【ソウル聯合ニュース】韓国憲法裁判所が10日、朴槿恵(パク・クネ)氏の大統領罷免を認める決定を言い渡したことにより、朴政権の外交的成果だった韓日慰安婦合意の行方にも関心が高まっている。
前倒しで実施される大統領選の有力候補の多くが韓日慰安婦合意に問題があると異口同音に主張しているためだ。
尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官と岸田文雄外相は2015年12月28日に慰安婦合意を通じ、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決したことを宣言した。
当時日本政府は「慰安婦問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」として、「責任を痛感している」と表明。岸田外相が安倍晋三首相の「おわびと反省の気持ち」を伝え、慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷の癒やしのための事業を行う財団に日本政府の予算で10億円を拠出することにした。予算の拠出は昨年履行された。
1990年代の「アジア女性基金」や韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権(08~13年)時代に合意寸前に決裂したいわゆる「佐々江案」(日本首相の謝罪の手紙や日本政府予算を使った補償などを盛り込んだ解決案)の失敗を経て交渉のテーブルについた両国の政府は20カ月の間、10回以上局長級協議を開くとともに、李丙ギ(イ・ビョンギ)大統領秘書室長(当時)と谷内正太郎国家安全保障局長が10回近く秘密接触を行うなどし、ようやく合意に至った。
合意を受け生存している被害者のうち相当数は日本政府の拠出金を受け取ったが、合意に対する韓国世論の反対は大きい上、昨年末の釜山日本総領事館前への慰安婦被害者を象徴する少女像設置をきっかけに韓日関係も再び悪化した。
合意から約1年3カ月が過ぎた現在まで慰安婦問題に対する韓国国民の傷の癒しや韓日関係の改善など期待した結果を出せなかった慰安婦合意は、大統領選を前に破棄か維持かの分かれ道に立っている。
次期大統領選の有力候補のうち、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表(全面無効)と李在明(イ・ジェミョン)城南市長(全面再検討)、第2野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表(破棄)、保守系「正しい政党」の劉承ミン(ユ・スンミン)国会議員(再交渉)などが慰安婦合意に反対を表明しており、次期大統領選の重要な争点の一つになるとみられる。
しかし慰安婦合意を破棄した場合、国際的な信頼を損ない、韓日関係を決定的に悪化させる可能性などを危惧する声も大きい。特にこのほど自民党の党則改正により安倍政権が最長で21年まで政権を担当できる道が開けたことで、韓国の合意破棄は韓日関係の取り返しのつかない破局につながるとの懸念もある。
現在慰安婦合意に反対している大統領候補も、選挙を経て実際に政権を握れば外交的現実論を直視するとの見解が多数派だ。
しかし釜山の少女像を理由に駐韓大使を2カ月以上帰任させないなど、むしろ被害者であるかのように行動する日本の態度が韓国の世論を深刻に悪化させる場合、韓国の新政府発足後に再交渉論が強く提起される可能性も排除できない。