回転寿司最大手の「あきんどスシロー」が東京証券取引所に再上場する。
回転寿司の市場規模はここ10年で1.5倍に拡大しており、日本では数少ない成長市場であり、スシローが上場すれば時価総額は1000億円を超えるともいわれている。
だが、一方で同業のかっぱ寿司が直近の決算で赤字に転落するなど競争環境は厳しい。スシローの再上場によって、各社のサービス競争がさらに激化すると予想されている。
東京証券取引所は2月22日、「あきんどスシロー」を運営するスシローグローバルホールディングスの上場を承認した。
同社は経営権をめぐる争いから2009年に上場を廃止、ファンドの傘下で資本関係の整理を進めてきた。上場予定日は3月30日で、株式市場への復帰は8年ぶりとなる。
投資ファンドは今回の上場によって資金を回収できるので、同社は今後、ファンドの意向に縛られず、積極的に事業を展開することが可能となる。
農協の事業組織である全国農業協同組合連合会(JA連合)がスシローへの出資を決めるなど、周辺の動きも慌ただしい。業界関係者は、今回の上場が回転寿司業界特有の激しい企業間競争を復活させるのではないかと見ている。
寿司全体の市場は他の外食産業と同様、人口減少や消費低迷の影響で緩やかに縮小している。だが、回転寿司は例外的に成長が続いており、市場規模は約6000億円と、ここ10年で1.5倍に伸びた。
回転寿司の業界は競争が激しいことでも知られているが、この競争環境こそが市場を拡大させてきた原動力ともいえる。
今のところ、スシローが首位をキープしており、牛丼チェーンのゼンショーが展開する「はま寿司」、くらコーポレーションの「くら寿司」、コロワイドグループの「かっぱ寿司」、元気寿司などが続く。
スシローは、寿司ネタはもちろん、それ以外のメニューでも味にこだわっており、回転寿司とはいえ、美味しさを求めて来店する客も多い。店舗面積が大きいこともあるが、1店舗あたりの売上高は何と3億円を超える。これは外食産業としては驚異的な数字である。
くら寿司は、4大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)無添加をうたっており、スシローと同様、品質や味がウリとなっている。
一方、はま寿司は「平日1皿90円」のキャンペーンを前面に押し出していたこともあり、安さが魅力である。
最近では他社に押されて存在感が今ひとつとなっているが、かっぱ寿司も最大の魅力はやはり値段だろう。