかにも女性作家らしい。
とにかくプロット優先という人もいるが、私は小説の醍醐味は自分以外の他人の気持ちになってみることにもあると思うので、好ましく感じた。
生まれつき不幸なことが運命づけられているエレインのような人間から、他者からみれば一見悩みとは無縁のように見えるロザンナや彼の兄セドリック、マーク・リーヴの心情が丁寧に描かれる。人の持つ複雑さや多面的な側面から照らすその描写力に感心することしきり。
他人からの見かけ通りの人もいる一方で、全くそうは見えない人もいる。他人のことなど、誰にもわからないのかも。
また、本書の良さは先の展開が読めないことにもある。
同時進行で起こる若い女性の連続惨殺殺人事件や、世界の果てのような片田舎で人目を避け、逃亡生活を送っている謎の女性などが絡んでくるのだ。
果たしてエレインは生きているのか?
これにどういう決着をつけるのだろうかと思っていたが、ラストは少し拍子抜け。
・・・と思いきや、考えてみれば、結局のところはこれ以外にはありえない。
最後の最後までサスペンスフル。
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category: 未分類
アカデミー賞受賞式2017
ジムから帰ってテレビをつけると、ちょうどWowowで「アカデミー賞授賞式」を中継していた。
今年の授賞式は、かなり大統領を意識していた。
そして、最後の最後で大失態が!!!
オオトリの作品賞のプレゼンテーターとして登場したのは、
かつてのボニーとクライドこと、フェイ・ダナウェイとウォーレン・ビィティの二人。
フェイ、綺麗すぎるんですけど・・・!!!
だた、、、、往年の大スターもさすがにお年寄り感が・・・
アカデミー賞は、司会者もプレゼンテーターさえも、その封筒を開封するまで結果がわからないのだが、封筒を開けたウォーレンが、「あれ?」という顔をする。
待ちきれずフェイが「作品賞は、ラ・ラ・ランド!」と発表して、喜びに沸く「ラ・ラ・ランド」チーム。
監督、プロデューサーが感謝の言葉を述べ終わったところで、ステージ上が騒然となった。
実は、、、
作品賞は「ムーンライト」だった。。。
会場も中継をみていた視聴者も「ウォーレン、やらかしちゃった!?」と思っただろうが、これはスタッフのミス。
ウォーレンに渡された封筒は、その一つ前の主演女優賞受賞者が書かれている封筒で、「ラ・ラ・ランド エマ・ストーン」と書かれていたために戸惑っていたのだった。どうしたものかとフェイに見せたら、彼女が発表しちゃったというわけ。
主演女優賞のプレゼンテーターのディカプリオから回収したものを、スタッフがそのままウォーレンに手渡してしまっていたらしい。
その時の絵面は、まるでダ・ヴィンチの最後の晩餐さながら。。。。
ここですかさずトランプから嫌味のツィートのひとつも来れば、
「全部、トランプが悪い!」ということで片付いたのに(*゚ェ゚*)
それはさておき、恒例のファション・チェック!
まずは、今年の主役といっても過言ではないエマ・ストーン
写真映えはイマイチだけど、豪華な刺繍とレースで、
動くとフリンジが揺れてきらめく素敵なドレス。
ジバンシィのものらしいです。
大振りのピアスもドレスにぴったりだった。
相変わらず原色の人もいたけれど、今年はこういう中間色でレースと刺繍が多かったなぁ・・・
ニコール・キッドマンも中間色
着る人を選ぶアルマーニ。
原色派のレスリー・マン
大人しめの色味が多かったので目立ってた!
鮮やかで豪華なタフタのドレスは、
プロジェクト・ランウェイの審査員もしているザック・ポーゼンのドレスだそう。
安定のヴァレンチノ・レッドのドレスは、
「エージェント・シールド」などでもおなじみのルース・ネッガ
「Empire 成功の代償」のクッキー・ライオン役などをしているタラジ・P・ヘンソン
ヘアスタイルからジュエリー、サンダルまでトータルでカッコイイ!
