スコットランドの英国からの独立を問う2度目の住民投票は、ほぼ不可避とみられる。メイ政権の閣僚らはこれについて、投票実施の是非ではなく、いつ行うかの問題に煮詰まっているとの結論に至っている。
メイ英政権の周辺からは、スタージョン・スコットランド行政府首相は2018年の後半の住民投票実施を狙っており、英国政府はそれを英国の欧州連合(EU)離脱後にまでなんとか引き延ばそうとしているとの声が聞こえる。
英政府には投票の法的権限を差し止める選択肢もあるが、それよりも実施の時期を重視しているようだ。
この議論に詳しいある閣僚は「(住民投票は)避けられない状況だ。実施を阻止できる状況ではない」と語った。メイ政権の見解を十分に把握している別の人物も「争点は実施日だけだ」と述べた。
だが、英政府スコットランド省周辺の一人は、住民投票は不可避との見方を否定し、スタージョン氏が住民投票の実施を推し進めない決定をする可能性もあると語った。
英国からの独立の是非を問う住民投票は、英国のEU離脱への道を複雑にし、英国とEU間の離脱交渉の新たな火種となりかねない。調査会社イプソス・モリが9日に発表した調査によると、スコットランドでの独立への賛否は五分五分に割れている。以前の世論調査ではユニオニスト(連合主義者)が明らかに多数派で、14年の住民投票では独立反対派が55%で賛成派の45%を上回った。
■英、EU離脱後まで住民投票遅らせるもくろみ
この議論に詳しい人物によると、英政府は、EU離脱が完了する予定の19年5月以降に住民投票を遅らせようともくろんでいる。
これとは対照的に、スコットランド自治政府で政権を握るスコットランド民族党(SNP)は、EUの独立メンバーになるのが比較的容易と考えられる18年8月か9月に投票の実施を求めるとみられている。
スタージョン氏は9日に放送された英BBCの番組で、18年の秋が「誰もが適切と考える」投票の時期だと述べたが、まだ何も決まっていないとも強調した。
18年後半は「一世代に一度」と言われた前回の住民投票からちょうど4年後にあたる。また、メイ政権によるEUとの緊迫した交渉が大詰めを迎えるころでもある。英政府は、移民問題と離脱にともなうEU予算の拠出について、十分に有利な条件を勝ち取ったとEU離脱派に強くアピールし、納得を得ようとするだろう。
メイ政権に近い人物は「スコットランドの民族主義者はメイ政権が(離脱交渉とスコットランドの住民投票阻止の)二正面作戦はとれないとの考えだ」とした上で(民族主義者らが考えている)背景として「英タブロイド紙デイリーメールを(英政府が)懐柔」したからだとも述べた。