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 日本政府は「南スーダンの国造りのプロセスは新たな段階に入りつつある」と説明するが、国造りに不可欠な治安は悪化している。

 南スーダンは2011年の独立後、キール大統領とマシャル副大統領(当時)が民族の違いを利用して主導権と利権を争った。15年8月に和平が成立したが、昨年7月、キール派とマシャル派の大規模な戦闘が再燃。現在も南部や北部を中心に戦闘が続き、内戦状態に陥っている。

 ジュバの治安は比較的安定しているが、副大統領を解任されたマシャル氏は先月、滞在先の南アフリカで朝日新聞の取材に「ジュバは主要な標的だ」と述べた。ジュバでいつ戦闘が起きてもおかしくない。

 日本政府は「国内の安定に向けた政治プロセスに進展が見られる」とも説明したが、キール政権の労相や軍幹部らが相次いで辞任し、マシャル氏に忠誠を誓ったり、反政府勢力を立ち上げたりしている。

 国内には10以上の反政府勢力が存在する。キール氏は昨年末から和解に向けた「対話」の準備を進めてきた。だが、マシャル氏は「和平が実現しなければ、対話もない」として不参加を表明。事態の改善は見通せない。

 国内では多数の市民が虐殺や略…

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