講義する際にタイトルを「沈没する韓国経済」と付けたりする。「自滅する韓国経済」という主題で講演することもある。聴衆の視線を引き付けるための軽薄な商売根性が全くないというわけではない。しかし、このまま行けば本当に韓国の経済は沈没するほかはないという懸念がはるかに大きい。「失った20年」で苦しんだ日本をそのままなぞっているようだという考えからだ。政治不安とリーダーシップの喪失に関しては特にそうだ。
「失った20年」の間、日本が何もしなかったわけでは決してない。むしろ経済を再生させようと随分と努力した。国債比率が200%を越えるほど財政を注ぎ込んだ。金利もゼロまで下げ、量的緩和政策も世界で初めて施行した。それでも失敗した。なぜか。非効率を取り払って新たな成長動力を創り出す構造改革ができなかったためだ。理由は何か。政治不安と虚弱なリーダーシップのためが大きかった。改革は常に誰かの苦痛を要求する。被害を受ける利害関係者が激烈に反発するのはそのためだ。それでも改革はしなければならない。しなければより多くの人の血が流れるからだ。だから強いリーダーシップと政治安定が重要だ。改革に伴う反発を勝ち抜くためだ。しかし、1990年代の日本は政治が不安定だった。与党にはリーダーシップがなかったし、野党は政権奪還にしか関心がなかった。構造改革を果敢に推進することが出来なかった理由だ。
それはちょうど今の韓国の姿だ。政治が日本そのままだ。90年代の日本のように与党にはリーダーシップが消え、野党は政権争奪にばかり関心があるようだ。政治の最も重要な機能である社会的合意機能も消えて久しい。実際、改革が重要だということは皆分かっている。公共・労働・教育・金融など寿命が終わった古い構造を改革しなくては韓国の経済に希望がないということも分かっている。それでもこの政府はもちろん歴代政府の構造改革が成功できないのはこのような政治の失敗のせいだ。
理由はまだある。韓国社会の葛藤がすでに非常に深刻な水準に達したという点だ。昨年のこの時期、大統領直属の国民大統合委員会が出した報告書が端的な例だ。公開されてはいないがメディアの報道によれば韓国社会が「怒りの社会」を越えて「怨恨の社会」へと変わりつつあると断定した。不安を越えた強迫、格差を越えた断絶、不信を越えた反感、葛藤を越えた断罪が韓国社会の姿だと定義したりもした。信頼・規範・ネットワークなどの社会的資本が韓国の経済力にそぐわずに低かったからだ。この程度の葛藤だけでも今の韓国の政治とリーダーシップでは耐えがたい。それで構造改革が遅遅として進まなかったのではないだろうか。
ところでそこに国政介入や弾劾という核爆弾級の葛藤が追加された。大統領に対する信頼、政府に対する信頼、国家に対する期待が一瞬にして崩れた。それだけではない。弾劾賛成派と反対派の衝突はますます強まっている。葛藤と対立がここまで激しくなれば構造改革は事実上不可能になる。利害関係者の反発はさらに強まり、リーダーシップははるかに弱まるためだ。その結果は何か。100%日本化だ。韓国経済が沈没すると講義する理由だ。
解決法はもちろんある。統合だ。分裂と断絶の終息だ。政治安定と強いリーダーシップを取り戻さなければならない。それでこそ韓国経済も再生する。弾劾の是非が決定される今日、政治学者は韓国政治史の一画を成す重要な日として記録するだろう。併せて韓国経済の運命も今日以降決定されるだろう。憲法裁判所の決定に承服せずに70年前の解放空間で暴力とテロが乱舞した左右対立を再演するならば韓国経済の沈没は必然なのだから。
大統領候補に最後希望をかけるのは、そのためだ。「統合が票を集める神通力を発揮できずに選挙に負けた。しかし、分裂の政治に巻きこまれずに統合のために努力したことが今回の選挙で私がおさめた最も貴重な戦利品だった。」すべての大統領候補が後日、このように話す日が来ることを願うばかりだ。蛇足ではあるが私は韓国の国民の底力を信じる。順境より逆境で強靭な生命力を発揮してきた民族性なのだ。その火種を大統領候補が「統合の政治」に必ず生かすことだろう。
