学校法人「森友学園」(大阪市)が4月開校を目指す小学校を巡り、大阪府が9日に実施した現地調査。立ち会った籠池泰典理事長は報道陣に持論を展開する半面、校舎建築費の疑惑に関する詳しい説明はなかった。小学校認可の前提となる現地調査は「理事長の妻が妨害」(府の担当者)し、わずか20分で打ち切りに。不認可が決定的となった。
「この学校を開設させてほしい。それだけです」。現地に到着した籠池氏は報道陣に声を張り上げた。「国のため、社会のためにいい人材を育てようとするのを阻止する人がいる」とも述べ、国会などでの疑惑の追及に不満をあらわにした。
現地調査の終了後、改めて取材に応じた籠池氏は「府の担当者は(校舎の)中を見ずに帰った。書類は原本ではないとの理由で中身を見てくれなかった。なんなんですか」と不満を爆発させた。
校舎建築費が府や国などへの報告で食い違うことに関しては、正しいのは府に報告した「7億5千万円だ」と説明。ただ、根拠を問われると「その件は、また府庁の方に中身を確認してもらう」と歯切れが悪くなった。
一方、府私学課の担当者は現地調査後に記者会見し、「理事長の妻の妨害で正常な調査ができなかった」と憤った。
担当者によると、調査の開始直後は府職員5人に籠池氏が1人で応対していたが、途中から妻が姿を現した。妻は職員を指さしながら「(マスコミに)情報流出したのはあなたでしょ」と話し、携帯電話で職員の顔を撮り始めた。籠池氏は「やめとけ」と制止したが、撮影を続けたため調査を打ち切った。
過去に府側が夫妻と面会した際には、妻が無断で撮影した職員の写真がインターネット上に掲載されたという。府は9日、妻が同席する場合には現地調査しないとの通知を学園側に送った。