THAAD：韓国ホテル業界、中国人客のキャンセル深刻化

　「THAAD配備候補地が発表された昨年以降、中国人観光客が70％近く減少した。このままだと来月以降は中国人観光客自体がいなくなりそうだ」

　京畿道水原市仁渓洞で3つ星ホテルを経営するチョ・ヨンファンさん（51）は「きょうも今月末に広東省から来る予定だった団体30人の予約をキャンセルするという連絡があった」とため息をついた。

　2010年以降、中国人観光客の増加で好況に沸いてきた首都圏一帯の小規模ホテル、モーテルは今、終末高高度防衛ミサイル（THAAD）をめぐる中国の報復で被害を受けている。中国の格安ツアー参加者は、ソウル市内で観光を楽しむが、宿泊先には比較的安い水原市仁渓洞、竜仁市新葛洞を選ぶケースが多かった。仁渓洞の宿泊施設関係者は「昨年は中国人を乗せた観光バスで渋滞が起きるほどだったが、現在は道路もがらがらだ」と話した。

　昨年6月にソウル市麻浦区の「事後免税店」（商品を購入後、空港などで税金の還付を受ける中小免税店）には「閉店」という告知が掲げられ、扉が閉まっていた。事後免税店はほぼ100％が中国人団体観光客に依存しているため、影響が大きい。付近の不動産業界関係者は「昨年からTHAAD問題で中国との対立が始まり、東橋洞、西橋洞、延南洞一帯の事後免税店を訪れる中国人団体観光客のバスがほとんど見られなくなった。事後免税店1カ所は売りに出されている」と話した。

　THAAD配備に対する中国の報復措置による被害は産業界全体に広がっている。既にホテル、免税店、航空会社など旅行関連業界には大規模な予約キャンセルによる被害が現実化しており、食品、物流などの分野も被害を受けている。地方自治体では修学旅行、文化交流などの行事が中止されている。