2017年3月10日、韓国の憲法裁判所が朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免を認める決定を言い渡した。弾劾により大統領が失職するという韓国憲政史上初めての事態に国中が揺れる中、韓国のネット上では、決定を言い渡した裁判官・李貞美(イ・ジョンミ)憲裁所長代行のこの日の出勤時の髪形に大きな注目が集まっている。
午前11時からの宣告を前に李氏は午前7時50分ごろ憲裁に到着、車から降りる李氏の姿を報道陣のカメラが追ったが、李氏が建物に入ろうとするその瞬間、無数のフラッシュがその後頭部に浴びせられた。ピンク色のヘアカーラーが2個、その髪に巻き付けられたままだったのだ。
この李氏の出勤姿は韓国のネット上で瞬く間に話題を集め、ポータルサイトでは関連のワードが検索ランキングの1、2位を独占、SNSや掲示板でも書き込みが相次いだ。
ネットでは、カーラーを巻いたままのうっかり出勤は「ほとんどの社会人女性が一度はやったことがあるよね」など李氏に共感を寄せる反応が大勢を占め、「かわいらしい」「人間味あふれるね」「これこそが国民のことだけを思う真人間の姿。美しいよ」「カーラーがカッコよく見えたのは初めて」「これまでお疲れさまでした。来週からは旅行にでも行ってくださいね」といったコメントが多数寄せられている。
また、このカーラーに李氏のメッセージが込められているのではとの意見も少なくない。「カーラーを横から見た際の2つの『〇』が、弾劾の『認容』を意味するハングル表記を意味している」とするものや、「髪に2個巻かれたカーラーは2人の裁判官が弾劾棄却派に丸め込まれたことを意味し、評決は6対2で弾劾が認められる」と主張するものなど、さまざまな説が飛び交った。
さらに李氏が「うっかり」と見せ掛け、実は朴氏に強烈な皮肉を投げ掛けたとの意見も出た。朴氏は3年前の旅客船セウォル号惨事の際、対策本部に現れる前に専属美容師を大統領府に呼び、時間をかけて髪のセットや化粧をしていたとされている。ネット上にはこれに関するコメントも数多く、「朴さんとは大違いだ」「自分は朴槿恵とは違うというメッセージだね」「セウォル号の時、朴槿恵こそがこうでなきゃいけなかった」と、朴氏を改めて批判するものが目立った。(翻訳・編集/吉金)