27歳、リーマン男。
付き合ってもうすぐ1年の彼女がいる。
顔はそこそこかわいく、友人に紹介すると俺にはもったいないと言われるほどの良い彼女だ。
彼女いわく、ひとりでは入りにくい。女子会では小洒落たカフェやイタリアンばかりで焼き鳥屋を提案しにくい。彼氏(俺)なら気をつかわないし週一の楽しみだから、なのだそうだ。
俺だってたまには可愛い彼女と小洒落たカフェやイタリアンに行きたい。
一度「俺が支払うから」と言ってフレンチに連れて行ったことがある。ディナーはすべてコース料理の店だった。
会計を終えたあと、彼女からお礼を言われたが、どうにもいつもの焼き鳥屋を出た後よりもテンションが低めだった。何か気に入らなかったか尋ねると、そうじゃない、料理は美味しかったしいつもと違った雰囲気で楽しかった、とかぶりをふる。
しかし、どうしても気になった。食い下がって聞いてみると、
背筋を伸ばしながらフォークとナイフを使ってお上品に食べたり、ワインのテイスティングをしたり、小声で会話をしたり、といったことに疲れてしまったという。
たしかに、焼き鳥屋のように気負わず、ゲラゲラと笑っていい雰囲気ではない。いつもと違う雰囲気を、と思って張り切ったのが裏目に出てしまったかと反省した。
そうしてずるずると焼き鳥屋を開拓する日々が続いていたが、もう限界だ。
ヤゲン軟骨も、ぽんじりも、ふりそでも、ねぎまも、もう飽きた。
食感が違うだけで同じ味に感じてしまう。
「クリスマスなんだからもっと良いお店にしてもいいんじゃないか」と言っても
「なんで?クリスマスにチキン食べるじゃん。七面鳥も鶏も一緒だよ」だそうだ。
一緒じゃねーよ、ちきしょう。
焼き鳥屋以外の気軽な店じゃダメなのか
サイゼリヤにでも行ったら