■産業界全体に被害拡散
中国人観光客による特需に沸いた済州道では、8日だけで旅行会社28社から11万4493人の中国人観光客の予約キャンセルがあった。7日には外国人観光客2000人を乗せた中国発のクルーズ船が天候などを理由に入港を取りやめた。釜山市は中国が15日から6月末までクルーズ船の韓国寄港を禁止したとの情報をつかみ、対策に乗り出した。釜山市を昨年訪れた外国人観光客297万人のうち94万人が中国人だったが、うちクルーズ船の乗客は70万人に達していた。
済州道のコンドミニアムでは今月に入り、中国人観光客による予約キャンセルが80%に達し、中国人観光客を受け入れる地元で最大の旅行会社「ニュー・ファチョン国際旅行社」は15日前後から営業を中断する予定だという。
韓国食品業界の輸出も非常事態だ。韓国農林畜産食品部(省に相当)が最近、食品業者12社を対象にTHAAD問題による影響を調査したところ、オリオン、セムピョ食品、ウリスル、OKF、ロッテ七星の5社から「中国政府は商品表示などを以前より厳しくチェックする貿易報復を開始したとみられる」との回答を得た。同部は3-5月に中国で開催する予定だった農産物・食品関連の見本市も無期限延期した。慶尚北道は陝西省西安市の修学旅行担当者約500人を対象とする広報説明会を来月開く予定だったが渡航を中止するとの通告を受けた。
■中国で不買運動広がる
中国・山東省のロッテ百貨店前では9日、大規模な反韓デモが初めて起きた。200-300人の中国人が参加したもので、THAAD問題をめぐる中国国内のデモでは最大規模だった。中国在住の韓国人によると、10日には韓国人が多く住む同省威海市韓楽坊でも大規模デモが予定されているという。4月末に中国・杭州市で開かれる予定だったアニメフェスティバルの主催者も同日までに、韓国館の設置と韓国企業への施設貸与を認めない方針を韓国コンテンツ振興院に通告した。タイ系流通業者のロータスは、広東省の店舗33カ所で開く予定だった韓国食品販促行事を無期限延期した。現代経済研究院のハン・ジェジン研究委員は「中国による報復は当面続く。中国進出企業は冷静に対策を立てるべきで、感情的な対応を控える必要がある」と指摘した。