合奏のテンポが“意図せず速くなる”原因解明
東京大学は3月9日、合奏のテンポが、しばしば意図せずに速くなってしまう原因を解明したと発表した。
音楽を演奏する際に、演奏のテンポがなぜか速くなってしまう現象は演奏家の間ではよく知られており、演奏/テンポが“走る”と呼ばれている。この傾向は合奏ではより顕著になり、技術が必ずしも十分でないアマチュアの悩みの種の1つだ。
東京大学の研究グループは、この“走る”現象を再現。その結果、一定のリズムを保つタッピング課題を2人組で行うと、単独で行った場合より動作テンポが速くなりやすいことが示され、テンポの高速化は「ペアのうちタップが速くなりがちな方の人が一方的にリードしたため」というよりは、2者のタップのうち、「早いほうに対して優先的に修正する」という、2人の間で起こる時間的に非対称なタイミング調節により起こり得ることが明らかになった。
これまで演奏現場では、“走る”現象は演奏者の緊張や高揚といった生理・心理的な要因によって起こると考えられていたが、この研究の結果は「他のメンバーとの同期(シンクロ)を維持する」という、合奏という演奏形態そのものが暗黙的に備えている制約下でのタイミング調節メカニズムが、テンポ高速化の一因になっていることを示しているという。
同研究グループは、「今後、ペアごと・個人ごとの速くなりやすさの差を決める要因や、生理・心理的要因との相互作用についても詳しく解明していくことで、意図した通りのテンポでの安定した演奏を実現するための効率的な練習方法や、スキルを評価するための指標の開発につながります」としている。
音楽を演奏する際に、演奏のテンポがなぜか速くなってしまう現象は演奏家の間ではよく知られており、演奏/テンポが“走る”と呼ばれている。この傾向は合奏ではより顕著になり、技術が必ずしも十分でないアマチュアの悩みの種の1つだ。
東京大学の研究グループは、この“走る”現象を再現。その結果、一定のリズムを保つタッピング課題を2人組で行うと、単独で行った場合より動作テンポが速くなりやすいことが示され、テンポの高速化は「ペアのうちタップが速くなりがちな方の人が一方的にリードしたため」というよりは、2者のタップのうち、「早いほうに対して優先的に修正する」という、2人の間で起こる時間的に非対称なタイミング調節により起こり得ることが明らかになった。
これまで演奏現場では、“走る”現象は演奏者の緊張や高揚といった生理・心理的な要因によって起こると考えられていたが、この研究の結果は「他のメンバーとの同期(シンクロ)を維持する」という、合奏という演奏形態そのものが暗黙的に備えている制約下でのタイミング調節メカニズムが、テンポ高速化の一因になっていることを示しているという。
同研究グループは、「今後、ペアごと・個人ごとの速くなりやすさの差を決める要因や、生理・心理的要因との相互作用についても詳しく解明していくことで、意図した通りのテンポでの安定した演奏を実現するための効率的な練習方法や、スキルを評価するための指標の開発につながります」としている。