米入国禁止令の差し止め請求 NYなど6州に拡大
- 2017年03月10日
ドナルド・トランプ米大統領が今週署名したイスラム圏6カ国を対象にする入国禁止令をめぐり、ニューヨーク州など3州が9日、執行差し止めを申し立てる考えを表明した。大統領令に対する差し止め請求はこれで6州に広がった。
トランプ大統領は今年1月にも、イスラム圏7カ国の人々に対する入国禁止令に署名したが、ワシントン州とミネソタ州の訴えを受けて連邦地裁が執行差し止めを決め、連邦控訴裁も決定を支持していた。
ハワイ州は8日に新たな大統領令の差し止めをホノルル連邦地裁に申し立てた。当初の大統領令に対する差し止めをミネソタ州と共に申し立てたワシントン州も9日、今回も差し止めが適用されるよう求めると発表しており、今回、ニューヨーク、オレゴン、マサチューセッツの3州が原告に加わると表明した。
ワシントン州は州の利益が損なわれると主張しており、ニューヨーク州は大統領令がイスラム教徒を標的にしていると批判している。
ホワイトハウスは今月16日に実施される新たな大統領令について、裁判に勝つ「自信が非常にある」と述べている。
当初の大統領令を修正した今回の入国禁止令では、ソマリア、イラン、シリア、スーダン、リビア、イエメンの6カ国の人々が対象で、当初のイラクが外されている。大統領令はさらに、難民の受け入れを一時的に停止するとしている。
1月の大統領令の際には、大規模な抗議デモが開かれ、各地の空港で混乱が生じた。
今回の大統領令をめぐっても、イスラム教徒を差別的に扱っていると批判する声が上がった。
ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は、「トランプ大統領の最新の大統領令は、名を変えたイスラム教徒に対する入国禁止令であり、合衆国憲法の平等保護条項や修正第1条に再び違反する政策や命令を押し付けている」と述べた。
一連の訴訟の口火を切ったワシントン州のボブ・ファーガソン司法長官は、2月の差し止め決定が今回の入国禁止令にも適用されるよう連邦判事らに求めると語った。「大統領が一方的に裁判所の差し止め命令に従う必要がないと宣言することはできないと、我々は主張する」。
米国内で大統領令を批判する声が相次いでいるもの、トランプ氏の支持者らは、米国人を守るという昨年の大統領選の公約をトランプ氏が果たそうとしている、と考えている。
新大統領令は前回とどう違うのか
1月の大統領令で入国禁止の対象とされた国からイラクが外されている。ホワイトハウスは、査証(ビザ)審査の厳格化と、イラク政府との情報交換を密にすることを理由に挙げた。
新大統領令では、国務省がすでに許可した難民は受け入れるとしている。すべてのシリア難民の受け入れを無期限で停止するとした前回の項目はなくなった。
対象国の国民であっても、グリーンカード(永住権)の保有者は影響を受けない。
新大統領令には、前回のような宗教的少数派を優先するとした項目はない。政権を批判する人々は、キリスト教徒を不法に優先する政策だと指摘していた。