こんにちは~うさぎです。
今回は花粉症などのアレルギーが完治すると評判の舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)の話。
私、ナースうさぎが勤める病院の耳鼻科には花粉症の患者さんがおおぜい来ます。一部、スギ花粉症の舌下免疫療法をしている患者さんがいます。
私のだんなも薬剤師として舌下免疫療法のお薬相談をしているので、今回は花粉症の新治療「舌下免疫療法」の質問回答集として、薬剤師・看護師夫婦の共同作業で記事を書きたいと思います。
ひとつの質問に対し、回答は結構シンプルな感じにしてます。今回のQ&Aを見ていくうちに舌下免疫療法の全体像がご理解できるような、そんな使い方をしていただけたらと思います。
それではレッツスタート!!
アレルギーを完治させる「舌下免疫療法」について
舌下免疫療法とは?
⇒花粉やダニなどのアレルギー物質を、少量ずつ長期間にわたり体内に入れ、アレルギー体質を治す治療法。
どうやって薬を使うの?
⇒スギ花粉症を治すなら、スギ花粉エキスを口の中(舌下)に入れ、2分間保持、その後飲み込む。
舌下とは?
⇒舌のウラ側の空間。
何歳から治療できる?
⇒12歳から。近いうちに5歳から始められる許可がおりると思われる。
高齢者は治療できる?
⇒65歳以上の方の使用経験・データがない。
スギ花粉症用の舌下免疫療法の薬は?
⇒現在では「シダトレン」という薬のみ販売されている。
舌下免疫療法で、どんなアレルギーが治せる?
⇒現在はスギ花粉症用(シダトレン)、ダニの鼻炎用(アシテア・ミティキュア)のみ販売されている。今後も増えていく予定。
※シダトレン(スギ花粉症用)
※アシテア(ダニアレルギー用)
※ミティキュア(ダニアレルギー用)
舌下免疫療法で、今後どんなアレルギーの薬が出る?(海外で販売、研究段階も含む)
⇒ハウスダストアレルギー、ブタクサ花粉アレルギー、イネの花粉アレルギー、芝生の花粉アレルギー、猫や犬アレルギー、ラテックス(ゴム)アレルギー、蜂や蛾などの昆虫アレルギー
舌下免疫療法で、アレルギーが治るしくみは?
⇒効果発現メカニズムは十分に解明されていない。舌下から吸収されたアレルゲン(例えばスギ花粉)が、口腔粘膜下の樹状細胞にくっついて、免疫反応が引き起こされると考えられている。
※樹状細胞のイラスト
舌下免疫療法はどのくらい続ける必要がある?
⇒毎日服用を、最低2年間。多くは3年~5年使用する。
舌下免疫療法はどこの病院でも受けれる?
⇒薬の処方はどこでもできるわけではない。メーカーの認定講習・テストを受けた医師しか処方できない。事前に問い合わせて確認を。
舌下免疫療法の副作用は?
⇒口内の腫れ、かゆみ。口内炎。のどのかゆみ。耳のかゆみ。
上記の副作用の頻度は?
⇒50人に1人程度。
舌下免疫療法で副作用が出たらどうしたら良い?
⇒医師または薬剤師に相談する。上記の副作用であれば重症化することはまれで、薬を続けていくうちに次第に治まる傾向にある。
舌下免疫療法の重大な副作用は?
⇒アナフィラキシーショック。症状としては、意識を失う・血圧低下・呼吸困難・じんましんなどの皮膚症状・目がよく見えない・胃痛・吐き気などの消化器症状
アナフィラキシーショックが起きた時の対処は?
⇒ただちに救急車を要請するなど、迅速な対応が必要。
舌下免疫療法を受けられない人は?(要注意の人も含む)
⇒アレルギー検査が陰性の人、重症の喘息の人、抗がん剤・ステロイドを使っている方、治療開始時に妊娠・授乳してる人、一部の血圧の薬を飲んでいる人(β遮断薬)、口内炎・歯科治療中の人
↓続いて、スギ花粉症用の舌下免疫療法薬「シダトレン」について ↓
スギ花粉症用の舌下免疫療法薬「シダトレン」について
スギ花粉治療薬シダトレンで治療を行うメリットは?
⇒鼻症状の改善、目の症状の改善、アレルギー薬を減らせる、生活の質が上がる(勉強に集中できるなど)
シダトレンはどのように使う?
