人生は日々選択を迫られる。例えば今日着る服や食べる物など個人的なことから、友人の誘いや愛の告白、組織内に所属しているのなら様々な業務にかかわることなどなど。
あまり考える時間がないのに決断を下した場合などは、本当にこれでよかったのかと悩む場合もあるだろう。
だが、数日前に決めたことなのに、いつまでもそれでよかったのかとクヨクヨしてしまう、いつまでもそれをひきずってしまう。
単なる優柔不断と切り捨ててしまうのは簡単だが、そこにはこんな現象がかくれている。FOBO(Fear of a Better Option)は、自分が良い選択をしなかったことを過剰なまでに恐れることを言う。
最新の研究によれば、完璧な選択を過度に求めような人に一般的な現象で、こうなると選ばなかった選択肢についていつまでも気に病むようになる。
FOBOは不満や後悔を抱かせる。そして決断の結果ではなく、決断のプロセス自体が健康や幸福感に悪影響を与えるようになる。
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研究で分かったFOBOになりやすい追求者のタイプ
『パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー・ブルティン(Personality and Social Psychology Bulletin)』に掲載された論文では、カナダ、ウォータールー大学の研究チームが一連の実験を実施し、”追求者”のタイプを調査した。
ここで言う追求者とは、意思決定の際、絶対的に最高の選択肢を見つけるために広範な調査を行う人だ。
そうした人は、お昼を注文するためにメニューを3回読み返したり、旅行先を決めるために世界中のあらゆる旅先を検討するかもしれない。
損か得かを追求するタイプは比較的安全
追求者の1タイプが、”プロモーション重視”タイプだ。このタイプは、経済的・社会的なことなど、最大の利得が得られる選択を求める。実験では、このタイプの人はかなり決断が速く、その選択に満足し、後悔することも少ないことが明らかになっている。
人にどう見られるかを追求するタイプはFOBOになりやすい
また別のタイプが”評価重視”タイプだ。選択肢を吟味し、他人ならどうするだろうか、友達にどう見えるだろうかといった様々な要素を考慮する。このタイプは選択肢を何度も何度も検討し、すでに捨てたはずの選択肢も反芻する。
「このタイプの人の思考は、『正しいことが分かるまで何もしたくない』です」と筆頭著者のジェフ・ヒューズ(Jeff Hughes)博士は話す。「役に立つときもありますが、いつまでも評価を繰り返して、決断できない状態に陥ってしまいます」
こうした習慣があると、実際に選んだ選択を楽しめなくなるばかりか、うつや物事の先延ばしにもつながる。「決めたことにいつも不満を感じたり、後悔していたりすると、人生の満足感が低下するといった非常に悪い影響が出てきます」
一度決めた決断をクヨクヨ悩まない方法
では、どうすればFOBOを避けられるだろうか? ヒューズ博士の研究は問題を特定するだけで、その解決方法については何ら触れていない。が、いくつか提案があるそうだ。
「大雑把に言って、今回の研究は、悪い選択肢を手放すことを思い出させる手助けになるかもしれません」と博士。
1.消去法を使用する
決断するときはあらゆる選択肢を導き出す。そして良くないと思ったものを外していく。そのときに役に立つのは自分の直感だ。なんとなくいやが予感がするという感覚はわりとあてになるものだ。
2.評価基準を作り一度選んだらあとは忘れる。
★5つ評価などの「十分満足できる」の基準を採用しよう。満足できる最低基準を考えて、それを上回る選択肢を探す。
そして、それを選んだら、あとは忘れよう。決定を単純化すれば、もっと重要なことに時間を使うことができる。
3.決断までの時間制限をもうける
それでもダメなら、制限時間を設けよう。追求者は、もっといい選択があるはず、とできるだけ決定を遅らせようとする。一見、スマートに思えるが、それは彼らが「でももし?」と考え続け、堂々巡りを繰り返しているということを意味する。
例えば「飛行機のチケットについて30分だけ調べる」といった具合に宣言するのだ。その制限時間内で最良のチケットを購入し、次のことを行う。
「意思決定においては、時間もまたコストであることを思い出しましょう。その時間はもっと大切なことを決定するために使うべきでしょう?」と博士は言う。
ただしヒューズ博士は、意思決定の質については触れていない。そのため、そうやって決めたことが最良の結果につながるとは限らない。
しかし自分の決断について、ずっと気分良くいられることだろう。決断をするということは覚悟を決めるということだ。覚悟を決めた人間は強い。
例え最良の選択ではなかったとしても悔やんでいる暇はない。なぜなら人生は選択の連続で、次に決断しなければならないことはもう目の前にあるのだから。人生にリセットボタンはないと言われているが、何度も分岐点を選ばなければ前に進めないし、後戻りは決してできないことになっている。
via:journalsrealsimple/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
ネット通販を利用したときによくあります・・・
届くまでずっと、本当にコレを買ってよかったのかな?とか
もっと安くなるのを待ったほうがよかったんじゃないかな?とか
3. 匿名処理班
何を選んでもそれぞれの味があり道があり予期しないアクシデントがある。
ああした方が良かった…と思っている限り何を選んだところで同じ。永遠に後悔し続けるだけだ、楽しめ。
4. 匿名処理班
やらないで後悔するよりやって後悔する方がずっといい、やってしまったという後悔をしない限りは。
5. 匿名処理班
自分の命より大切な愛する人の、手のほどこしようがない状態での延命措置を断った。
そうせざる得なかった…という言い訳や理屈はいくらでも挙げられるが、自分の決断のせいで止めた命と自分の壊われた心はそんなものでは何の慰めにもならない。
考える時間などなかったし、忘れることなど出来ない。ずっと背負い続ける。
だから言えるけど。そんな決断でもない限りくよくよする必要なんて無いよ。
6. 匿名処理班
「構え、狙え、狙え、狙え、狙え、狙え……撃てない……」という行動パターン
本当、先延ばしの温床でよくないんですわ……
最近は「構え、撃て、狙え!」ができるように心がけてる
早いうちの失敗はそれほど影響も大きくないしね
7. 匿名処理班
この記事の通り、まさに自分のことだった
何事にも早い決断が大事だね
8. 匿名処理班
1.直感で決めて良かったか悩む
2.「あとは忘れる」←これができないから悩んでるのでは?
