知人女性殺害や同級生への劇物投与事件で、殺人や殺人未遂の罪に問われた名古屋大の元女子学生(21)の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、名古屋地裁(山田耕司裁判長)で開かれた。検察側は「更生は極めて困難で、生涯にわたって償うのが相当」として無期懲役を求刑した。弁護側は「責任能力は認められない」として無罪を主張し、結審した。判決は24日に言い渡される。
検察側は論告で「犯行の計画性は明らかで、自己中心的で身勝手な動機に基づいて行われた」と指摘。最大の争点の責任能力に関しては「(精神面の)障害は重度とはいえず、犯行に与えた影響は少ない」とし、完全責任能力があると主張した。
弁護側は弁論で、元女子学生を検察官送致(逆送)とした家庭裁判所の決定は違法だとして改めて公訴棄却を求めた。そのうえで「重複した複雑で重篤な障害の影響の下、異常な精神状態で犯行が行われたことは明らか」と強調。事件当時、責任能力はなかったとして無罪を訴えた。
元女子学生は最終陳述で「反省や謝罪、償いを忘れずに、人の力を借りながら一生をかけて考えていきたい」と話した。