ファッションは、奇をてらわないのが一番というお手本かも。
一見、黒にみえるけど実は濃紺のベルベットで、アルベルタ・フェレッティらしいです。
ブラック・ドレスで素敵だったのは、
一昨年、主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン
中継ではほとんど上半身しか映らなかったけど、裾が特徴。
ウェディングドレスでも有名なオスカー・デ・ラ・レンタ。
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category: 雑談その他
喧嘩(すてごろ)/ 黒川 博行
長らく翻訳もののミステリー(広義の)を中心に読んでいるが、最近、その意義を感じなくなってしまった。どれもこれも似通っているし、丁寧に読もうという気すらなくなり、内容が頭に残らない。(残っても意味はないが)
特に北欧系のものには正直辟易。芋料理ばかり食べさせられている気分になる。しかも同じ味付けで。
その時間さえ楽しければそれでいい、という人もいるだろうが、その実、満足感もほとんどない。
我ながら、無駄な読書をしているなぁ・・・と時々虚しくなる。
だからといって、新書や経済本、ノンフィクションの類は頭を使う。知識を得られるという喜びがあるし、刺激にもなるが、もともと頭の性能がよいわけではないので、そればかりだと疲れるのだ。
日本人作家を一段下にみている”翻訳ものかぶれ”のあなたにこそ、読んでほしい作家。
しかも、翻訳ものに比べると安いし、Kindle化もされているというサービスの良さ。
ただし、「「破門」は別。
映画化もされ、現在、公開中だという。横山裕は非モテの二宮にしてはイケメンすぎだし、佐々木蔵之介はやや上品すぎる気もするが。
個人的にはシリーズ中、小作品な「破門」ではなく、「疫病神」や「国境」に授与されてしまるべきだったと思うが、いずれにしても黒川博行の作品にははずれがない。シリーズものだが、どれから読んでも楽しむことのできるようになっている。
特に「国境」はシリーズ最高傑作との呼び声が高い。桑原のいうところの「パーマデブ」時代なので、時代は違うが今話題のあの国絡み。特に前半はいかにもまずそうなトウモロコシ麺や痩せた雀がご馳走だという、かの国の事情がしっかり描かれている。
二宮は、建設現場を荒らすヤクザをヤクザを持って制す「サバキ」の手配をすることを生業にしている自称、建設コンサルタントだ。彼の亡くなった父親がヤクザの幹部だったことから、その筋に多少縁があるというので、サバキで生計を立てている。が、暴対法の強化でビジネスは先細り。40歳になろうとしているのに、未だに母親からお年玉をもらっている。お年玉のみならず、母親への借金は100万やそこらではきかない。
その二宮が「疫病神」と呼んでいるのが、ヤクザの桑原だ。桑原と二宮は、コンビを組んでサバキをこなし修羅場をくぐってきた。イケイケの彼のせいで、肋骨を折ったことも一度や二度ではない。二宮からしてみれば、桑原の足元には地獄の釜が蓋を開けて待っている。
その割には、何かといっては桑原を頼り、ご馳走してもらっているのだが。
そんな桑原は、二宮の父親がいた組の幹部だったが、ある事件がもとで破門され、代紋を失ってしまう(「破門」)
組の後ろ盾のない桑原と、二宮が議員の利権をめぐって立ち回りを演じるのが、本書「喧嘩」なのだ。
文字通り、素手で喧嘩をすることとに掛けている。
このシリーズの何がいいって、ヘタレの二宮とイケイケ極道の桑原の掛け合い漫才的な会話がいい。関東の人間からみれば、大阪弁はそれだけで面白い。女の子がしゃべるとかわいいし、ヤクザがしゃべると凄みが増す。
だが、黒川作品のもう一つの良さは、エンタメ一辺倒ではないということ。毎回、サバキのネタとして裏社会のカラクリを垣間見せてもくれる。
このシリーズを読むたびに、自分は世の中の仕組みを何ひとつ知らなかったんだなぁ・・・と思う。
だいたい、議員報酬だけであんな家が建つわけもないのだが。
シリーズものは、マンネリに陥りがちだし区切りのいいところで終わるべきだと思うが、このシリーズだけは、まだ続いていって欲しい。
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category: ミステリ/エンタメ(国内)
tag: 疫病神 映画「アラスカ戦線」読書会!
久しぶりに読書会に参加してきた。思えば去年の10月以来・・・
ご無沙汰で〜す!
課題本は、マイスナーの「アラスカ戦線」で、参加人数は12名。
顔ぶれもちょっとフレッシュで楽しかった。
なかには数年ぶりの方も。。。
まずは、皆でカンパ〜イ!!!
ちょっと写真が赤いんですが、どうも設定を間違えて撮ったらしい・・・
ということで、読書会スタート!