3.時間をかければもっと良い選択ができたのではないかと悩む
自分の場合、「過去は変えられない」っていうことを意識することで後悔を減らせたと思う。
9.
10. 匿名処理班
2番みたいな対処はたまにやる
各候補のメリット・デメリットに点数を割り振って、一番よいスコアのやつを選ぶ
「なんかいいかも」とかいう直感的なものにもそれなりに点数をあげる
たとえ間違っていても、数字にすれば客観的に思えて後悔が減るよ
そもそもこんなややこしい事をやろうと考えるのがおかしい気もするけど
11. 匿名処理班
まあ、どんな人でも知り合いか肉親に、
「何をしても文句しか言わない人」が一人でも居れば、そういう性格になるんじゃないかな。
他人から文句言われるのもかなりなストレスだが、逃れられない親族から毎日そう叱責されようもんなら、ね。
「だったら自分でやれよ」も、そういう人には通用せず屁理屈しか帰って来ないし。
12. 匿名処理班
うちは母親が子どものちょっとしたミスでもチネチするタイプだった
失敗を極端に恐れるっていうのはあるかもしれない
13. 匿名処理班
まさに私の事だ。いつもこんな感じ。
散々悩みぬいた挙句、その選択をしたことをとても後悔する。
そんな自分が嫌で、いつも他の人に「ねえねえ、あなたならどれにする?」と聞いて
その人が選んだものを選ぶといった感じだ。
思い返せば小学生の頃からそうだったな・・。
14. 匿名処理班
※4
マイナスからのスタートというリスクもあるからなんとも・・・
15. 匿名処理班
決断したことに悩みはしないけど、責任は感じるなぁ。結果的に悪いことになっても自分の責任だから苦しいだけで済む。
逆に、他人に決断を譲ると今度は他人が苦しむの見る羽目になるから、それなら自分が苦しいほうがいいよね
16. 匿名処理班
決断までに熟考するのは有りだけど、どんだけ悩んでも動かせない事に時間取るのは勿体無いわな
大抵の場合、決めた事を悩む時間があったら是から先の事を念入りにシミュレーションしてた方が良い筈だし
17. 匿名処理班
株をやるとしょっちゅう過ぎて、気にならなくなるよ!!
18. 匿名処理班
開発関連の仕事をしているが、良い物を作るために
多くの失敗をしても別のやり方を試せば良いから問題ないけど
普段の生活だと別の方法が無かったりするから悩むことはある。
人生にセーブポイントがあったら、良いなと思うけど
結局同じ失敗を繰り返してしまいそう。
19. 匿名処理班
判断ミスで身近な人が生きたり死んだりするけど、そんな重大に見えるようなことでも、みんな忘れたり折り合いつけて前向きに生きていくんだよ
日常のささいな迷いなんか、人生に何の影響も無いと思えば楽に決断できる
20. 匿名処理班
完全に俺の症状だわ
ほぼ毎日行くコンビニでも商品を選ぶのに10分掛かる
女性の態度なんてコロコロ変わるから、彼女に選ぶなんてまず決められない
でも、選んでる時が一番幸せなんだよな
21. 匿名処理班
鬱病煩ってお情けで社会復帰している俺には十分深刻な話だぞ?
自分の直感すら信用できなくなる病気だよ?
バリバリやってた時は「あーさよか、んじゃ出し直しますわ」が今は全く出来ない。
自分の提案が却下された場合(当たり前ににあるし)に、全く対応できなくなる。
「自分なんか死んだ方がいいんじゃないか」と思うようになる。
怖いぞ、この病気は。
22. 匿名処理班
わかりすぎて怖い
3時間ぐらい厳選したあげく結局買わないなんてこともあるわ(汗)
23. 匿名処理班
ルビコン川を渡れ、賽は投げられた!と言う様にしてる
24. 匿名処理班
買うか買わないかなら自己責任で済むけどさ、相手を振り回してしまう選択をしなければならない場合でも、それを同意し決めた相手の責任で押し通すの?
付き合う、結婚、出産、仕事などで
25.
26. 匿名処理班
自分にとって損か得かだけで選択してたらそりゃ楽だよ
ていうか誰でもできる選択だよそれは
損得しか頭にない人は間違いなく成功しないし嫌われる
義理も、人情すらもないから嫌われる
ま、俺のことなんですけどね
27. 匿名処理班
通販やランチのメニュー決めなんかはいつも後であーだこーだ考えちゃうけど、人間関係だけは決めた選択肢で後悔したことはないな。
そこだけは唯一自信ある。
28. 匿名処理班
宇宙の事を考えると自分がどれだけちっぽけかを思い知らされて
大抵の事はどうでもよくなるので、悩んだ時はそうするようにしている。
そして人生は短いのだから好きなように生きればいい。
29. 匿名処理班
仕事などで決断に迷ったら、先延ばしにすることもあながち悪いことじゃないと思う。支障がなければその間は別のタスクを進めればよし。
特に夕方疲れている時なら、翌朝フレッシュな状態で選択するといい。同じ結論に至るにしても悩みは少なくなる、のみならず新たなアイディアや選択肢が浮かんだりする。
30.