⇒スギ花粉エキスが含まれた無色透明な液体を舌の下に2分間含み、その後飲み込む。
シダトレンの開始方法は?
⇒最初、スギ花粉エキスの入ったプッシュ式の薬で開始する。1日目は1プッシュ、2日目は2プッシュといったように増量していく。2週間続けたのち、維持量の1回使い切りの薬に変更される。それを3年間続ける。
※プッシュ式2種
※維持期の1回使い切り
シダトレンの味は?
⇒少し甘くてしょっぱい。もしくは少し酸味を感じる人もいる。
シダトレンの中には何が入っている?
⇒スギ花粉(の抗原物質)、生理食塩水、グリセリン
シダトレンの服用後すぐにできないことは?
⇒服用後5分間はうがい・飲食・歯磨きなどをしないこと。
シダトレン服用後の注意点は?
⇒服用後2時間は激しい運動、飲酒、入浴を避けること。
シダトレンの保管方法は?
⇒基本は冷蔵庫に保管。(冷凍庫に入れても凍らないらしい)
シダトレンはいつから開始できる?
⇒安全性の問題からスギ花粉が飛んでいる時期に舌下免疫療法は開始できない。おおむね1月から5月は治療を開始できない。6月から12月の間に開始できる。
シダトレンを使用するのを忘れた時は?
⇒同日中なら気づいた時に使う。翌日気づいた時はその日の分だけを使用する(2回分を1回で使用しないこと)。
シダトレンはドラッグストアなどで買える?
⇒買えない。病院を受診し、医師の処方せんが必要。
シダトレンの効果は?
⇒80%の人が花粉症が軽くなる、もしくは花粉症が出なくなる。
シダトレンを使用すれば花粉症は完治する?
⇒完治する人は20%未満とされる。
シダトレンはスギ花粉症にしか効果がない?
⇒スギ花粉とヒノキ花粉は、大きさ・形が似ているため、スギ花粉症用シダトレンは、ヒノキ花粉症にも効果があるなどの報告もあるが、今のところ十分なデータはない。
シダトレンを開始してどのくらいで効果が出る?
⇒シダトレン開始後、約3か月で効果が出るとされる。シダトレンを花粉のシーズンオフに始め、最初のスギ花粉シーズンで効果が出る人も多い。
シダトレンを使用中は、アレルギーの薬などは使えない?
⇒一部の薬(内服ステロイドなど)を除き、アレルギー用の内服薬、目薬、点鼻薬などはすべて使える。
シダトレンは1年中使う?
⇒1年中。スギ花粉が飛んでいない時も。1日1回、毎日使用する。
シダトレンを風邪などを理由に一時中断した場合は?
⇒ 体調が回復してから再度継続できる。
シダトレンを長期間(1年とか)中断した場合は?
⇒初めから(少量ずつ服用)開始するか、中断前の維持量を再開するか、担当医師の判断に任せられている。
シダトレンの重大な副作用、アナフィラキシーショックの頻度は?
⇒ほとんどないと言える。日本での発売前の臨床検査(人を使った試験)ではゼロ。海外では数例しかない。死亡例はゼロ。
シダトレンで花粉症を治すのにかかる費用は?
⇒診察代と薬局の薬代を合わせ月2000~2500円程度。年間5~6万円。
シダトレンにジェネリック(後発医薬品)はある?
⇒現在は出ていない。
いかがでしたでしょうか?うちは長女が花粉症で辛そうなので試してみたいのですが、ネックは長期間使用(3年以上)ということ。3年って学生にとっては長くて、部活や受験や遠方への引っ越しなどあるかもしれませんよね。なかなか手を出しにくいものです。
ただ、やはり効果の実感はあります。うさぎの病院に来るケーキ屋のご主人は、シダトレンを始めて花粉症が一切出なくなりました。当然、花粉が飛んでるのも全く気づかなくて、テレビの気象情報で初めて花粉の飛散を知るとか。この世の奇跡!と彼女は言ってます(笑)
今回ご紹介した舌下免疫療法は、今後様々なアレルギーを完治させる薬が出てくると思います。一番良いのはすでに舌下免疫療法を実践している方にお話を聞くことだと思います。おもわぬメリットデメリットがあるかもしれません。私も機会があれば(お金もね。。)舌下免疫療法にチャレンジしたいと思います。
ではまた次回!