早期発見の利点が強調される乳癌検診 「過剰診断」の危険性を指摘する声も
2017年03月10日 23時20分 ニューズウィーク日本版
2017年03月10日 23時20分 ニューズウィーク日本版
2017年03月10日 20時15分 ニューズウィーク日本版
同委員会によれば、乳癌の発症リスクは年齢とともに上がるから、50歳以上ならばマンモグラフィーで悪性腫瘍が見つかる確率は高まると考えられる。
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進行癌の数は減らない
癌協会も15年に方針を改め、45〜54歳の女性には毎年の、55歳以上には2年に1度の検診を勧めるとした。
デンマークの研究チームは内科学会紀要に発表した論文で、マンモグラフィーの導入前後で発見された初期癌と進行癌の数を比較し、過剰診断の割合を調べた。検診に政府の狙いどおりの効果があるなら、治療可能な小さな腫瘍が増え、大きく深刻な癌は減るはずだ。
論文を共同執筆した北欧コクラン・センターのカーステン・ヨーゲンセン博士によれば、マンモグラフィーの導入後、乳癌の発見数はぐんと上がった。見つかる癌のほとんどは初期の小さな腫瘍だ。しかし、それでも進行癌の数は減っていない。
医療技術には限界があると、ブローリーは言う。統計的には過剰診断の割合を推測できても、現場の医師には治療の必要な腫瘍とそうでない腫瘍を正確に見分けることができない。だから医師は用心のため、全ての乳癌を手術や放射線、抗癌剤で治療しようとする。
今年もアメリカでは25万3000人が新たに乳癌と診断され、4万1000人が乳癌で死亡すると見込まれる。これとは別に、非浸潤性乳管癌(DCIS)と診断される女性が6万3000人。