辞表提出 「長靴業界もうかった」引責
務台俊介内閣府政務官(60)は9日、台風被災地視察に関連して「長靴業界は、だいぶもうかったんじゃないか」と発言した責任を取り、松本純防災担当相に辞表を提出した。10日の閣議で辞任を決めるとみられる。政府は後任に自民党の長坂康正衆院議員(59)を起用する調整に入った。
務台氏は昨年9月に岩手県を視察した際、長靴を持参せず職員に背負われて水たまりを渡り、批判された。これについて、8日夜に東京都内で開いた自身の政治資金パーティーで「政府が持つ長靴が整備されたと聞いている」などと述べた。
菅義偉官房長官は9日の記者会見で、務台氏を厳重注意したことを明らかにし、「極めて不適切な発言だ。真に反省しているのか疑われかねない」と強く批判した。務台氏は辞表提出に先立ち、「自虐的な形で、自分をさげすむような言い方の裏返しとして引用した。深く反省している」と記者団に語った。
当初は「辞任するほどの話ではない」(首相官邸関係者)という見方があったが、公明党の漆原良夫中央幹事会会長が9日の会見で「(おんぶという)国民におわびしなければならないことを、笑いのネタにするやり方は許せない」と述べるなど、与党内でも務台氏への批判が強まっていた。
務台、長坂両氏はともに自民党麻生派に所属している。【飼手勇介、田中裕之】