【社説】朴大統領弾劾審判、国民は「歴史的承服」で危機を克服しよう

宣告が下された後、それが意に沿わなかった側の喪失感を埋め合わせる対策も必要だが、それにはまず相手側の自重が何よりも重要になるだろう。自重とは自らの言動に慎重になるということであり、今ほどそれが求められる時はないが、これら全ての問題を制度によって解決する責任は政治にある。ところが大統領選挙への出馬を目指す候補者たちや各党の執行部はこれまでそれに逆行する動きをしてきた。最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は次期大統領候補者の中で支持率が最も高いにもかかわらず、集会不参加を求める声には一切耳を傾けないで自ら集会に足を運んだ。一方で集会への不参加を宣言した野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表が群衆に問い詰められることもあった。これに対して与党・自由韓国党の一部議員は弾劾に反対する太極旗集会に自ら参加し、国会と特別検事を批判した。政治家はこのような態度や行動を今すぐ改めなければならない。各党の代表や大統領候補者たちは集会に参加するのではなく双方が直接会い、今後の対応策について協議すべきだ。今や癒やすべき傷があまりにも多くなった。今後もし国民を刺激し分裂させようとする人間が出てくれば、それが大統領候補であれ国会議員であれ、即座にその地位から追放しなければならない。

 今国民の関心は弾劾に集中しているが、実際はそれ以上に深刻な安全保障問題、あるいは経済問題が絡み合ってこの国を危機的状況に追い込んでいる。これまで北朝鮮は中距離弾道ミサイルを2回発射し、中国はTHAAD(米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」)の韓国配備に対する報復を一層厳しくしている。米国のトランプ政権は北朝鮮に対する先制攻撃や政権交代を含むあらゆる方策の検討に入った。いわば何が起きても不思議ではない状況だ。経済も輸出だけで持ちこたえており、投資や内需、消費心理、雇用のどれを取っても好転の兆しは見えない。もし弾劾が成立して大統領選挙が前倒しされることになれば、これから2カ月は安全保障も経済も全てが選挙戦によって大きな影響を受けるだろう。もちろん弾劾が棄却されてもそれに伴う混乱は当分続くはずだ。

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