南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊施設部隊の撤収方針が10日、突然発表されたことに陸自隊員から「何も聞いていない」と驚きの声が上がった。
陸自幹部は「最後まで気を抜けない。任務を完遂するだけだ」と話した。
派遣先の南スーダンの首都ジュバでは昨年7月、政府軍と反政府勢力が衝突し、宿営地近くでも銃撃戦が発生。当時の部隊の日報に「戦闘で死傷者が発生」などと記載されていたことが判明し、治安情勢の悪化でPKOの参加要件を満たしていないとの指摘が出ていた。
防衛省(東京都新宿区)で勤務する陸自幹部は「(安保関連法に基づく)駆け付け警護の新任務が付与され、今春以降も派遣が延長されると思っていたので驚いた」と話す。「隊員も家族も緊張の日々でこれまで一人も犠牲者を出さずにやってきた。無事帰還してほしい」と語った。
昨年11月の駆け付け警護付与の閣議決定から約4カ月での撤収表明。防衛省のある幹部は「南スーダンPKOは続くと思っていた隊員が圧倒的に多いと思う。不測の事態が起きた場合の政治的リスクを回避するためではないか」と話した。
現在、南スーダンに11次隊を派遣している陸自第9師団(青森市)の隊員は「何も聞いていない」と言葉少な。11次隊は「駆け付け警護」の任務が付与され、約350人が南スーダンで活動している。
「安保関連法に反対するママの会@青森」の坂本麻衣子さん(34)は、「現地が危険で大変な状況なのではと心配していた。一日でも早く、無事に帰ってきてほしい」と訴えた。
次期派遣部隊の陸自第5旅団(北海道帯広市)を傘下に置く北部方面隊の隊員は「正式には何も聞いていない」と淡々と話した。
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