※ 以下、ネタバレあります。
平均点は、6.96点!(10点満点中)
最高点は10点で、最低点は5点。男性陣受けする小説なのなぁと思いきや、最低点をつけたのはお二人とも男性・・・
それぞれのマイナス要因は、
*人間対人間のしびれるマンハントを期待したのに、それがなかった。
*爆撃機や戦艦の名前がありえない(ミリタリー愛好家としては許せないレベル)
それぞれ、譲れないポイントがあるようで・・・
特にミリタリー好きの方には、突っ込みどころ満載だったようだ。
そして、評価が最も割れたのが、物語におけるアナトラちゃんの存在!
これは、男女でバキっと割れた。
男性陣に大人気だったアナトラ(健気で美乳だもんなぁ…)だけど、女性陣からはちょっと微妙。
アナトラが入ることで、物語が引っ掻き回され悪影響を受けたという声もあった。
非難が集中したのは、「日高がアナトラを妊娠させた」こと。日高は、使命、使命いう割にはやることはやってる(笑)ほんと、いつの間に妊娠させのよ?アラトナは若いし、今の時代なら淫行間違いなしだわよ・・・
だが、極限状態におかれればおかれるほど、本能的に生物は子孫を残そうとするものらしい。和歌山のイルカの追い込み漁では、追い込まれたイルカたちがいっせいに生殖行為をするのだそうだ。そういえば、人口爆発が起きているのも、オマーンや南スーダンなど危険地帯だ。
というわけなので、どうか日高大尉を許してあげてください。
この本の極限など「女王陛下のユリシーズ号」に比べればゆるいわ!という意見もあったが、日高の本能のスイッチが入る程度には極限だったということで。。。。
横浜読書会は下ネタが不得意で、しかも女性比率が高いので、割と気まずい感じ(笑)
というか、わたしは日高大尉は結構な家柄なのに三十路で独身という設定だったため、あっち?疑惑を抱いており逆に安心したかも(笑)それはそれでアリだし別にいいんだけども。。。
ついこのあいだ引退した某俳優さんも、お薬系が潔白なのならば、別に何も気にする必要はないのに。開き直っちゃえばいいのに。
その他のアラトナ関係への不満は、彼女の父親と兄が日本兵をいともたやすく殺してしまったことも挙げられた。
もうひとつ見解が割れた点は、スタートがトロいこと。
最近の小説は、映画やドラマの影響を受けてか、まず最初にドカーンと打ち上げて読者の目を奪っておいて始まるケースが多い。スピード感もあるのが当然。だが、本書は古い本ゆえに、ゆるゆるっと始まる。私は、それがかえって新鮮でよかったりもしたのだが、これは好みの問題だろうか。
ところで、今回の読書会にはかつて新入社員として「アラスカ戦線」の編集に携わったという方も!
長い人気を誇り、最近新訳版もでたばかりだが、当時の装丁がこれ。
なんでも、本当はもっとカッコよく、手製の斧で熊に立ち向かう日本兵をフラゼッタ風にしたかったそう。
うん、ちょっと「南極物語」風ではあるかも(笑)
フラゼッタ風ってなに?という方はこちらをどうぞ。
話はそれたが、その他の感想としては、、、
*著者の日本人への造詣が深い
*「声に出して読みたい」ほど文章力が素晴らしい
*陰湿さがなく、さわやか
*日高、アランのそれぞれが人間として成長していくところがよかった
*日本、アメリカどちらも平等に描いているところがいい
*日本人の名前が変
*軍記ものとしては弱い
*アラスカの極限状態で、ろくな装備もなく生きていけるはずがない(リアリティがない)
*ラストが綺麗事すぎる(どちらか死ねや)
*本当なら日高はカリフォルニアの収容所に送られるはず
*地理がわからないので、地図を載せてほしかった
刀自本などの日本人の変わった苗字については、もとはもっと妙ちきりんなものだったのを、翻訳家の松沢氏が適当な名に変えたとのことだった。
また、アランが日高をエスキモーだと思うあたり面白かったとも。ま、日高のいうように、私たちも日本人もモンゴロイド。皆、「平たい顔族」だということか。
映像化については、実は石原裕次郎が映画化権を持っていたのだそうだ。
石原プロっぽいといえばそうだけど、アラスカ・ロケができるほどの資金が集まらなかったのだろうか。
日高もアランも作中では30歳を少し超えるくらい。その年齢の俳優さんで日高ができそうな人っているのかな?
個人的には無理に映像化などしないで、そっとしておいたほうがよい気がするなぁ。。。
というわけで、おしまい。
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category: 読書会