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【社会】

空襲被害に補償を 「戦争は大人が起こし子どもが傷つく」

全国空襲連の集会で自身の体験などを話す(右から)内田道子さん、安野輝子さんら=9日、東京・永田町で

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 全国空襲被害者連絡協議会(空襲連)が九日、衆議院第二議員会館で院内集会を開いた。空襲で負傷しながら、軍人軍属のような援護制度がない戦災傷害者に対し、救済法制定を目指す動きが超党派の国会議員の間で加速している。被災者らは「私たちの被害に謝罪と補償を」と声を振り絞った。

 六歳のとき鹿児島県の空襲で左脚を失った安野(あんの)輝子さん(77)は「トカゲのしっぽのように足もはえると思っていた」と目頭を押さえた。「戦争は大人が起こして子どもが傷つきます。子や孫を同じ目に遭わせたくない」と訴えた。一九四五年五月の山手空襲で腰に大けがをした内田道子さん(84)は「被害者の支援が実現されるよう力を貸してください」と呼び掛けた。

 東京大空襲で家族四人を亡くした後、一九四五年八月の空襲で右腕を失った豊村美恵子さん(90)はインフルエンザで出席できず、「生涯苦難に耐えてきました。余命少なくなり、生存最後の願いです」というメッセージを寄せた。

 救済法制定を目指す超党派の国会議員連盟の河村建夫会長は「空襲の被害は広範にわたるため、少し絞り込み、障害が残っている方を中心に今、考え方をまとめている。被害者は高齢で、急がなければならない」と述べた。

 救済法については、空襲連の弁護士らが、障害者への一時金と被害の実態調査を柱とする特措法案を提案。空襲議連は名古屋市や欧州の補償制度を調査し、今国会提出を目指して内容を検討している。 (橋本誠)

 

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