ドイツでは、警察官が犬などを射殺する数は年間11,901頭~10年間で2倍に激増した要因



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(Zusammenfassung)
POL-WES: Moers - Polizeibeamte erschossen Hund nach Verkehrsunfall
Gefährlich, krank oder verletztPolizei erschießt 30 Tiere wie hunde pro Tag.
Die Polizei in Deutschland hat im vergangenen Jahr (2015) in 11901 Fällen Tiere erschossen.
Situationen mussten die Beamten mit ihren Waffen Tiere wie hunde töten.


 前回記事、ドイツでは、警察官が犬などを射殺する数は年間11,901頭。その数は人口比で日本の犬の公的殺処分数より多い、では、ドイツでは警察官が犬などを射殺する数は、年間約1万2,000頭であることを書きした。その数は一貫して増加傾向であり、10年前に比べて約2倍に激増しています。その要因について、私の分析を述べます。


 (画像)

 前回記事でも引用しましたが、過去10年間のドイツにおける、警察官の犬などの射殺件数の推移です。出典は、Statistiken zum polizeilichen Schusswaffengebrauch in Deutschland 「ドイツの警察官の銃の発射についての統計(ドイツ連邦政府 連邦警察統計)」(2016年)です。

ドイツ 警察官による犬などの射殺数 (640x258)


 ドイツにおける、警察官が犬などを射殺する数の推移ですが、一貫して増えています。増え方で特徴的なのは、2007年と2012年に射殺数が激増していることです。
 この2007年と2012年の犬などの射殺数の増加の要因ですが、まず2007年は、シェンゲン圏が一気に拡大した年です。シェンゲン圏とは、「シェンゲン協定が適用されるヨーロッパの26の国の領域。シェンゲン圏では渡航者が圏内に入域、または圏外へ出域する場合には国境検査を受けるが、圏内で国境を越えるさいには検査を受けない」です。シェンゲン圏内の異国間の移動は国境検査がなく、出入国が自由です。2007年には、東ヨーロッパの国々の多くが加入しました。

 東ヨーロッパの、新たにシェンゲン圏に加入した、ポーランド、ハンガリー、スロベニアなどは、西ヨーロッパより物価が安いのです。そのために例えば物価が高いドイツやスイスなどの西ヨーロッパ先進国の消費者向けに、これらの国々の農民などは、ペット用犬の生産を始めました。ドイツ国境付近の高速道路のサービスエリアで露天市を開き、極端な場合、50ユーロ程度で純血種の仔犬を販売し始めたのです。
 比較的犬の繁殖に対して厳しい規制があるドイツは、国内の良質なブリーダーが販売する犬は大変高価でした。2007年に東ヨーロッパの国がシェンゲン圏に加入する前までは、ラブラドール・リトリバーの仔犬が1頭1,500ユーロ~2000ユーロ程度の価格でした。東ヨーロッパの露天市などで売られる子犬は、ドイツのブリーダーが生産する仔犬より大変安いので、国境移動が自由化されたこともあり、ドイツの消費者は大量にそれらの仔犬を買い求めました。事実、近年は、ドイツの犬の飼育数が激増しています(長らくドイツの犬の飼育数は500万頭台でしたが、直近の推計では700万頭台です)。

 極めて安価な仔犬が入手できるようになったことにより、安易に仔犬を買う人がドイツでは増えたと思われます。それが不適正飼育者の増加を招き、不要になった犬を安易に捨てる数が増えたと推測できます。またドイツ国境付近で犬の露天市を開いたポーランド人が、売れ残りの犬をそのまま捨てるということもあるでしょう。それが野良犬となってドイツ国内に流入することもありうると思います。
 つまり、シェンゲン圏の東ヨーロッパ諸国の加入、ドイツとポーランドなどの東ヨーロッパ諸国との国境間移動が自由になった→超安価な犬を東ヨーロッパ人がドイツ人に販売する→ドイツ人が安易に安価な犬を飼い、持て余して捨てる。もしくは東ヨーロッパの犬の露天商が売れ残り犬をドイツ国境付近に捨てる→ドイツ国内で野良犬が増加する、という図式が成り立ちます。それらの野良犬の行き場がなくなって、警察官がやむを得ず射殺するということにつながったのではないでしょうか。

 それと2012年にも、ドイツ国内における警察官の犬などの射殺数が激増しています。2012年は、ドイツ国内の世界最大の生体販売ペットショップが犬の生体販売を大々的に始めた年です。その後、ドイツのペットショップは、一時期自主規制で犬の生体販売を自粛していたのですが、再び販売を始めることころが増えてきました。
 ドイツのペットショップが犬の生体販売を再開したことと、それ以前から東ヨーロッパにおける仔犬の激安販売により、ますますドイツ国内における犬の供給が増えました。それは犬の飼育放棄数の増大要因です。さらにティアハイムは、ペットショップの犬の販売再開と、安価な東欧産の純血種の子犬との競合で売上不振に陥りました。2012年頃からドイツのティアハイムの経営不振は深刻化し、廃業~倒産も増加しています。また、ティアハイムの犬の販売不振~在庫増で、飼育放棄された犬、捨て犬の引取りができなくなっているのです。そのために、ティアハイムが引き取り拒否をした犬の生き場がなくなって浮遊犬となり、やむを得ず警察官に射殺されるケースが増えたのではないかと思います。

 次回記事では、「ティアハイムが引き取りを拒否した犬の行き場がなくなって浮遊犬となり、やむを得ず警察官に射殺させるケースが増えた」ことを裏付けるニュースソースを紹介します。ドイツでは、かなりの数の犬などのペットが捨てられて問題になっています。(続く)。
(参考記事)

海外(ドイツ) 生体販売

ポーランド

海外(ドイツ) ティアハイム



 
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No title

引用されています表の Häufigkeiten von polizeilichem Schusswaffengebrauch  警察の発砲の頻度の表は発砲数であって射殺数とは違うような気がします。対人については内訳が威嚇やダイレクトに人に向けた場合に別れているし発砲数ではないですか。(11901頭ではなくて11901発)
http://schusswaffeneinsatz.de/Statistiken_files/Statistiken.pdf

Re: No title

ー様、コメントありがとうございます。

> 引用されています表の Häufigkeiten von polizeilichem Schusswaffengebrauch  。
対人については内訳が威嚇やダイレクトに人に向けた場合に別れているし発砲数ではないですか。(11901頭ではなくて11901発)

ご指摘のとおり、対人での発砲は威嚇やダイレクトに発砲したことをわけて統計しています。
しかし動物では、わけて統計していません。
それはすなわち、ほぼ全てのケースでダイレクトに動物に向けては発砲~射殺しているからであると私は理解します。
対人であれば、人名尊重の観点からまず威嚇発砲から抑止しようろするでしょう。
また人は銃器の威力をわかっています。
動物の場合は威嚇発砲はそれほど効果はないと思いますし、人と異なり射殺しても警察官の法的責任で問題になるリスクは低いです。
民法90条aで「動物は特別法(警察法など)の定めがあればモノ(所有権が及ぶもの)ではない」という規定もありますし。
警察法でも、動物による危険を回避することが警察官の職務と定めています。
まれに動物に対しても威嚇のみの発砲があるかもしれませんが、動物に関してわけて統計をとっていないことはすなわち、ほぼ全てが直接発砲したものとの証左であると私は理解しています。
私は以上のように理解しています。
疑問ならば、直接ドイツ連邦警察の広報にお尋ねになられたら良いと思います。
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Author:さんかくたまご
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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