キム・ヨンウク/韓国金融研究院招請研究委員
「失った20年」の間、日本が何もしなかったわけでは決してない。むしろ経済を再生させようと随分と努力した。国債比率が200%を越えるほど財政を注ぎ込んだ。金利もゼロまで下げ、量的緩和政策も世界で初めて施行した。それでも失敗した。なぜか。非効率を取り払って新たな成長動力を創り出す構造改革ができなかったためだ。理由は何か。政治不安と虚弱なリーダーシップのためが大きかった。改革は常に誰かの苦痛を要求する。被害を受ける利害関係者が激烈に反発するのはそのためだ。それでも改革はしなければならない。しなければより多くの人の血が流れるからだ。だから強いリーダーシップと政治安定が重要だ。改革に伴う反発を勝ち抜くためだ。しかし、1990年代の日本は政治が不安定だった。与党にはリーダーシップがなかったし、野党は政権奪還にしか関心がなかった。構造改革を果敢に推進することが出来なかった理由だ。
それはちょうど今の韓国の姿だ。政治が日本そのままだ。90年代の日本のように与党にはリーダーシップが消え、野党は政権争奪にばかり関心があるようだ。政治の最も重要な機能である社会的合意機能も消えて久しい。実際、改革が重要だということは皆分かっている。公共・労働・教育・金融など寿命が終わった古い構造を改革しなくては韓国の経済に希望がないということも分かっている。それでもこの政府はもちろん歴代政府の構造改革が成功できないのはこのような政治の失敗のせいだ。
理由はまだある。韓国社会の葛藤がすでに非常に深刻な水準に達したという点だ。昨年のこの時期、大統領直属の国民大統合委員会が出した報告書が端的な例だ。公開されてはいないがメディアの報道によれば韓国社会が「怒りの社会」を越えて「怨恨の社会」へと変わりつつあると断定した。不安を越えた強迫、格差を越えた断絶、不信を越えた反感、葛藤を越えた断罪が韓国社会の姿だと定義したりもした。信頼・規範・ネットワークなどの社会的資本が韓国の経済力にそぐわずに低かったからだ。この程度の葛藤だけでも今の韓国の政治とリーダーシップでは耐えがたい。それで構造改革が遅遅として進まなかったのではないだろうか。
ところでそこに国政介入や弾劾という核爆弾級の葛藤が追加された。大統領に対する信頼、政府に対する信頼、国家に対する期待が一瞬にして崩れた。それだけではない。弾劾賛成派と反対派の衝突はますます強まっている。葛藤と対立がここまで激しくなれば構造改革は事実上不可能になる。利害関係者の反発はさらに強まり、リーダーシップははるかに弱まるためだ。その結果は何か。100%日本化だ。韓国経済が沈没すると講義する理由だ。
解決法はもちろんある。統合だ。分裂と断絶の終息だ。政治安定と強いリーダーシップを取り戻さなければならない。それでこそ韓国経済も再生する。弾劾の是非が決定される今日、政治学者は韓国政治史の一画を成す重要な日として記録するだろう。併せて韓国経済の運命も今日以降決定されるだろう。憲法裁判所の決定に承服せずに70年前の解放空間で暴力とテロが乱舞した左右対立を再演するならば韓国経済の沈没は必然なのだから。
大統領候補に最後希望をかけるのは、そのためだ。「統合が票を集める神通力を発揮できずに選挙に負けた。しかし、分裂の政治に巻きこまれずに統合のために努力したことが今回の選挙で私がおさめた最も貴重な戦利品だった。」すべての大統領候補が後日、このように話す日が来ることを願うばかりだ。蛇足ではあるが私は韓国の国民の底力を信じる。順境より逆境で強靭な生命力を発揮してきた民族性なのだ。その火種を大統領候補が「統合の政治」に必ず生かすことだろう。
キム・ヨンウク/韓国金融研究院招請研究委員