一般的に解釈すれば、この落ち込みようはひとえに私の恋愛経験の乏しさに尽きるのだが、すべてを失った私にはもう生きていく理由がないように思える。
世界各地で今この瞬間にもカップルは誕生し、また別の場所では破局している。
そんな卑近なはずの現象が、まさか自分たちの身に降りかかるなんて思ってもみなかった。
永遠なんてないとは言葉の上では理解していたつもりだったが、それでもこの関係が一生続くと思っていた。
「好きという感情がなくなった」
私にはまったく理解ができない。
彼女は普段からあまり不満を口にせず、悩みを溜め込む傾向にはあった。
しかし私は今回の件で、突然別れを告げられるような落ち度があったように思えないのだ。
愛が伝わっていなかった?
言葉が足りなかった?
そんな平凡なミスは侵していない。
今までも、そしてこれからも、二人で順調に楽しい思い出を作っていけるはずだった。
たしかにこの1ヶ月ほどのあいだは些細なことからギクシャクした雰囲気になることもあった。セックスもレスだった。
しかしこんな停滞期はなにも珍しいことではなく、3年という年月のあいだに何度かはあって、それも二人で一緒に解決してきたはずなのに。
会う頻度だって今までと変わらず、何気ない日常がずっと続いていたはずなのに。
なぜ今回に限って、突然の終わりを告げられたのだろう。
はじめは電話で話を切り出されたが、直接会って話し合う日を設けることにした。
彼女への変わらぬ思いを、こんなギクシャクした空気は過去に何度も一緒に乗り越えてきたことを、今回だって近いうちにまた元通りにできる希望が十分にあることを、突然すぎる提案を受け入れることは私には耐えられないことを...
後悔だけは残したくなくて、きっと彼女の気持ちを取り戻せると信じて、私は伝えたいことをしっかりと整理してから話し合いに臨んだ。
話し合いの当日、私は彼女にまず思いの丈を語った。後半、私は泣いていた。
男泣きのカッコ悪さなんて、彼女を失ってしまうリスクに比べれば塵みたいなものだ。
しかし話し始めてからしばらくもしないうちに、私の言葉が彼女の心にまったく響いていないことを悟る。
彼女は私の気持ちを聞いて泣いているけれど、私の愛はすでに十分伝わっているけれど、それでも彼女は私のことが好きでなくなってしまっているのだ。
そこに理屈はない。そして彼女のなかではすでに私たちは終わっているのだ。
口にしてくれなかっただけで、彼女は自分のなかですっかり整理がついている。もう何を言っても遅いのだ。
どうして彼女はその結論を出してしまうよりも前に、もっと話し合いの場を設けてくれなかったのか。
こちらは相も変わらず絶好調に愛していたのに、なぜ貴女は気持ちがゼロになってしまうまで黙っているのか。そんなのズルいじゃないか。
私の何がいけなかったのか。
そんなことを彼女から聞き出したところで、この破綻を修復することはできない。
私にはこれ以上、何も言うことができなかった。
フる側とフラれる側でこうも気持ちに差が生まれてしまうんだな。
涙が出過ぎて喉が乾く。
「今までありがとうね」
と言った。
そんなありがちな台詞が言えるほど、彼女のなかでは気持ちの整理がついているのだ。改めて実感する。
私は視線を落として、せめてそのふざけた空気感にだけでも抵抗しようと思った。
双方合意の穏便な別れ話を済ませたつもりなんだろうな。
私にとっては晴天の霹靂、これまで生きてきて一番残酷な時間だったのにもかかわらず。
信じがたいほどの気持ちの隔たりを感じてしまって、また涙が吹き出した。
私はこの先立ち直ることができるのだろうか。
彼女は私のすべてだった。
私は彼女に生かされていた。
友達が少ないのも、無趣味なのも、仕事が退屈なのも、彼女のくれた無償の愛のおかげで、自分はこれで大丈夫だと思えた。
友人に愚痴を聞いてもらっているはずが、気づけば在りし日々の彼女との惚気話を披露している始末。
思い出は美化されるから引きずってしまう、とはいうが、私にとって彼女と過ごした日々は、良いことも悪いこともすべてがすべて大切な宝物だった。
道を行き交うカップル、コンビニに流れるラブソング、ワイドショーの芸能ニュース...
本当に、何がいけなかったんだろう。
あのときああしておけばよかった、そんな後悔はまるで思い浮かばない。
少なくとも1か月前には百点満点の幸せな関係がそこにあったはずで。
心臓の半分を抉り取られたような、この喪失感は何に代えても埋められない。
何も手元になかった3年前の状態に戻っただけ、そんな風にはとてもじゃないが割り切れない。
今は思い出の品を段ボールに詰めてはまた開封し、彼女のLINEをブロックしてはまた解除し、「失恋 立ち直り方」でググって質問サイトの経験談を読み漁ってはまた号泣している。
すごーい たっのしー
あなたが悪いんじゃなくて、 別のちんぽがよかったんでしょ
http://anond.hatelabo.jp/20170310185744 評 失恋男の魂の叫び。「何がいけなかったのか」 自身に問いかけてみるが、答えは見つからない。 答えはすべて「好きという感情がなくなった」という彼...
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