4月7日公開のアニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」の完成披露上映会が3月9日、東京の「TOHO シネマズ六本木」で開催されました。上映会後には舞台あいさつも行われ、星野源さん(先輩役)、花澤香菜さん(黒髪の乙女役)、神谷浩史さん(学園祭事務局長役)、ロバートの秋山竜次さん(パンツ総番長役)、監督を務めた湯浅政明さんが登壇しました。
「夜は短し歩けよ乙女」は、森見登美彦さんが2006年に発表した小説を原作とした作品。京都を舞台に、物語の語り手であり偏屈大学生の「先輩(私)」と、先輩が恋してやまない天然系女子大生「黒髪の乙女」が摩訶不思議な出来事に巻き込まれていく恋物語です。
今回の映画でアニメ声優単独初主演を果たした星野さん。昨年10月ごろに湯浅監督から台本とともに直筆の手紙が送られてきたそうですが、「現場は(星野さんをキャスティングできるかもということで)こんなに盛り上がっているんだけど、星野さんがやれば面白くなるんだけど」という、星野さんいわく「脅迫文」めいた内容だったとのこと。星野さんは湯浅監督の初監督作品である「マインド・ゲーム」を見て感銘を受けて以来、湯浅作品を追いかけていたこともあり、先輩役を快諾したといいます。
この日の舞台あいさつに星野さんは、自身が演じた「先輩」をイメージしたメガネを掛けて登壇。「これは、なんとなくそうしたほうがいいかなと思いまして……」と、なぜか控えめな声量で説明していましたが、作品を見たばかりの会場の観客には最高のプレゼントになったようで、皆一様にキラキラした目で舞台に注目していました。
今回のアフレコは、1人ずつ録音していくという手法が取られたとのこと。そんな掛け合いもできない難易度の高い環境でトップバッターを飾ったのは、黒髪の乙女を演じた花澤さん。大学時代に原作を読んでいたこともあり、選ばれたときはとてもうれしかったと話す花澤さんですが、作品のファンがそれぞれに想像する理想の乙女像を演じるのには苦労したようです。最初は天然でふわふわした感じで演技していたようですが、「武士道をたたき込まれた女の子だから、もう少し武士で」との演技指導が入り、最終的には落ち着いたキャラクターになっていったのだとか。
学園祭事務局長という、作中では女装シーンも描かれる難しいキャラクターを演じた神谷さんは、2010年に放送されたアニメ「四畳半神話大系」のオーディションに応募していたというエピソードを披露。しかし、最終的に主役に選ばれたのは声優の浅沼晋太郎さん。当時を振り返りながら冗談めかして「僕は(落とされたことを)すごくうらんでますからね」と湯浅監督に詰め寄った神谷さんですが、オンエアーを見た後で独特の早口言葉は自分には無理だと悟ったらしく「これ俺できないや、落ちてよかった」と納得。それからは湯浅作品に出演する機会を伺っていたらしく、今回のキャスティングについて「本当にうれしかったです」と喜びを口にしていました。
個性豊かなキャストの中でも、ひときわ異彩を放っているのがお笑いトリオ「ロバート」の秋山さん。当日も登場シーンから観客の笑いを誘い、最初のあいさつでもやたらと拍手を求めたりとやりたい放題。舞台を盛り上げるムードメーカーを務めていました。そんな秋山さんが演じたのは、これまた一癖も二癖もあるパンツ総番長なるキャラクター。秋山さんですら最初は「なんだこれは」と驚いたようですが、「でもパンツが好きだったので、あ、パンツに関われるんだ。もともとパンツなしでは生きていけないというか、ものすごく好きだったので、あー、監督は分かってくれてるんだなと」と、独自の解釈を展開していました。パンツ愛が深すぎる。
また秋山さんは、願いがかなうまでパンツを履き替えないというパンツ総番長に対抗して、ヒット祈願のために4日くらいパンツを履き替えていないと発言。会場がざわつく中、「あと負けないように歯も磨かずにきました」とさらなる爆弾を投下し、隣にいた花澤さんが「え、でもいい匂いがしますけれど!」と沈没寸前の助け船を出す事態に。最後は神谷さんが「ちょっとなに言ってるか分からない!」と鋭い突っ込みを入れて事なき(?)を得ました。
舞台あいさつでは、いつもの下ネタ全開な“星野節”がさく裂する一幕も。MCから印象的な場面を聞かれた星野さんは、個人的にぐっときた場面として、先輩が古本市の神様から股間にアイスクリームを付けられるシーンをチョイス。「アイスが落ちてコーンからクリームが出て、その後に乙女がラムネを飲むシーンが出てくるんですよ! あの絵コンテを描いた人は相当のスケベだと思います」と、この日一番のテンションで熱弁しました。その後は、花澤さんから「ちょっと視点がマニアックすぎません!?」と釘を刺されることに。ラジオではなく、大勢のしかも女性の観客が多数を占める前でこのトーク。星野さん、さすがです。
さらに、MCから印象的だったキャラクターを聞かれた星野さんは神谷さんが演じた学園祭事務局長と回答。本来、女性になりきって歌うミュージカルシーンは音声を女性の声っぽく加工する予定だったそうなのですが、加工がうまくいかず、結果的に女性っぽく歌った音声が採用されることに。登壇者も満場一致で神谷さんの女性声を褒めたたえており、ファン必見のシーンと言えそうです。早く見たい。
笑いの絶えない舞台あいさつとなりましたが、その中でも特に笑いを誘ったのが印象的だったシーンを聞かれた秋山さんの「もう全部ですね。ポストカードのような、どこを切り取っても家に持って帰りたいシーンの連続」というコメント。「ここください、ここもください、ここ壁に貼りたいって、ずっと言ってましたよ」と、1人スタジオで言っていた、ウソかホントか分からないエピソードを披露すると、ツボに入った花澤さんが後ろを向いて肩を震わせる事態に。星野さんも気に入ったのか最後のあいさつで、「『ひとコマごとにポストカードにしたい作品』というのをハッシュタグにして広めてください」と呼びかけていました。
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